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石綿の問題点。大気汚染防止法の改正によって変わったこと

2020年3月、石綿を使った建材に、飛散防止を義務付ける法律が制定されました。
では、石綿に一体どのような問題があったのでしょうか。

本記事では、建設業界の問題の1つである「石綿」についてご紹介します。

石綿の問題点

石綿は、耐火性・断熱性・耐磨性能を持っており、安価なことから自動車や電気製品など、さまざまな場所で用いられてきました。
建設業界では、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材としてなど、広範囲で用いられてきました。
日本では2004年まで使用が認められてきた建材です。

石綿による健康被害

石綿は、非常に繊維が細かいため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入すると人の細胞に沈着しやすいといわれています。
石綿繊維は丈夫で変化しにくいため、肺の組織内にとどまりやすく、肺がんや中皮腫など病気を引き起こす可能性が指摘されています。
吸入してから40年前後で発症する例が多いことから「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。

大気汚染防止法の改正内容

2020年3月、建物の解体時に、石綿を使った全ての建材に飛散防止を義務付ける「大気汚染防止法改正案」が閣議決定されました。

改正前は、解体等工事の受注者または自主施行者は、アスベストの使用有無について事前調査を行い、発注者への説明や解体等工事場所に調査結果を掲示する必要がありました。
また、石綿含有仕上塗材を除去、補修する際にも届出が必要でした。
しかし飛散の可能性は低いと判断され、工事時の届出は必要なかったのです。
このうような状況下で、解体工事前の建築物への石綿含有建材の使用の有無や、事前調査の石綿含有建材の見落とし、石綿含有建材の不適切除去による石綿の飛散などの事例が起こっていました。

このため、改正によって規制対象が「石綿含有建材」にまで拡大されました。
さらに、一定規模以上の建築物の解体工事は、石綿含有建材の有無に関わらず、都道府県等への調査結果の報告が義務付けられます。
また、石綿飛散防止のための隔離等をせず、吹付け石綿などの除去作業を行った場合の罰則が追加されました。
規制の強化によって、対策が必要とされる建物は年間40万件に増えるといわれています。

石綿の問題点や法律を知ろう

石綿は、以前は便利な建材として使われていましたが、人への健康被害が指摘されるようになり、使用が禁止されることになります。
また、石綿が使われている建築物の解体工事をする際には、都道府県などに調査結果を提出しなくてはいけません。
石綿の問題点や法律について、ポイントをおさえておきましょう。