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動力用変圧器容量・コンデンサ容量・発電機容量の計算方法を解説

電気設備を設置する際には、正しい容量を知っていないと危険です。
そのため、正しい計算方法を知っておくことが大切です。

本記事では、建築電気設備の実務計算前に知っておきたい、動力用変圧器容量、コンデンサ容量、発電機容量などをご紹介します。

動力用変圧器容量

動力用変圧器の容量は、使用する機器の消費電力に合わせて選定する必要があります。
消費電力が大きすぎると変圧器が過負荷になり、故障する恐れがあるからです。
反対に、消費電力よりも容量が大きすぎると変圧器が効率的に電力を供給できず、無駄になることがあります。
容量は需要率や動力負荷などによって選定していきましょう。

需要率の選定

需要率は以下の計算式で求められます。
変圧器容量=Σ(動力容量[kW]×1.25×需要率[%])+将来増設容量(kVA)

動力の負荷

動力の負荷を計算するには、容量を計算する必要があります。

電動機の容量
三相200V電動機の場合、換算表の換算率を用いて求めます。
多極電動機の場合は、電動機メーカーの資料の値を用いましょう。

電熱器の容量
電熱器の換算率は100%とされています。

エレベーターの容量
最近のエレベーターは、電動機の回転率をインバータによって制御しているものが多いです。
その場合、電動機の容量はメーカーによって変わるため、カタログを見るかメーカーと話し合うことが推奨されています。

コンデンサ容量

コンデンサと低圧と高圧があり、それぞれ以下のように算定します。

低圧コンデンサ容量の算定

低圧三相200V誘導電動機の混酸取り付けに関しては、容量基準が設けられています。
コンデンサを電動機2台以上で共用するのは好ましくないですが、やむを得ない場合は各電動機のコンデンサ容量の合計とします。
コンデンサを設置することで受電点の力率が改善され、基本料金が割り引きされます。

また、以下の点に注意が必要です。

  • コンデンサの容量は負荷の無効分より大きくしない
  • 低圧進相用コンデンサは放電抵抗器付コンデンサにする
  • 低圧コンデンサは制御盤の中に収納する

高圧コンデンサ容量の算定

概算的に容量を計算する場合、三相変圧器の容量の約1/3か、単相、三相変圧器の合計容量の約20%を目安にします。
インバータ制御を用いるものは力率が高いとされているので、容量は削減します。
力率を85%以上に改善することで、1%あたりの基本料金が1%割り引かれるとしています。

動力変圧器と許容インバータ容量

動力変圧器の負荷に占めるインバータの使用負荷は、変圧器容量の約40%以下が望ましいです。
これは、コンデンサ容量を変圧器の約1/3とし、直列リアクトルを約6%にした場合のシミュレーションからといわれています。

発電機容量

発電機や蓄電池は、建築基準法や消防法などにより建物の用途・規模によっては防災用予備電源として設置が義務付けられている設備です。
また、災害などによってインフラが途絶したときのため、保安上必要とされる負荷に対して電源供給できるようにしておくと有益です。

発電機と蓄電池の選定

消防庁告示基準や国土交通省通達などにより、定められている自主認定制度による規格のものを使用します。

  • 発電機の方が望ましい負荷:三相200Vの負荷や非常用照明のように交流単相2線100Vを使用しているもの
  • 蓄電池の方が望ましい負荷:容量が比較的小さいものや器具の中に収納できるもの、保守が比較的容易なもの

発電機容量の算定基準

発電機の容量は、定格出力の「kVA」か「kW」で表示されます。
発電機は建築基準法や消防法などで決められた負荷に対して供給するための非常電源装置です。
算定方法は消防庁の消防予第100号、第178号などによって定められています。
ただし、地方自治体によって別途基準を設けてるケースがあるので注意しましょう。

負荷の内容を把握しよう

以下の点の負荷は把握するようにしましょう。

  • 種類:ポンプ、ファン、照明、エレベーター など
  • 始動方法:直入、スターデルタ、コンドルファ、可変電圧 など
  • 配電方式:単相、三相、100V、200V、電源周波数 など

動力用変圧器容量について知ろう

動力用変圧器は、電気機器に電力を供給するために使用されます。
そのため、電気機器の消費電力に合わせて、変圧器の容量を選定する必要があります。
また、将来の負荷増加を見越して余裕を持った選定を行うことも重要です。
コンデンサ容量、発電機容量の計算方法と併せてしっかり学んでおきましょう。