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土木事業の情報収集と分析はどのように行う!?ポイントを把握しよう

多くの人が利用するインフラ施設の計画を立案する際には、施設の仕様や規模の設定のため、さまざまな情報が必要です。
情報はどのように収集・分析するのでしょうか。

本記事では土木事業の情報収集と分析として、インフラ施設の計画と情報、各種資料の活用、調査の使い分け、測量技術などについてご紹介します。

インフラ施設の計画の策定方法

橋や道路、上下水道などのインフラ施設をつくる際には、背景となる社会状況や対象となる地域などさまざまなデータが必要です。
ある地域のごみ焼却施設が老朽化のための改修を契機に処理能力の増強を計画している場合、将来の人口推移の予測なしには計画の立案は不可能です。
地域に住んでいる人口の推移、年齢構成、企業・工場・商業施設などのデータが必要となってきます。

これと同様に、橋やトンネルなどのインフラ施設の設計をする際には、測量や地盤調査により予定している場所に地形や支持地盤のデータが必要です。
既設構造物の健全度の把握には、構造物の点検によって現状の把握が行われます。
さらに、計画しているインフラ施設が環境にどのように影響を与えるかなどを知るため、騒音・振動・大気・水質などのデータも必要でしょう。
このようにインフラ施設を計画する際には、各種調査によるさまざまなデータを収集して分析しなくてはいけません。

インフラ施設に関する情報の入手方法

インフラ施設に関係する情報の共通点には、それらの施設が設置される「場所」という空間データを含んでいることが挙げられます。
そのため、地理情報システム(GIS)やリモートセンシングなどの位置情報が含まれたデータの整理・分析なども必要とされています。
情報入手方法には、統計資料などの既存統計資料を参考にする場合と個別の調査によって新規データを入手する場合があります。

政府統計資料の活用方法

政府統計資料とは、各省庁が作成して公表している統計資料のことです。
政府統計資料には、人口・経済・社会・環境など、さまざまな分野の統計が含まれています。
政府統計資料は、政策立案や意思決定の基礎となる情報として、広く活用されています。
また、インフラ施設の計画の立案にも用いられます。

統計資料の一例

統計資料には以下のようなものが挙げられます。

人口のデータ

人口に関するデータとは、国勢調査や人口動態調査などの調査によって得られた人口に関するデータのことです。
人口に関するデータには、人口数・人口増減率・年齢階級別人口・性別別人口・国籍別人口・世帯数・世帯人員数など、さまざまなデータがあります。
インフラ施設や都市計画の対象は「人」であるため、将来の街づくりやインフラ施設の計画には、人口データが欠かせません。
国勢調査は5年ごとに行われているため、人口や世帯に関する全数調査では最も信頼度が高いといえます。

産業のデータ

産業に関するデータとは、生産活動や販売活動など、企業の活動に関するデータのことです。
産業に関するデータには、企業数、従業員数、売上高、利益額、生産量、輸出入額など、さまざまなデータがあります。
データの例としては、商業統計や工業統計が挙げられます。

交通のデータ

交通に関するデータには、交通量・交通事故・交通渋滞・交通費・交通手段の利用状況などがあります。
5年ごとに行われる「全国道路・街路交通情勢調査」により、全国の交通量のデータが公開されています。

調査の使い分け

統計資料など既存のデータが利用できない場合、特定の対象ごとに独自の調査を行います。
特定のデータとは対象ごとに多岐に渡りますが、例として以下が挙げられます。

  • 特定箇所の環境影響評価のための環境質
  • 対象構造物の詳細な測量データ
  • 既存構造物の健全度診断

特定の構造物や地域、場所に関するデータは、分野ごとの調査や実験を行ってデータを得ます。

調査方法

調査には大きく分けて「全数調査」と「標本調査」があります。

全数調査
母集団のすべての要素を調査する方法です。
すべての要素を調査するため、標本調査よりも正確な結果を得ることができます。
しかし、全数調査は標本調査よりも時間と費用がかかります。

標本調査
母集団の一部を調査する方法です。
全数調査よりも時間と費用が安く済みます。
しかし、標本調査では、全数調査ほど正確な結果を得ることができません。

すべての調査において全数調査を行うのは、費用や時間の面から現実的ではないため、一般的には標本調査が採用されることが多いです。
その際には、標本の数と対象を適切に設定することで標本誤差を少なくし、信頼性を得るのが重要とされています。

測量で分かるのは距離だけではない

測量

測量とは、地球表面上の点の位置や関係を測定する技術のことです。
測量した距離をもとに面積や体積などを求めます。
また測量では、距離の他に角度なども分かります。

距離測量の方法

距離を測る方法には以下が挙げられます。

直接距離測量
巻尺やポールを使って距離を直接測定する方法です。
この方法は、最も簡単で手頃な方法ですが、測量できる距離に制限があります。

光波測距儀やレーザー測距儀
これらの機器は、光やレーザーを使って点と点の距離を測定することができます。

GPS測量
GPS衛星から電波受信して測量する方法です。

角度の測量方法

角度を測量するには、トランシット(セオドライト)という器械を使うのが一般的です。
トランシットで測点を視準し、垂直角と水平角が測れます。

平板測量

局地的に地形を測量する方法です。
三脚上に製図用の平板を水平に据え、磁石で方位を一定に保ち、アリダード(測斜儀)で目標点を見通し、平板上に作図します。

土木事業の情報収集方法を知ろう

インフラ施設の計画を立てるには、現地の情報が不可欠です。
情報は既存資料から得るもの、現地で調査を行う方法があることを知っておきましょう。