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【回路の計算②】知っておきたいポイント

本記事では、回路の計算として「集合住宅の幹線電流」「電線・ケーブルの許容電流」「幹線分岐」「CVケーブルの地絡電流と短絡許容電流」「バスダクトの電圧降下・短絡電流・漏洩磁束」「不平衡電流」についてご紹介します。

集合住宅の幹線電流の計算

1住戸の負荷容量は設定表を見ることで求めることができます。
また各戸の負荷容量は、住戸内の設備設計図により算出できます。
そのほか、分電盤の分岐回路数×730(VA)を合計容量として計算する方法があります。
深夜電力利用の電気温水器は、別途容量を加算します。

需要率表の利用

幹線に接続される住戸数に対する需要率は、「幹線の総合需要率表」で求められます。

全電化集合住宅の幹線電流の計算

電化集合住宅の幹線の総合需要率表を見て、計算式60×S+4,000(VA)を用いて計算します。
算出した負荷想定地が7,000以下になる場合でも、負荷想定は7,000(VA)です。
また、幹線の最大需要電力は電化集合住宅の幹線の総合需要率表から、該当する値を使用します。

幹線の設計例

1住戸の床面積Sを120㎡として場合、全電化集合住宅の式により1住戸の負荷想定Pは11.2kVAです。
計算結果をもとに幹線の材料を選びます。

電線・ケーブルの許容電流の計算

電線・ケーブルの許容電流は、電線の種類、断面積、周囲温度などにより異なります。
ここでは、許容電流の計算についてご紹介します。

600Vビニル絶縁電線の許容電流

電線、ケーブル、導体の絶縁物により安全性が保たれています。
絶縁物は、温度上昇により劣化することがあるため、最高許容温度が想定されています。
電線やケーブルは、電流が流れるとジュール熱で温度上昇が起こるため、周囲の温度θ=30℃以上の場合は許容電流を低減して使用する必要があります。
電線やケーブルを電線管や金属ダクト、フロアダクトの中に収容すると、熱の放散が上手くいかずに周囲の温度が上昇してしまいます。
そのため、電流減少係数を乗じて使用する必要があります。

許容電流の計算

周囲温度を30℃以下とした場合、IV電線とVVケーブル(三相3線式、単相3線式)薄鋼電動管またはCD管などに収容した場合の表を確認します。
がいし引き配線による許容電流をベース電流としており、ベース電流に電流減少係数を乗じたものが許容電流となります。
周囲温度が30℃以上の場合は、600Vビニル絶縁電線などの既定値のRを乗じて求めます。

CVケーブルの許容電流

CVケーブルの許容電流は、ケーブルの断面積、使用温度、がいし引き工事かどうかにより異なります。
ケーブルも、電線と同様に負荷電流と周囲温度により、ケーブル表面の温度上昇が問題になります。
ケーブルの周辺温度は基底温度と呼ばれ、この基底温度は布設方法により異なります。
また、ケーブルも種類により導体温度や基底温度が異なるため、注意が必要です。
さらに、電力会社の地中配電線路は損失率などを考慮する必要がありますが、ビルの場合は必要ないとされています。

幹線分岐の計算

太い幹線から細い幹線に分岐させる場合、主幹線は電源側に必ず過電流遮断器を設けます。
その幹線の許容電流以下から最大負荷電流を超過した際に、この過電流遮断器により遮断されます。
幹線が分岐する際には、分岐箇所に必ず分岐幹線用遮断器を設けます。
ただし、特定の条件を満たす場合は、分岐幹線用配線用遮断器の設置を省略することも可能です。

電動機負荷が含まれる幹線
三相3線式200Vの動力用幹線は、三相200V電動用幹線の太さおよび器具の容量表で判断します。

許容電流
分岐した幹線の電線やケーブルの許容電流は「電線・ケーブルの許容容量」「CVケーブルの地路電流と短絡許容電流」を参照します。

特殊な幹線
超高層集合住宅や超高層ビルなどの幹線には、プレハブ分岐ケーブルを用います。
また、バスダクトは超高層ビルや大工場の大電流容量の幹線に適しているとされます。

CVケーブルの地絡電流と短絡許容電流の計算

高圧配線線は非設置式配電方式ですが、1線地絡が発生すると地絡電流が流れます。
地絡電流は、「ケーブルの静電容量表」から静電容量を求めて計算します。
CVケーブル短絡時の許容電流は、「絶縁電線・電力ケーブルの短絡時許容電流計算式」で求めます。

ケーブルの事故と保守要点

高圧受電設備の事故は、ケーブル本体や端末部分の事故発生が多くなっているとされます。
そのため、保守・点検時には、メガー測定と直流耐電圧測定を併用します。

バスダクトの電圧降下・短絡電流・漏洩磁束の計算

バスダクトの電圧降下は、負荷の分布状態別の負荷分散率を用いて計算します。
短絡電流は、「電線・ケーブルの許容電流の計算」と同じように求めます。
バスダクトの負荷で短絡事故が発生した場合、機械的強度と熱的強度の検討が必要です。
ただし、熱的強度は0.1秒以下の短絡電流により起こる温度上昇は最高許容温度を超えないため、機械的短絡強度のみを参考にします。

漏洩磁束は大電流が流れると、導体周辺の情報配線やCRTにまで電磁障害を与える可能性があります。
バスダクトを採用する場合、電磁遮蔽効果が大きいため、コンピューターシステムを電磁誘導などの被害から保護することが可能になります。

不平衡電流の計算

内線規定1305節により、線路電流の不平衡率に関する規定が定められています。
予備電源に発電機を設ける際には、日本電機工業会企画による規定があります。
一般的には、単相負荷は発電機容量7~12%にするのが望ましいとされています。
低圧引き込み単相3線式の場合、やむを得ない場合は設備不均衡率を約40%までにできます。
低圧および高圧引き込み三相3線式の場合、設備不均衡率は原則30%以下とされています。

回路の計算ポイントを知っておこう

回路

電流回路の計算方法は、電気回路の種類や接続方法により異なります。
そのため、計算に関するポイントや計算に使用する表などを知っておく必要があるでしょう。