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【回路の計算①】知っておきたいポイント

本記事では、回路の計算として「高調波流出電力と高周波抑制」「短絡電流」「幹線の電圧降下」「動力用幹線電流と幹線の太さ」についてご紹介します。

高調波流出電力と高周波抑制の計算

高調波流出電力は、高調波発生機器から送電網に流出する電力です。
高調波流出電力が大きくなることで、送電網の電圧上昇や周波数変動、電力品質の低下などの問題が発生する可能性があります。
高調波流出電力は「検討要否の判定「等価容量による判定」「高調波流出電流による判定」を経て、対策が必要か検討します。
対策が必要な場合、「高調波流出電流の詳細計算と抑制対策の検討」を行いましょう。
計算の結果、契約電力が1kWあたりの高調波流出電流値が上限値を超えた場合は抑制対策が必要です。

計算方法

高調波流出電力を計算するには、次の式を使用します。
「高調波流出電力 = 高調波発生電流 × 高調波発生機器の電力定数」

対策が必要な場合、所定の様式に記入し、電力会社に提出して協議します。

短絡電流の計算

短絡電流は計算により求めることができます。
計算方法には「オーム法」「%Z法(パーセントインピーダンス法)」「%ユニットZ法」があります。

%Z法による短絡電流の計算方法

高圧受変電設備における短絡事故点の短絡電流の計算をします。
計算後の値により、電路の機械的強度などを検討します。
また、保護装置にヒューズを使用した場合は、非対称短絡電流についても検討する必要があります。

概略算定法

変圧器の%Z法による算定
変圧器二次側近くの短絡事故は、変圧器の%Zから求めることが可能です。

短絡電流早見図による算定
短絡電流早見図による算定も可能です。

幹線の電圧降下の計算

幹線の電圧降下は、簡略式により求められます。

電灯用幹線
単相3線200V/100Vの幹線における電圧降下を求めます。
計算は、表の係数の値を見て計算します。

動力用幹線
三相3線200Vの幹線における電圧降下を求めます。
計算する際には、電動機用幹線の太さを考慮する必要があります。
電線のこう長が長く、CVケーブルを使用する場合は、基本式による方法で計算した方が誤差が少なくなります。

基本式による計算(電線のこう長が長く大電流を扱うケース)
Rを直流の抵抗で扱う場合、50Hz、60Hzの電源周波数で、かつ500m㎡以上の断面積がある場合は、表皮効果による補正係数を使用します。

また、電圧降下図表を用いて計算する方法もあります。

動力用幹線電流と幹線の太さの計算

動力用幹線

動力用幹線は、電気設備技術基準などにより、低圧屋内幹線の施設方法が決められています。
電動機のように定格電流の約6倍もの負荷を持つ動力用幹線は、内線規程に従って計算されます。
計算時には、電圧降下についても考慮する必要があります。

1.動力幹線に用いる電線の太さは以下の通りです。
・幹線に接続する電動機の定格電流の合計が50A以下になる場合、定格電流の合計の1.25倍以上の許容電流を持つ電線にします。
・幹線に接続される電動機の定格電流の合計が50Aを超える場合、定格電流の合計の1.1倍以上の許容電流を持った電線にします。

2.定格電流の不明な三相200V誘導電動機は、定格出力1kWあたり4Aとして定格電流の合計にします。

3.需要率や力率が明らかな場合は、修正した負荷電流と負荷を合計することが可能です。

4.幹線の過電流遮断器の定格電流は、各電動機の定格電流の合計の約3倍として考慮します。
ただし、電熱器が付属している場合は、幹線の許容電流の2.5倍以下にできます。

動力用幹線の太さを求める場合

幹線の太さを表で確認します。
ただし、インバータ負荷や特殊負荷が多い場合は、メーカーに最大電流の確認を行います。

電圧降下を考慮した場合

相電流が求められた場合、電圧降下を考慮して電線の太さを決める必要があります。
電圧降下を考慮した場合、電圧降下図表による計算だけでなく、電線最大こう長表を用います。

回路計算のポイントをおさえよう

高調波抑制対策は高調波流出電力を低減し、送電網の電圧上昇や周波数変動、電力品質の低下などの問題を防止するために有効です。
さらに、条件によっても計算方法が異なりますので、ポイントを知っておきましょう。