空気調和機器には、さまざまな種類があります。
それぞれに特徴があり、機器を設置する場所や留意すべき点も多いです。
本記事では空気調和設備の知識として、空気調和をするための機器、機器を据付ける際の留意点などをご紹介します。
空気調和機器の種類
空気調和機器の種類は、以下となります。
- 冷凍機
- 冷却機
- ボイラ
- ポンプ
- 空調機
- ファンコイルユニット
- ファン
- 全熱交換機
- ビル用マルチエアコン など
冷凍機・冷却機・ボイラ・ポンプ
ここでは、冷凍機・冷却機・ボイラ・ポンプについて、それぞれの特徴と据付けの際の留意点をご紹介します。
冷凍機
冷凍庫を設置する際は、「建築基準法」「高圧ガス保安法」「ビル管理法」「騒音規制法」「振動規制法」「省エネルギー法」「フロン回収破壊法」などが関係しています。
不活性ガスを冷媒にした冷凍機を設置する際には、冷凍設備の区分によって手続きが異なります。
水冷気にターボ冷凍機や吸収式冷温水発生器を設置する場合は、
本体の周囲500㎜~1500㎜のメンテナンススペースを確保します。
さらに、冷却チューブを引き抜くためにスペースを確保しなくてはいけません。
冷却機
冷却機や冷却塔は積雪・風圧・地震に耐えられるように、基礎または架台上に水平に据付けを行います。
冷却塔は屋上に設置されていることがほとんどですが、その際には下階への振動防止に留意しましょう。
さらに、騒音対策や冬期の白煙対策のために壁を設置する際、排熱のショートサーキット対策が必要です。
そのため、隣接する壁や他の冷却塔との離隔距離を確保します。
ボイラ
ボイラは「ボイラおよび圧力容器安全規制」「労働安全衛生法」「消防法」や各地方の条例によって規定されています。
据付け工事はJIS B 8201(陸用鋼製ボイラの構造)の構成蒸気ボイラの据付け、
および日本ボイラ協会の「陸用上記ボイラの据付工事仕様」に従って行います。
「ボイラおよび圧力容器安全規制」によって定められた計算方法により、
伝熱面積が3㎡を超えたボイラを設置する際には、耐火構造になっているボイラ室内に設置する必要があります。
またボイラ室の出入り口の扉は、2ヶ所以上の外開自閉式甲種防火戸を非同一面になるように設置します。
ポンプ
空調用としては、遠心式のうず巻きポンプがよく用いられています。
据付け工事の際はメンテナンスなどで分解修理を行うことを想定し、
据付場所の面積や搬入出経路を確保する必要があります。
ポンプに異物が混入する恐れがある場合は、吸い込み側にストレーナを設置します。
また、吸い込み側の配管はなるべくプラス圧になるように設置します。
配管抵抗を少なくし、空気だまりができやすい鳥居配管を避けましょう。
空調機・ファンコイルユニット
ここでは、空調機・ファンコイルユニットについて、それぞれの特徴と据付けの際の留意点をご紹介します。
空調機
空調機は、送風機・冷水・温水コイル・加湿器・フィルタ・チャンパなどで構成されています。
送風機セクションやコイルセクションなど、空調負荷計算で求めた風量や静圧、冷却加熱能力などから選定して組み合わせて設計します。
空調機のメンテナンスには、エアフィルタの交換や送風機のシャフト引き抜き
コイル交換などを行う必要があります。
そのため、メンテナンスを想定したスペースを確保しなくてはいけません。
ファンコイルユニット
ファンコイルユニットは、主にファン・冷温水コイル・フィルタで構成されています。
空調機とセットで使用され、事務所・ホテル・病院などで用いられています。
空調機は部屋全体の空調用、ファンコイルユニットは主に建物の外皮負荷を処理するために設置されます。
ファン・全熱交換機
ここではファン・全熱交換機について、それぞれの特徴と据付けの際の留意点をご紹介します。
ファン
ファンは、冷暖房や換気に欠かせません。
羽根を通る空気の流れにより、遠心式と軸流式に分けられます。
遠心式は、羽根の中を軸方向から入り、径方向に通り抜けます。
軸流式は、軸方向から入り、軸方向に空気が通り抜けるのが特徴です。
代表的な機種としては、以下が挙げられます。
遠心式
- 多翼ファン
- 天井扇
- バス換気乾燥機
軸流式ファン
- 軸流ファン
- 傾流ファン
- 換気扇
- 有圧扇
天吊りと床置きは、一般的にファンの番手で決まります。
#3以上のものは床置き、#2 1/2以下のものは天吊りに設置します。
ただし、施工現場の管理者と打ち合わせて、天吊りにするファンの適用範囲を決めなくてはいけません。
全熱交換機
全熱交換機は取り込む外気と排出する室内空気の間で熱交換を行い、
換気によるエネルギーロスを最小限にする換気機器です。
換気と外気熱負荷の低減を両立しており、給気側と排気側にそれぞれファンを持っています。
第一種換気方式で室内の換気量を確保しつつ、
内部に搭載された熱交換機によって給気と排気の間で温度と湿度を熱交換します。
全熱交換機は、回転形と静止形に分類されます。
静止形はさらに、直交流系と対向流系に分けられます。
静止形と直交流形を隔てる仕切り板の素材には、特殊加工紙が使用されることが多いです。
これにより、温度と湿度を同時に熱交換することが可能です。
また、換気方式でも分けることができます。
機械室など床置きの場合は集中換気方式、天井内に設置する場合は個別分散換気方式となります。
個別換気方式は、各フロアの天井裏に全熱呼応換気を設置するので、機械室が不要です。
静止形熱交換機は、住宅用、店舗用、事務所用、ビル空調システム用等の機種があり、
用途や設置方法などによって選択できます。
ビル用マルチエアコン
ここではビル用マルチエアコンについて、特徴と据付けの際の留意点をご紹介します。
ビル用マルチエアコンは、複数台の室内機と1つの室外機を、冷媒配管で接続します。
制御は機器本体にパッケージ化されているため、セントラルシステムと比較して安価です。
また、室外機ごとに冷房と暖房を切り替えられるので、ほとんどの建物で採用されています。
最近では、3本の配管を接続する3WAYという方法もあります。
1つの室外機系統の中でも、複数の室内機で冷房と暖房を同時に運転できるシステムとなります。
空調調和機器ごとの特徴をおさえよう
空気調和機器は、空気の調和を行うためにさまざまな種類があり、特徴もそれぞれです。
そのため、建物や用途、場所に合わせた種類を選ぶ必要があることを覚えておきましょう。