Menu

自動制御の役割を知ろう!空気調和機と冷凍機の制御方法

空気調和設備や冷凍機などには、自動制御が施されています。
空気調和設備に関する自動制御は多岐にわたります。

本記事では、自動制御の基本的な概要、空気調和機や冷凍機の制御詳細をご紹介します。

自動制御とは

自動制御とは、機械・装置が制御する仕組みのことです。
ここでは、「開ループ制御」と「閉ループ制御」についてご紹介します。

開ループ制御

開ループ制御とは、調節部に制御量を戻す経路(ループ)がない方式を指します。

シーケンス制御
シーケンス制御は自動販売機や自動ドア、交通信号機など、街のさまざまな場所で使われています。
空調設備に関するものだと、ファンやポンプの運転・停止による弁・パルプを開閉するなどのインターロックが当てはまります。

フィードフォワード制御
空調機のコイル凍結防止制御などは外気温度を計測して、外気温度が設置温度以下になった場合はコイルに水を流し、コイル内の凍結を防ぐ動作などが挙げられます。

閉ループ制御

閉ループ制御は、目標値(設定値)と偏差がないかを比較するため制御量を入力し、調節部に制御量を戻す経路がある方式です。

フィードバック制御
フィードバック制御は制御量と目標値の偏差があった場合、その偏差を減少させるように動く制御方式です。
制御量によって、制御出力がONかOFFいずれかの値を取ります。

空気調和機の制御方法

ここでは空気調和機の制御方法について、一般的なものをご紹介します。

VAV方式

従来はCAV(Constant Air Volume)方式が一般的でしたが、近年ではVAV(Variable Air Volume)を用いた変風量方式が採用されることが増えています。
CAV(定風量方式)では、部屋の負荷が少ない場合でも給気ファンの送風量は一定に設定されています。
VAV(変風量方式)では、VAVを制御している調節器が部屋の負荷が少ない場合は
送風量が減らし、給気ファンの搬送動力を低減するため省エネになります。
さらに、調節器はVAVから開度情報を収集し、空調機用DCCは給気ファン出力に補正をかけて、最適に調整していきます。

その他

外気冷房
通常、冷房は冷水弁の制御で行われます。
外気が冷房に有効と判断された場合、外気を取り入れることで、冷水の使用量低減につながります。
外気を取り入れても目標値にならなかった場合は、冷水を用います。
エアコンが動いていない場合でも部屋を快適な状態に出できれば、省エネやコストの削減につながります。

CO2制御
部屋に人がいる場合、その人の呼吸によってCO2濃度は上昇し、空気が汚れていきます。
汚れを少なくするためには、一定量の外気を取り入れなくてはいけません。
外気を必要な状態にするためには、顕熱・潜熱の処理が必要です。

この処理負荷は、「外気負荷」と呼ばれています。
通常の外気取入量は、給気風量の3割程度に設計されておりこれを「設計外気量」と呼びます。
室内環境が悪くない場合は、外気取入量を減らすことで外気負荷が軽減できます。
これにより室内環境を悪化させずに空調することが可能です。

冷凍機の制御方法

冷凍機

冷凍機の熱源システムは、必要な熱量を製造、送水圧力を一定に制御し、負荷側に供給します。
そのために、冷凍機で冷水を製造し、霊枢を空調機やファンコイルユニットのコイルにポンプを使って搬送されます。

冷凍機の制御方法には以下が挙げられます。

冷凍機台数制御

空調負荷は、季節や月、1日でも変動します。
このため、複式ポンプシステムでの冷凍機の台数制御は、負荷熱量によって必要な運転台数を決定します。
冷凍機の経年劣化によって、負荷側への冷水送り温度が高くなるケースの場合、運転台数を増やして調整します。
負荷側からの冷水の返り温度が低すぎる場合、冷凍機の保護回路が働いて、複数の冷凍機が停止してしまう恐れがあります。

これを防止するため、返りヘッダー側の返り温度を測り、保護回路が働く前に冷凍機を停止させる機能を「減段補正機能」と呼びます。
負荷側からの冷水と連通管を通し、入ってくる冷水の混合される位置に温度検出器を入れ、温度を的確に計測しなくてはいけません。

二次ポンプ制御

複式ポンプシステムでの二次ポンプ制御は、負荷流量により必要なポンプ台数を決定します。
送水圧力が変わると空調機側の制御弁を通過する冷水の流量が変わるため、温度制御に悪影響があります。
これを避けるため、往きヘッダーに挿入された圧力発信機によって送水圧力を計測します。
この送水圧力が設定値になるように、インバータやバイパス弁の制御が行われます。

一次ポンプ制御

一次ポンプは、関連する冷凍機と連動して運転を行います。
従来は冷凍機の定格流量に合わせて、定流量で運転していました。
近年では、インバータを採用した変流量方式が多く採用されています。
変流量方式は負荷流量に合わせてポンプの搬送動力を低減させることで、省エネになるようにしています。

冷却水制御

冷却水ポンプは冷凍機と連動しており、冷却塔出口温度によって冷却塔ファンのオン・オフ制御によって冷却水を冷やします。
さらに冷凍機の冷却水入口温度によって、冷却水3方弁制御を行い、冷やし過ぎを防止できます。
開放式冷却塔内の冷却水は大気と接触するため、水質が悪くなってしまいます。
冷却塔内に導電率計を設置することで冷却水の導電率が設定値を超えた際に、歩給水でブローすれば冷却水の水質悪化を防げます。

BEMS(ビル管理システム)

BEMSは中央監視室や防災センターなどに設置されており、建築物設備の監視・操作などを行っています。
BEMSはBAS(中央監視)やBMS(設備管理)、EMS(エネルギー管理)などの機能が搭載されています。
地球温暖化防止対策や省エネルギー対策のため、エネルギー管理機能をBEMSに採用するケースが増えているのです。

自動制御の役割について知ろう

空気調和設備や冷凍機には、自動制御が施されています。
これによって、人の手を使わずにさまざまな調整が行えるようになります。
大切な役割を持っていますので、知識として知っておきましょう。