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トラス構造と応力の関係。ラーメン構造との違いとは?

トラス構造とラーメン構造は、建築物や橋梁などでよく用いられる構造形式です。
どちらも強度と剛性に優れた構造ですが、応力の関係や特徴には違いがあります。

本記事では、トラス構造の概要や特徴、ラーメン構造との違いなどをご紹介します。

トラス構造の特徴

トラス構造は、三角形の組み合わせで構成される構造形式です。
三角形は3つの辺が互いに直角をなす図形であり、各辺にかかる力はその辺に垂直方向に作用します。
そのため、トラス構造は各部材にかかる応力が単純な形であり、計算が容易なのが特徴です。

軽量な構造を実現しやすい

トラス構造は各部材にかかる応力が単純な形となるため、軽量な構造を実現しやすいというメリットがあります。
これは各部材にかかる応力に合わせて、部材の断面を最適化できるためとされています。

強度と剛性に優れる

トラス構造は各部材が互いに支え合うことで、荷重を効率的に受け止めることができるため、強度と剛性に優れるとされています。
そのため、橋梁や鉄塔などの大規模な構造物の建設によく用いられます。

ラーメン構造との違い

トラス構造とラーメン構造は、どちらも建築物や橋梁などに用いられる構造形式ですが違いがあります。
トラス構造は三角形の組み合わせで構成されていますが、ラーメン構造は柱と梁の組み合わせで構成されています。
トラス構造は強度と剛性に優れており、軽量で経済的な構造を実現することができます。
ただし、空間を有効活用しにくいというデメリットがあります。

一方でラーメン構造は、柱と梁を組み合わせることで、さまざまな空間を実現することができます。
ただし応力解析や構造計算が複雑で、施工が難しいというデメリットがあります。
また、トラス構造と比較して重量があることが多いです。

建築物や橋梁の設計においては、トラス構造とラーメン構造のメリットとデメリットを比較検討し、適切な構造形式を選択することが重要です。

トラスと応力

トラス構造の応力は、主に以下の2つの力で構成されています。

  • 引張力
  • 圧縮力

引張力は部材が伸びようとする力で、圧縮力は部材が縮もうとする力です。
トラス構造は三角形の組み合わせで構成されているため、各部材は引張力または圧縮力のみを受けます。

基本的な計算方法は以下のとおりです。

  1. トラスの荷重を計算する
  2. トラスの各部材にかかる力を求める
  3. 部材の断面積とヤング率を用いて、応力を計算する

節点法と切断法

トラス構造の応力解析や構造計算は、以下の2つの方法があります。

節点法
節点法は、各節点に作用する力を解析する方法です。
「節点に作用する力はつり合う」という前提を利用して計算します。
トラス構造は三角形の組み合わせで構成されているため、各節点に作用する力は3つの力の合力として表すことができます。
節点法は、計算が簡単ですべての力を計算できるのがメリットです。
ただし計算量が多く、複雑な構造には適用しにくいというデメリットもあります。

切断法
切断法は部材を切断して、切断面の力を求める方法です。
トラス構造は各部材に引張力または圧縮力のみがかかるため、切断面の力は単純な形で表すことができます。
切断法は、複雑な構造にも適用しやすいのがメリットです。
ただし、すべての部材の力を計算しにくいのがデメリットとされています。

トラス構造の応力解析や構造計算においては、節点法と切断法を組み合わせて使用することが一般的です。

トラスと張弦梁

トラスと張弦梁は、どちらも建築物や橋梁などに用いられる構造形式です。
張弦梁は、上弦材と下弦材を組み合わせた梁です。
上弦材はケーブルや鉄棒などの引張材で構成され、下弦材は鉄骨梁や木材などの圧縮材で構成されます。
上弦材に引張力、下弦材に圧縮力がかかる構造で、トラス構造よりも強度と剛性に優れ、大規模な構造を実現することができます。
ただし、応力解析や構造計算が複雑で、施工が難しいというデメリットがあります。

張弦梁構造の特徴

張弦梁構造は、上弦材と下弦材が互いに反対方向に引っ張り合って構造を支えるため、強度と剛性に優れているといわれています。
また、上弦材はケーブルや鉄棒などの軽量な材質で構成できるため、軽量で経済的な構造を実現することができます。
さらに、上弦材は梁の両端に支持されるため、空間を有効活用することが可能です。

トラスと張弦梁の共通点

トラスと張弦梁は、どちらも梁の一種であり、荷重を支える構造形式です。
また、どちらも引張力と圧縮力による応力が働きます。
さらに、張弦梁構造は三角形を作らなくても成立する方式ですが、三角形(トラス)を作るとより合理的になるとされています。
建築物や橋梁の設計においては、トラスと張弦梁のメリットとデメリットを比較検討し、適切な構造形式を選択することが重要といえるでしょう。

立体トラスとは



立体トラスとは、三角形の組み合わせで構成された三次元の構造形式です。
平面トラスを組み合わせて構成することもあれば、三次元の構造をそのままトラスとして設計することもできます。
立体トラスは三角形の組み合わせで構成されているため、強度と剛性に優れています。
また部材が細いため、軽量で経済的な構造を実現することができます。
さらに、三角形の組み合わせは空間を有効活用できるため、建築物や橋梁などのさまざまな構造物に用いられています。

立体トラスのメリット

立体トラスのメリットは、以下のとおりです。

強度と剛性に優れる
立体トラスは三角形の組み合わせで構成されているため、平面トラスト同様に強度と剛性に優れています。
三角形は3つの辺が互いに直角をなす図形であり、各辺にかかる力はその辺に垂直方向に作用します。
そのため各部材にかかる応力が単純な形となり、部材の強度を最大限に発揮することができます。

軽量で経済的
立体トラスは部材が細いため、軽量で経済的な構造を実現することができます。
また、立体トラスは三角形の組み合わせで構成されているため、部材の接合部が少なく部材の使用量を削減することができます。

空間を有効活用できる
立体トラスは三角形の組み合わせで構成されているため、空間を有効活用できる構造です。
三角形はあらゆる方向に力が伝達できるため、部材を自由に配置することができます。

柱や壁も作れる
立体トラスは、柱や壁も作ることが可能です。
たとえば、大阪万国博覧会のお祭り広場は、太陽の塔を囲むように大きな屋根が設けられていましたが、その屋根はトラスの柱で作られていたとされます。
正確には、中央の太い柱のまわりがトラスで囲まれており、柱とトラスの両方で重さや水平力が支えられています。
壁の場合、セインズベリー視覚芸術センターが挙げられます。
このセンターは、壁と屋根が門形のトラスとなっており、奥行き方向へ展開されています。

三角形の成り立つトラス構造は計算が容易

トラス構造は、三角形の組み合わせで構成される構造形式で、各部材の応力が単純な形で表すことができます。
また、同様に立体トラスも応力が単純な形で表されるため、部材の応力の計算が容易です。
構造物をトラスで作ることで、さまざまなメリットを得ることができるので知っておいてはいかがでしょうか。