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コンクリートの非破壊検査を行う目的。検査時のポイント

コンクリートは、耐久性や耐火性などの優れた特性を持つため、建築物や土木構造物の材料として広く使用されています。
しかし、経年劣化によりひび割れや欠陥が発生することがあります。
劣化や損傷を早期に発見し適切な補修を行うためには、非破壊検査が有効です。

本記事では、コンクリートの非破壊検査についてご紹介します。

コンクリートの非破壊検査とは

コンクリート構造物の内部欠陥や強度、水分量など、コンクリートを傷つけることなく調べる方法です。
構造物は、使用環境や経年劣化によって内部に欠陥が発生することがあります。
欠陥はひび割れ、空洞、鉄筋の腐食など、さまざまな形状や大きさで存在します。
欠陥が大きい場合は、構造物の強度や耐久性に影響を及ぼす可能性があります。
非破壊検査は、コンクリート構造物の欠陥を早めに発見し、適切な補修や改修を行うために重要です。
また、強度や水分量を測定することで、構造物の品質の評価や耐久性の予測も可能です。

非破壊検査の目的

目的には以下が挙げられます。

  • 新設コンクリート構造物の品質確認
  • 既存コンクリート構造物の劣化状況の把握
  • 構造物の強度や耐久性の評価
  • 補修や改修のタイミングや方法の検討

出典:国土交通省「非破壊試験等によるコンクリートの品質管理について

コンクリートの非破壊検査の種類や方法

非破壊検査には、さまざまな種類があります。
代表的な種類と方法としては、以下のようなものが挙げられます。

打診法

コンクリートの表面を打診棒やハンマーで叩き、その反響音の変化から欠陥の有無や位置を調べる方法です。
打診音の反響時間や音量、音質などを測定し、欠陥の種類や大きさを推定します。

超音波探傷法

超音波を照射し、その反射音から欠陥の有無や位置を調べる方法です。
超音波は、欠陥のある部分で反射や散乱が大きくなるため、その変化から欠陥を検出できます。

磁気探傷法

磁力をかけて、鉄筋の腐食や空洞を調べる方法です。
鉄筋が腐食するとその部分の磁性が低下するため、磁力探傷法によって検出可能です。
また、空洞があると磁力が反射して戻ってくるため、その変化から空洞を検出できます。

電気抵抗法

電流を流し、その抵抗値から水分量や強度を調べる方法です。
水分量が多かったり、強度が低かったりすると電気抵抗値が小さくなります。

電磁波レーダー法

電磁波を照射し、その反射波から欠陥の有無や位置を調べます。
コンクリートの厚みや鉄筋の位置を測定することにも適しています。

X線法

X線を照射し、その透過光から欠陥の有無や位置を調べます。
内部の様子を直接観察することができるため、欠陥の形状や大きさを正確に把握できます。

赤外線法

赤外線を照射し、その反射光や透過光から欠陥の有無や位置を調べる方法です。
表面の温度変化から欠陥を検出できます。

鉄筋腐食度調査

構造物内部の鉄筋の腐食の有無や程度を調べる検査です。
鉄筋が腐食すると鉄筋の強度が低下し、構造物の強度や耐久性に影響を及ぼす可能性があります。

付着力引張試験

塗膜や接着剤などの付着強さを測定する試験です。
塗膜や接着剤がしっかりと下地に付着していなければ、剥離やひび割れなどの劣化を引き起こす可能性があります。

検査のポイント

コンクリートの非破壊検査のポイントには、以下が挙げられます。

目的の明確化
検査の目的を明確にし、何を評価するかを把握してから検査を開始します。
検査の種類によっては、異なる機器や手法が必要です。

検査前の準備
検査を行う前に、検査エリアの準備をします。
周辺環境の状態や安全性を確認し、必要な機器や材料を用意しておくことが重要です。

結果の正確な解釈
検査結果を正確に解釈するために、検査者は専門的な知識を持っている必要があります。
異常が検出された場合、それが構造に与える影響を正確に評価できるようにすることが重要です。

定期的な検査の実施
定期的な検査を行い、構造物の変化や劣化を追跡することが大切です。
これにより、問題が早期に検出され、適切な対策が講じられるでしょう。

出典:国土交通省「非破壊試験等によるコンクリートの品質管理について

コンクリートの非破壊検査の測定機器

コンクリートの非破壊検査

測定機器は、大きく分けて以下の種類があります。

超音波探傷器

内部に超音波を送り込んで、その反射波を測定することで、内部状態を調べる検査方法です。
強度、ひび割れ、空洞、鉄筋の位置や状態などを検査することができます。

ラジオグラフィー装置

内部にX線を照射して、その透過像を撮影することで、内部状態を調べる検査方法です。
内部に埋め込まれている鉄筋や配管などの位置を検査することが可能です。
また、鉄筋の腐食状況なども検査することができます。

インパクトエコーテスター

表面に衝撃を与えて、その反響音を測定することで、強度を推定する検査方法です。
これらの測定機器は、それぞれに測定できる項目や精度が異なります。
そのため、検査する項目や目的に合わせて適した機器を選択する必要があります。

出典:国土交通省「非破壊試験等によるコンクリートの品質管理について

適切な検査を行うことが重要

コンクリートの非破壊検査は、構造物の安全性や耐久性を維持するために重要な検査です。
定期的に検査を行うことで、劣化や損傷を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。
検査を行う際には、適切な検査を選ぶ必要があることを知っておきましょう。