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鋼材の腐食への対応。鋼材の種類と併せて解説

鋼材は、「鉄と炭素を主成分とする合金」です。
建築・土木・機械・自動車など、さまざまな用途に使用されます。
しかし、鋼材は空気中の酸素や水分と反応して腐食するため、適切な対策が必要です。

本記事では、鋼の腐食や防食法、建設用鋼材についてご紹介します。

腐食のメカニズム

鋼材の腐食は、鉄と酸素が化合して酸化鉄を形成する反応です。
この反応は、空気中の酸素と水分によって進行します。

鋼材の表面には、鉄イオンと酸素イオンからなる酸化被膜が形成されています。
この酸化被膜は、鋼材を酸素や水分からの侵入から守る役割を果たしています。

しかし、酸化被膜は常に破壊され、新しい酸化被膜が形成されるというサイクルが繰り返されています。
酸化被膜が破壊されると、鋼材は酸素と直接反応して酸化鉄を形成し始めます。
酸化鉄は、赤茶色の粉末状の物質で、鋼材の強度を低下させます。

鋼材の腐食は大きく分けて以下の2つの種類に分けることができます。

湿食腐食

湿食腐食は、水分を含む環境で発生する腐食です。
雨水や土壌中の水分、海水などが腐食の原因となります。
湿食腐食は、酸化被膜が破壊されやすいため、速やかに進行します。

乾燥腐食

乾燥腐食は、水分がほとんど存在しない環境で発生する腐食です。
空気中の水蒸気や、工業用ガスなどの水分を多く含む環境などが腐食の原因となります。
乾燥腐食は、湿食腐食に比べると進行は遅いですが、局部的に深刻な腐食を起こすことがあります。

腐食の遅らせ方

以下の防食法があります。

被覆防食

被覆防食とは、鋼材の表面に塗料やメッキなどの被膜を形成し、酸素や水分の侵入を防ぐ方法です。
鋼材の腐食を防ぐ最も一般的な方法であり、さまざまな用途で使用されます。

被覆防食の種類には、以下のようなものがあります。

塗装
塗装は、鋼材の表面に防護膜を形成する最も一般的な被覆防食方法です。
塗料には、油性塗料・水性塗料・エポキシ塗料など、さまざまな種類があります。
塗料の種類により耐候性や耐水性、耐薬品性などの特性が異なるため、使用環境に合わせて適切な塗料を選択することが重要です。

メッキ
メッキは、鋼材の表面に金属などの薄い層を被覆する方法です。
亜鉛メッキ・アルミニウムメッキ・クロムメッキなど、さまざまな種類があります。
メッキの種類によって、耐食性や耐摩耗性などの特性が異なるため、使用環境に合わせて適切なメッキを選択することが重要です。

無機被覆
無機被覆は、ガラス・セラミック・金属などの無機物からなる被膜を形成する方法です。
無機被覆は、耐候性や耐薬品性に優れているのが特徴です。

環境改善

鋼材の腐食を防ぐ方法として、環境改善も有効とされています。
環境改善とは、鋼材の腐食を促進する環境を改善する方法です。
鋼材の腐食は、酸素や水分が原因といわれています。
そのため、環境改善としては酸素や水分の供給を抑制する方法が有効です。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 屋根や壁などの下で使用すること
  • 防水処理を施すこと
  • 腐食環境から鋼材を隔離すること

また、鋼材の腐食は温度や湿度、塩分濃度などの環境要因によっても影響を受けます。
環境改善は被覆防食と併用することで、より効果的に鋼材の腐食を防止できます。

建設用鋼材の種類

建設用鋼材

ここでは、建設用鋼材の主な種類についてご紹介します。

一般構造用圧延鋼材(SS材)

SS材は、建築構造物や土木構造物などの一般的な構造に使用される鋼材です。
強度と加工性に優れているとされています。

溶接構造用圧延鋼材(SM材)

SM材は、SS材に比べて炭素含有量が少なく、溶接性が高い鋼材です。
橋梁や構造物などの溶接接合部に使用されることが多いです。

建築構造用圧延鋼材(SN材)

SN材は、SS材とSM材の性能を両立させた鋼材です。
建築構造物や土木構造物などの一般的な構造に使用されます。

高張力鋼材

高張力鋼材は、厚肉・高強度の鋼材です。
軽量化や強度向上のために使用されます。

耐候性鋼材

耐候性鋼材は、湿気や塩分などの腐食環境に強い鋼材です。
橋梁や海岸沿いの構造物などに使用されることが多いです。

ステンレス鋼

ステンレス鋼は、鉄(Fe)を主成分とし、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金鋼です。
クロムは、鉄の表面に緻密な酸化被膜を形成する働きがあり、この酸化被膜が鉄の腐食を防止する効果があります。
ステンレス鋼は、耐食性・強度・加工性・耐熱性など、優れた特性を備えています。
そのため、さまざまな用途に使用されます。

腐食しないためにさまざまな対策を知っておきましょう

鋼材の腐食は、酸素や水分などの侵入によって発生します。
鋼材の種類によって、腐食への耐性は異なります。
腐食を防止するためには、鋼材の種類や使用環境を考慮し、適切な対策を講じることが重要です。