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建設廃棄物が環境に与える影響。SDGsを考慮した建材と併せて解説

建設廃棄物は、国内の産業廃棄物の中でも大きな割合を占めているとされ、環境問題の大きな要因となっています。
しかし、具体的にどのような影響があるのか、イメージしづらい部分もあるのではないでしょうか。

本記事では、建設材料が環境に与える影響、SDGsを考慮した建材についてご紹介します。

建設廃棄物の問題

建設廃棄物とは、建設工事によって発生する廃棄物の総称です。
コンクリートや鉄筋、木材、廃プラスチックなど、さまざまな種類の廃棄物があります。

建設廃棄物が環境に与えること

建設廃棄物が環境に与える主な影響は以下のとおりです。

埋め立てによる環境汚染
建設廃棄物は、埋め立て処分されることが一般的です。
埋め立て処分により重金属やダイオキシンなどの有害物質が地下水や土壌に漏出し、環境汚染を引き起こす可能性があります。

焼却による環境汚染
建設廃棄物は、焼却処分されることもあります。
焼却処分により二酸化炭素やダイオキシンなどの温室効果ガスや有害物質が排出され、環境汚染を引き起こす場合もあるでしょう。

資源の浪費
建設廃棄物には、再利用やリサイクル可能なものが多くあります。
しかし、実際には再利用やリサイクルされない建設廃棄物も少なくありません。
資源の浪費が進むことで、地球環境の悪化や経済的損失につながる可能性があります。

建設副産物との違い

建設副産物とは、建設工事において副次的に得られる物品であり、再生資源や廃棄物を含むものとして定義されています。
建設廃棄物は建設工事において生じた不要物ですが、建設副産物は建設工事において副次的に得られる物品であり、再生資源及び廃棄物を含むものとされています。

出典:国土交通省「1 建設リサイクル基礎知識解説

建設リサイクルによる対策

建設リサイクルとは、建設工事で発生する廃棄物(建設廃棄物)を再利用やリサイクルにより資源として有効活用することです。
建設リサイクルは、建設リサイクル法を基準に行うものとされています。

建設リサイクル法とは、建設工事によって発生する廃棄物(建設廃棄物)を再利用やリサイクルによって資源として有効活用することを推進するための法律です。

建設リサイクルを推進することで、以下のメリットを得ることができます。

環境負荷の低減

建設廃棄物の再利用やリサイクルにより、埋め立てや焼却による環境汚染を抑えることができます。
たとえば、コンクリートや鉄筋などの金属類は、再利用することで埋め立て処分や焼却処分による環境汚染を抑えることができます。
また、木材や廃プラスチックなどの非金属類は、リサイクルすることで埋め立て処分や焼却処分による環境汚染を抑えることが期待されています。

資源の循環促進

建設リサイクルでは、資源の循環を促進することにつながります。
たとえば、コンクリートや鉄筋などの金属類はリサイクルすることで新たな資源の採掘を抑制できます。
また、非金属類はリサイクルすることで新たな資源の製造を抑えることが可能です。

経済的メリット

建設リサイクルにより、廃棄物処理費用を削減することができます。

出典:国土交通省「1 建設リサイクル基礎知識解説

SDGsを考慮した建材も登場している

建材

SDGsを考慮した建材とは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する建材のことです。
SDGsは2015年に国連で採択された、2030年までに持続可能な開発を実現するための17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。
以下、SDGsを考慮した建材があります。

リサイクル材を使用した建材
使用済みの建材や廃棄物から再生された材料を使用した建材です。
資源の循環を促進し、環境負荷の低減につながります。

環境に配慮した製造工程を採用した建材
製造工程で発生する環境負荷を抑えた建材です。
たとえば、二酸化炭素の排出量を抑えた製造工程を採用した建材、水やエネルギーの使用量を抑えた製造工程を採用した建材などが考えられます。

長寿命でメンテナンス頻度が少ない建材
長期間使用でき、メンテナンス頻度が少ない建材です。
建物のライフサイクル全体で見た環境負荷を抑えることができます。

具体的な建材

具体的な建材には以下が挙げられます。

外壁材
石炭灰や古紙のパルプを素材にした外壁材が登場しています。
石炭灰は、石炭火力発電所から排出されたもの、補強繊維には紙にはリサイクルできない古紙が用いられています。

断熱材
植物由来の原料を配合し、ウレタンを減らした断熱材が登場しています。
従来の断熱材と比較して、CO2排出量が約25%削減されるといわれています。

仕上げ塗料
1回塗るだけで杉の赤身を消し、むくの白太材のような風合いを再現する塗料が登場しています。
杉の赤身材は丈夫ですが、見た目の赤さかから建材としては不人気でした。
一方で、白太材は人気ですが杉の約3~4割しか取れなかったため、需給のバランスが取れていませんでした。
この仕上げ塗料を使うことで、その問題の解決が期待されています。

建設廃棄物が与える影響を知ろう

建設リサイクルは、環境問題の解決と資源の循環促進につながる重要な取り組みです。
今後、建設リサイクルがさらに進むことが考えられます。
また、SDGsの目標達成に貢献する可能性を秘めている建材も登場しています。
今後、これらの建材の普及も期待されています。