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建設キャリアアップシステムとは!?建設業で働くすべての方が知っておきたい基礎内容

建設業でキャリアアップを考えている方が知っておきたいシステムの一つが「建設キャリアアップシステム」です。
建設キャリアアップシステムとはどのような方が対象で、どのようなシステムなのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設キャリアアップシステムの概要や活用するメリットなどをご紹介します。

建設キャリアアップシステムとは

建設キャリアアップシステムとは、技術者が就業実績や資格を登録することで、技能の公正な評価や工事の品質向上、作業の効率化につなげるシステムを指します。
国土交通省と建設業界が連携して普及に取り組んでいることからも、信頼性の高いシステムと言えるでしょう。
日本は少子高齢化などによる働き手不足が深刻化しており、全産業で担い手の確保が課題となっています。
建設業においても例外でなく、技能者や若年層の入職を進めるためには、他産業と比較して魅力的な産業・職業であることを提示する必要性に迫られました。
しかし現実には、建設業における年齢別の賃金を見ると、ピークは40歳前後に訪れているとされています。
これは、他の製造業全体よりも早い年齢です。

適切に評価されていないことが問題

建設業における賃金のピークが製造業全体よりも早い原因の一つが、可視化しづらい管理能力や後進の指導などの部分が適切に評価されていないことが挙げられるといわれています。
また建設技能者は現場で経験を積むことが多いため、一人ひとりの技能者の能力が評価されづらい構造的な問題が指摘されました。
こうした問題を解決するために出来上がったのが、建設キャリアアップシステムです。

活用するメリット

施工管理職の男性

建設キャリアアップシステムは、現場経験や保有資格などが統一ルールでシステムに蓄積されるため、技能者の適切な評価につながることが期待されます。
さらに、システムを通じて処遇の改善につながる環境の整備も考えられています。
建設キャリアアップシステムが普及すれば、若年層への建設業のイメージアップにもつながるでしょう。
そして技能者、下請業者、元請や上位下請から見たメリットには以下が挙げられます。

技能者のメリット

建設キャリアアップシステムの情報が活用されることで、適正な能力評価やレベルごとの賃金水準の形成が期待できます。
また現場や勤務先が変わっても、システムにデータが蓄積されているため、能力を客観的に証明可能です。
さらにカードリーダーにタッチするだけで、日々310円の建退共済金の積立が可能になります。
これは元請が一括して掛金支払いを行います。

下請業者のメリット

下請業者は、自社が雇用している技能者の数や保有資格、社会保障加入資格などを検索・提示しやすくなります。
その結果、取引先からの信頼も得やすくなるでしょう。
また、システムを用いることで出面管理のIT化や賃金・代金支払いの根拠を明確化できます。

元請や上位下請から見たメリット

初めて仕事を行う下請業者の技能者の数や保有資格などの確認が容易になるため、施工の安心感につながります。
さらに、増加する外国人労働者の資格などの確認も容易になるでしょう。
システム上で作業の進捗状況の確認や支払い状況の確認もできるため、現場管理作業の効率化も期待できるでしょう。
また施工体制台帳や作業員名簿を作成する際にも、作業の簡素化やペーパーレス化が実現します。

出典:国土交通省「建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステムの申請方法

登録申請を行う際には、元請・下請ともに、まず事業者登録を行ってください。
技能者登録を行う際には、所属する事業所の事業者名と事業者登録を行った際に発行される事業者IDが必要なためです。

そのため、建設キャリアアップシステムの申請は以下の順番で行うのがおすすめされています。

  1. 事業者登録
  2. 事業者ID登録
  3. 技能者登録

具体的な申請方法について確認しましょう。まずはインターネット上で事業者登録を行う方法です。

インターネットで事業者登録を行うポイント

事業者登録を行う際、まず初めに会社の中で登録責任者(登録の実務担当者)を決めましょう。今後支払いに関するメールや事業者IDの通知メールが登録責任者に届きます。

建設キャリアアップシステムを利用する上で重要となる情報がメールで届くため、登録責任者はメールの受信ができるように設定し、メールが届いていないか定期的に確認してください。

メールが届いていない場合は、迷惑メールとして処理されているかもしれません。また、業務上で複数のメールアドレスを兼用している方は、確認するフォルダを間違えているケースもあるため注意しましょう。

登録責任者が決まったら、事業者登録に必要な書類を準備します。
インターネット申請ではJPEGデータで提出しなければならないため、紙の書類やPDFデータで書類を保管している場合は適宜JPEGデータへ変換してください。提出に必要な書類は公式ホームページの最新情報を参考にしてください。

必要書類のJPEGデータを用意出来たら、公式ホームページにて新規登録の手続きを行いましょう。書類の不備や記入漏れがないことが確認され、登録料の支払いも完了していたら登録完了です。

インターネットで技能者登録を行うポイント

事業者IDを手に入れたら、次は技能者登録を行いましょう。インターネット上で技能者登録を行う方法も、事業者登録を行う方法とほとんど同じです。公式ホームページに記載されている、必要書類を用意し提出すれば完了です。

注意しなければならない点として、インターネット上で技能者登録を行う場合、「簡易型登録」と「詳細型登録」のどちらかを選んで登録します。それぞれ提出しなければいけないものが異なりますので、書類に不備が無いよう気を付けましょう。

「簡易型登録」では本人情報をはじめ、所属事業所名などを登録します。一方、「詳細型登録」では「簡易型登録」で必要な情報に加えて、保有資格や健康診断などの情報も登録します。

「詳細型登録」を行っておくと、建設キャリアアップシステムの要である能力評価制度を受けられるようになります。能力評価制度を目当てに技能者登録を行うのならば、「詳細型登録」を行うと良いでしょう。

もちろん「簡易型登録」を済ませた後でも、必要な書類を準備して申請すれば「詳細型登録」に変更できるため問題ありません。

窓口で事業者登録、技能者登録を行う際のポイント

窓口で直接申請を行いたい場合は、まず「認定登録機関」へ向かいましょう。「認定登録機関」とは、申請書類の受け取りや記入補助を行い、本人情報や資格なども不備がないかを確認し、「登録のできる窓口」機関です。

建設キャリアアップシステム認定登録機関は各都道府県に存在しているため、こちらも公式ホームページから確認してください。

また、悪天候の際は受付時間などが変更になる場合があります。そのため、天気が悪い日に窓口で申請を行う際には事前に電話で確認をしておくのがおすすめです。

登録窓口には「事業者(もしくは技能者)情報登録申請書」を「事業者(もしくは技能者)申請提出用封筒ラベル」に入れて持っていきます。技能者申請では運転免許証やマイナンバー、パスポートといった本人確認書類が必要になるため忘れずに注意しましょう。

受付にて必要書類を提出し、内容に不備がなければ登録が完了となります。

申請書類の記入漏れや添付書類ミスがないよう、書類を準備する際にはホームページに記載されている「留意事項」を念入りに確認しておくのが重要です。

技能者登録の登録料払込票は、認定登録機関にて渡されます。一方、事業者登録の登録料は審査完了後に郵送にて請求されます。(一人親方(登録料無料)を除く)

いずれにしても払込票を受け取ったら、忘れないうちに支払いを済ませましょう。
ちなみに窓口での申請の場合、技能者登録は「詳細型登録」しか行えません。準備する書類を間違えないよう確認しておきましょう。

建設キャリアアップシステムは業界全体にさまざまなメリットがある

建設キャリアアップシステムの普及は、技能者・事業者それぞれに大きなメリットをもたらします。
またシステムが普及することで、今後業界の担い手として期待される若年層へのアピールにもつながるでしょう。
今後も、建設キャリアアップシステムの周知や普及が進むことが予想されていますので、施工管理職を目指す方は制度の概要と目的、メリットなどを理解しておきましょう。