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海外の建設機械の投資動向。地域ごとに解説

建設投資は政府と民間部門によって行われ、経済成長に大きな影響を与えています。
経済成長の重要な推進力の一つでもあります。

本記事では、海外の建設投資動向についてご紹介します。

アメリカの建設投資動向

アメリカの建設投資動向は、景気動向に大きく左右されます。
景気が良い時は、建設投資も増えますが、景気が悪い時は、建設投資も減少するとされています。
近年では、2007年のサブプライムローン問題をきっかけにした世界金融危機以前の水準を上回っているといわれます。
2019年半ば以降は、FRB(連邦準備制度理事会)によるフェデラルファンド金利の誘導目標が引き下げられたことから、住宅ローン金利が低水準となり、住宅を購入するためのコストが抑えられました。
そのため、住宅市場は好調に推移しています。

建設機械の動向

住宅市場が好調なことから、ミニショベルの需要が増えています。
ただし、2020年は公共工事が横ばいだったことから、油圧ショベルの需要はややマイナスになりました。
ただし、長期的に見ると、老朽化したインフラの整備が見込まれるため、建設機械の需要は底堅いと考えられています。
世界的に温室効果ガスの排出削減が求められているため、建設機械の燃費基準は厳格化されるでしょう。

EUの建設投資動向

ユーロ圏では特にインフラ投資が重要とされています。
1999年にユーロが導入されたことで、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどでイングレが発生し、経常収支赤字が広がりました。
その結果、2009年に欧州債務危機が起きてしまい、緊縮財政を行ったことで経済の悪化を招きました。
このことから、財政統合に向かうことになったのです。
欧州投資銀行がインフラや農業部門に融資を行ったことで、経済や社会の結合が強化されました。

建設機械の動向

EUでは油圧ショベルとミニショベルの需要が2020年はマイナスでした。
しかし、その後はミニショベルの需要が大きく増えています。
これは、日本と比較して建物の寿命が長く、建て替えよりも修繕やリノベーションが多いことから、ミニショベルの需要が高いと考えられています。
また、ポーランド、ハンガリー、チェコなどの中・東欧国は、今後の経済成長に伴い、建設機械の需要増が見込めるとされています。

中国の建設投資動向

中国は自国メーカーが台頭しており、日本メーカーのシェアは低下しているとされています。
2020年10月に行われた5中全会では、「2035年までにGDPと1人あたりの収入を倍にすることは可能」とされました。
さらに、建設業付加価値額がGDPに占める割合が増加していることから、今後も建設投資は順調に推移すると考えられています。

建設機械の動向

ある統計によると、中国では建設機械業界の営業収入が2017年に約5,403億元、2019年には約6,681億元と増加しています。
個人オーナーも多く、展示会で気に入れば購入するということも多いそうです。
2010年時点では外資メーカーの方が割合が多かったのですが、2020年には逆転し、中国メーカーの方が多くなっています。

アジアの建設投資動向

ASEAN諸国は、政治的・経済的に日本と結びつきが強い地域です。
さらに、日本が積極的にインフラ整備に関与している地域でもあります。
2020年代中ごろには経済規模で日本を抜くと予想され、世界から多額の直接投資が行われています。
直接投資とは、海外での現地法人設立や外国法人に資本参加するために行われる国際資本移動のことです。

アジアでは特に中国の建設機械のシェアが高まっているとされます。
これは、中国が受注した建設工事や鉱山開発で、自国の建設機械が使用されているためです。

インドの内需拡大が期待されている

内需拡大が一番期待されているのは、インドです。
2019年時点ではインドの人口は世界2位で、まもなく世界1位の中国を抜くともいわれています。
そのため、内需拡大が期待され、日本も多くの投資を行っています。

中南米・アフリカの建設投資動向

林 建設機械

日本メーカーは、中南米では販売網を構築していますが、アフリカではこれからです。
ただし、中年米・アフリカどちらとも、経済成長は鈍化傾向にあるといわれています。
中南米は、資源や農産物で中国に頼る構造が限界を見せているとされています。
国民の財政再建への抵抗が大きいことに加え、燃料補助金の削減などが進んでおらず、財政赤字と経常収支赤字の両方が起きています。
輸出によって経済回復を目指していますが、通貨安のため、輸出量は増えますが国民にとっては打撃となります。

アフリカも実地GDP成長率が低迷しており、投資環境やインフラ整備が遅れています。
このため、アジア諸国のように対内直接投資が積極的に行われていません。
ただし、人口ボーナスは続いているため、経済成長に関するポテンシャルが期待されています。

鉱山機械の需要がある

中南米やアフリカは鉱山の採掘現場が多いため、鉱山機械の需要が大きいのが特徴です。
現場では、油圧ショベル、ホイールローダー、ダンプトラック、ブルドーザー、モーターグレーダーなどが活躍しています。

世界の建設投資動向を知ろう

建設投資は、経済成長の重要な推進力の一つであり、雇用創出や経済活動の活性化につながります。
ぜひ世界の建設投資動向に興味を持ってみましょう。