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高層ビルはS造(鉄骨造)から始まった!?世界を代表する高層ビルの構造を解説

世界中には、S造で作られた有名な建築物があります。
今でも残るS造建築物には、どのような特徴があるのでしょうか。

本記事では、高層ビルの歴史についてご紹介します。

リアイアンスビル(アメリカ/シカゴ)の構造

アメリカのシカゴにある「リアイアンスビル」は、19世紀末に作られた16階建てられたビルです。
骨組みに鋳鉄ではなく、鋼が採用されています。
鋼は鋳鉄よりも強く、火に強いのが特徴です。

また、低層階には大きな開口が設けられています。
これは、レンガを積む構造だと、下ほど壁が厚くなるためとされています。
高層ビルを鉄骨造で建てることが多いのは、強度の割に重くなく、組み立てもリベットやボルトで簡単にできるためです。
また、細い柱梁のフレームだけで構造を作れるため、建物を強くするために外側に壁を設けずに済みます。

当時のシカゴでは多くのビルが作られており、「シカゴ派」と命名されていたそうです。
この時期は、鋼の生産や組み立て技術が成熟してきており、シカゴ大火の復興景気も後押ししました。
このリアイアンスビルは、1世紀以上経った現在も健在です。

シカゴでは多くの高層ビルが建てられる

シカゴでは、リアイランスビルのあとにも先進的な超高層ビルが建てられています。
1970年竣工のジョン・ハンコック・センター(344m)や1973年竣工のウィリス・タワー(443m)などがあります。
いずれも、基本構造には鉄骨造が採用されています。

エンパイアステートビル(アメリカ/ニューヨーク)の構造

エンパイアステートビルは1931年、アメリカのニューヨークで作られた443mのビルです。
骨組みに鋼製の柱と、それを横に結ぶ梁を使い、102階まで積み上げています。
この構造はラーメン構造と呼ばれており、細部のデザインはアールデコ方式が採用されています。

アールデコの傑作とも呼ばれている

エンパイアステートビルは、世界で最も総体とされるアールデコ方式の摩天楼が特徴です。
アールデコは、ギザギザした幾何学的なデザインが特徴で、アールヌーボーの対極にあるデザインです。
約60mの高さにある頂上部分の尖塔があり、鮮やかな色の組み合わせの光に照らし出されています。
きらびやかな星型模様と金属の装飾が、ホール、エレベーター、天井を覆っているのが特徴です。

建設から100年近く経っているため、照明からガラス製品、大理石の内装など、主要な設計要素の多くが風化しているとされます。
しかし、現在では多くの歴史的なガラス製品が、職人や歴史家たちの手によって復元されています。
こうした取り組みにより、エンパイアステートビルは当時のままの姿が保たれているのです。

ワールドトレードセンター(アメリカ/ニューヨーク)の構造

ワールドトレードセンター

ワールドトレードセンターは、1973年に作られた 417 mのビルです。
地上110階、ツインタワーを中心とした超巨大複合ビルでした。
ワールドトレードセンターは、日系アメリカ人のミノル・ヤマサキ氏によって設計され、1972年に完成しました。
当時は「アメリカ経済の象徴」といわれたそうです。

ワールドトレードセンターの構造は、鋼によるチューブ構造なのが特徴です。
柱を外側に密に並べて支えており、外殻構造やラーメン形外殻構造などともいわれています。
平面的に大きい場合は、内部のコア周りにも柱を並べていきます。
ワールドトレードセンターは、中央コアの周りにも柱を並べ、大きな強度を持たせていたとされます。
チューブの表面には、大きな斜材(ブレース)を付け、チューブの面を強くする工夫もされていました。
近年の超高層ビルには、このチューブ構造が採用されることが多いといわれています。

世界を代表する高層ビルについて知ろう

世界には、100年近く経過しても現存している高層ビルが多くあります。
鉄鉄骨の素材である鋼は素材として強く、同じ力に耐える場合にも軽量な素材で済むためとされています。
また、部材を工場で製作したあとに組み立てるため、現場での作業を減らすことができます。
ぜひ構造について興味を持ってみてはいかがでしょうか。