Menu

建設現場の騒音問題への向き合い方。苦情の実態

建設業では、重機などを使用することもあり、騒音がしばしば問題になります。
現場では、騒音問題にはどのように向き合っているのでしょうか。

本記事では、建設作業の騒音問題についてご紹介します。

建設現場の騒音問題の実態

環境省の調査によると、騒音に関する苦情の件数は15,726件(令和元年度)でした。
苦情の内訳は、以下のとおりです。

  • 建設作業:6,062件
  • 工場/事業場:4,422件
  • 営業:1,411件

出典:環境省「令和元年度(平成31年度)騒音規制法等施行状況調査の結果について

騒音規制法による措置の状況

令和元年度の騒音規制法の指定地域内の苦情の件数は553件で、同年度に行われた騒音規制法に基づく報告の徴収は98件となっています。
また、立入検査が365件、騒音の測定が195件あり、その結果、規制基準を超えていたものは99件です。
また、行政指導が414件、同法に基づいた改善勧告が1件、改善命令は0件となっています。

出典:環境省「令和元年度(平成31年度)騒音規制法等施行状況調査の結果について

騒音苦情への対策

環境省は、騒音苦情などに対応するため、指定地域内で行われる建設工事のうち、特定建設作業を対象として規制基準を定めています。
特定建設作業とは、騒音規制法及び振動規制法で定められた、著しい騒音又は振動を発生する作業です。

特定建設作業の具体例は、以下のとおりです。

  • くい打ち機、バックホウ、ショベルカーなどの建設機械を使用する作業
  • コンクリート打設、アスファルト舗装などの作業
  • 鉄筋コンクリート造の建物の解体作業
  • 道路の舗装工事、橋梁の架設工事などの大規模な建設工事

特定建設作業を行う場合には、各市町村に届出が必要です。
届出は、作業を行う場所の区や市の窓口に、作業開始の7日前までに提出します。
また、特定建設作業に伴って発生する騒音・振動が規制基準に適合していなければなりません。

出典:環境省「建設工事に係る騒音・振動の規制

騒音や振動の規制基準

騒音規制法・振動規制法では、建設工事において著しい騒音・振動を発生する作業を特定建設作業として規制しています。
騒音規制法の規制基準は、以下のとおりです。

作業時間帯
1号区域:7時~19時まで 
2号区域:6時~22時まで

作業時間
1号区域:1日あたり10時間以内、同一場所で連続6日以内
2号区域:1日あたり14時間以内、同一場所で連続6日以内

作業日
1号区域・2号区域:日曜日/休日でないこと

騒音の上限
くい打設作業、びょう打等作業、破砕作業、掘削作業、空気圧縮機を使用する作業、締固め作業、コンクリートプラント等及びコンクリート搬入作業、はつり作業及びコンクリート仕上げ作業、建設物の解体・破壊作業:85デシベル

特定建設作業に伴って発生する騒音・振動が規制基準に適合していない場合には、市町村から改善勧告や改善命令を受けることがあります。
また、改善勧告や改善命令に従わない場合には、罰則が科せられることがあります。

出典:環境省「建設工事に係る騒音・振動の規制

特定建設作業の規制基準について知っておこう

現場で作業をする上での騒音を減らすために、さまざまな工夫がなされています。
たとえば、防音壁や防音シートなどを設置することで、騒音・振動を低減することができます。
また、作業時間の制限は騒音・振動による迷惑を軽減するために有効です。
騒音規制法では、特定建設作業の夜間作業を原則として禁止しています。

これらの対策を講じることで、騒音・振動による周辺住民の迷惑を軽減することができます。
苦情を抑えるために、建設業はさまざまな対策を施していることを理解しておきたいですね。