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自然災害大国である日本。防災への取り組み内容

日本は台風や地震など、自然災害に見舞われることが多い国とされています。
そのため防災への意識が高く、さまざまな取り組みがされてきました。

本記事では、日本の自然災害、それに対応するための技術について紹介します。

防災と危機管理

防災とは、災害を未然に防ぐための取り組みです。
災害には、自然災害はもちろん、失火、爆発、落下、漏洩、産業事故などの二次災害も含まれています。
危機管理は、防災と同じような意味として用いられています。
いずれも、何らかの行動をとることで、リスクを減らすことを目的としています。
ただし、危機管理は防災よりもより広い物事や事後の対応も含んだ、実務的な概念とされています。

日本の自然災害

日本は、世界的に見ても自然災害の多い国とされています
津波や高潮による死者は、ほとんどがアジア圏におけるものです。
アジア地域は、北米やヨーロッパと比較すると自然災害に遭う確率がはるかに高い傾向にあります。
これは被害額を見ると分かりやすく、世界全体の自然災害の被害額のうち、約45%がアジアです。
さらに、その1/3である約15%が日本の被害額です。
この数字からも、いかに日本で自然災害が多いかが分かります。

地震の脅威にさらされる日本

日本は、太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの4つのプレートの境界が集中している、世界的に見ても珍しい国です。
さらに、列島の内陸部には、多くの活断層があります。
日本で発生する地震の多くは、このプレートと活断層が引き起こしています。
その頻度も高く、1995年から2004年までの10年間に起こったマグニチュード6.0の地震回数は、世界全体の約22%を占めています。
今後、太平洋沿岸域で地震発生確率が高いといわれているため、地震に対する備えが防災の重要な課題の1つです。

風水害による影響

日本は、台風による被害も多いとされています。
日本列島は、モンスーン地域で台風の通過地域に位置しており、年間約3個の台風が上陸しています。
しかし、2004年のように10個の台風が上陸した年もあります。
毎年のように襲来する台風は、多くの風水害被害をもたらします。

また近年、短時間の集中的な降雨も問題視されています。
日本の年間平均降水量は1,600㎜ほどですが、2004年には1時間降水量50㎜以上の発生回数が470回と観測開始以来最多を記録しました。
年降水量は年ごとに大幅に変化し、水不足のリスクも考えなくてはいけません。

防災への取り組み

多くの災害を経験してきた日本では、さまざまな防災の技術の開発や研究が行われてきました。
たとえば、高架橋や鉄道施設に大きな被害を与えた阪神淡路大震災を契機に構造物の耐震性能の見直しがなされました。
さらに、発生頻度が低くとも活断層を想定した強度を持つ地震動も考慮し、耐震設計が見直されています。
既存構造物の耐震補強工事や補強なども全国で実施されており、東日本大震災時には阪神淡路大震災と同種の地震動による被害はほとんどなかったといわれています。
しかし、東日本大震災は津波への対策という新たな課題を浮き彫りにしました。

防災の基本的な事柄には、こうした過去の災害発生のメカニズムの解明も組み込まれています。
防災対策も調査研究は解明したメカニズムにおいて行われるため、重要な役割を占めるのです。

ハザードマップ

ハザードマップ

ハザードマップは、自然災害発生時に被害が及ぶ範囲と被害の程度を地図上に示した図面です。
ハザードマップ作成時には、設定された条件下でシミュレーションを行い、予測された災害がどの場所で起こり、どの程度被害が拡大するのかを確認します。
そのため、自分が住んでいる場所やよく通う場所の、もしもの時の危険度が分かります。

さらにハザードマップには、各地域の避難経路や避難場所が示してあります。
ハザードマップを確認し、災害発生時に住民が素早く安全に避難することを目的としています。
また、ビジュアルとして分かりやすく表現することで、防災意識を高める働きもあります。

ハザードマップの種類

ハザードマップは、災害の種類ごとに分けて作成されています。

洪水ハザードマップ
河川氾濫による水害を想定し、浸水想定区域とその自治体が指定する避難場所などが確認できます。

土砂災害ハザードマップ
急傾斜地などの危険地域や斜面崩壊、急傾斜地崩壊危険地域、土砂災害警戒区域、避難所等を確認できます。

地震災害ハザードマップ
液状化が発生する場所や範囲、大規模火災が発生する範囲などが記載されています。

火山ハザードマップ
噴火が起こる火口の場所や溶岩流、火砕流、火災サージの到達範囲、火山灰の効果範囲等を確認できます。

津波ハザードマップ、高潮ハザードマップ
浸水地域、高波地通行止め箇所が記載されています。

防災への意識を高めよう

自然災害による脅威にさらされることの多い日本では、古来より防災への意識がありました。
近年では、過去のメカニズムを解明し、それを活かした取り組みが行われています。
身近な例としてハザードマップが挙げられますので、まずは自分の職場地域のハザードマップを確認してみてはいかがでしょうか。