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ゼネコンを中心とした建設業界の市場。現状を把握しておこう

私たちの生活を支える重要なインフラを提供する、建設業界の中心を担うのがゼネコンです。
ゼネコンの経営状況は、建設業界全体の状況を反映しています。

本記事では、ゼネコンを中心とした「建設業界の市場」についてご紹介します。

「建築」の市場

2021年度の建設8大市場の規模は、工事費予定額ベースで約20兆円を超えるとされています。
ここでは、建築の市場の動向についてご紹介します。

住宅

住宅市場は、国内民間建設投資額の約4割を占めています。
2015年頃から微増傾向にあり、2019年の消費税引き上げ時の駆け込み需要からの反動などにより、減少傾向にありました。
その後、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって建築需要が急減しました。
2021年度はその反動により、増加しました。
また、国土交通省の「建築着工統計調査報告(令和4年計分)」によると、2022年度の新設住宅着工は持ち家は減少、賃家や分譲住宅が増加し、全体では増加となりました。

オフィス

オフィスは建設市場規模の約6%にあたるようです。
2015~2019年には、アベノミクスなどによる経済回復などが後押し、企業の設備投資が増加した関係でオフィス需要は増加傾向にあったとされています。
国土交通省の調査によると、2022年度は店舗及び工場は増加しましたが、事務所や倉庫は減少しているため、全体では減少傾向といえます。

工場

工場士業は建設市場規模の約5%にあたるとされています。
近年は為替対応やインバウンド需要への対応、ブランドの担保など、さまざまな理由で国内回帰の動きもあり、増加傾向にありました。
その後、新型コロナウイルスの影響により、新設需要は停滞します。
しかし、その後の2022年度には再び増加傾向にあるようです。

商業施設

商業施設は建設市場規模の約3%ほどです。
2015~2019年頃は通販サイトの普及などにより店舗販売需要の減少を受け、縮小傾向にありました。
また、今後も新設需要は少ないのではないかと予想されています。

物流施設

物流施設は建設市場規模の約3%とされています。
通販サイトの需要が増えたことにより、近年は活発な市場といわれています。

宿泊施設

宿泊施設は建設市場規模の約3%とされています。
オリンピックやインバウンド需要などがあり、新設は増加傾向になったとされています。
ただし、新型コロナウイルスの影響を受け、中期的な新規の増加は難しいと考えられています。

出典:国土交通省「建築・住宅関係統計

「土木」の市場

近年の土木市場は、政府投資が需要を後押しして拡大傾向にあります。
さらに、東京オリンピックなどの大規模開発の押し上げなどもあり、長期的な拡大傾向が見られます。

道路

東日本大震災語の復興支援や国土強靭化計画などもあり、堅調に推移しているようです。
さらに今後は老朽化問題もあり、修繕なども視野に入っているため需要回復が見込まれています。

橋梁

高速道路などの新設が落ちついたことから、近年での需要は減少傾向にあったようです。
ただし、4車線化やミッシングリンク解消に向けた工事が始まり、2021年度は微増となりました。

トンネル

リニア中央新幹線工事などに伴う需要がありますが、新設は減少すると考えられています。
ただし、老朽化が進んでいることから、改修工事の需要は増えることが予想されます。

その他のインフラ

オリンピックや大阪万博などの需要もあり、しばらくは増加傾向にありました。
ただし近年は減少し、今後も新設の増加は難しいと考えられています。
民間においては、鉄道のバリアフリー化、リニア中央新幹線工事などもあり、需要の拡大が見込まれます。
ただし、新築住宅市場は縮小傾向にあるため、水道管やガス管工事などの減が予想されます。
官庁案件では、上下水道の老朽化対策の工事が見込まれるため、今後の需要拡大が注目されています。

出典:国土交通省「建築・住宅関係統計

今後も堅調な推移が予想されている

国土交通省の発表によると、2025年度の建設8大市場の始業規模は、工事費予定額ベースで約24兆3,000億円と予想されます。
2025年度にかけ、大都市圏での再開発計画のほか、国内回帰の流れによる設備投資需要も増えています。
そのため、2025年度までの建設市場は堅調な推移が予測されています。

出典:国土交通省「令和4年度(2022年度)建設投資見通し