防水工事は、29種類ある建設業の一種です。
建物の屋根や屋上、外壁などに防水処理を施し、雨水などが建物内に侵入するのを防ぐ目的で行われます。
本記事では、防水工事の仕事内容や工事の流れについてご紹介します。
防水工事とは
防水工事とは、屋根や屋上、外壁などに防水処理を施す工事のことです。
アスファルト、モルタル、シーリング材などを用いて防水を行います。
防水工事の目的は主に以下の3つです。
- 建物の強度を保つため
- 外観や内観を保つため
- カビを防ぐため
水が建物内部に入ると、建物の耐久性を低下させてしまいます。
また、同時にシミや変色を引き起こし、見た目を損ねてしまうのです。
さらに、漏水によってカビが発生し、健康被害を引き起こしてしまう可能性もあります。
これらを防ぐため、防水工事を定期的に施す必要があるのです。
出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」(H29.11.10改正)
防水工事の種類

防水工事は主に以下の5種類に分けられます。
ウレタン防水
ウレタン(塗膜防水)を使用した工事です。
ウレタンは、シート防水などと比較して、複雑な形状でも施工できるのが特徴です。
また、建物の傷み具合に合わせて、適した防水層を提供できます。
ゴムシート防水
伸縮性に優れたシートを使用した防水工事です。
伸縮性が高いため、下地に亀裂があっても柔軟に対応ができます。
塩ビシート防水
塩化ビニル樹脂製の塩ビシートを使用した防水工事です。
紫外線や熱に対して、優れた耐久性を持っています。
また、さまざまな色や模様があるため、下地に適しています。
FRP防水
FRP防水は、塗膜防水の一種です。
ガラス繊維を含んでおり、軽くて固いのが特徴です。
ウレタンと同様に場所を選ばないため、屋上駐車場やベランダなどによく利用されます。
アスファルト防水
アスファルトを用いた防水工事です。
防水シートに、高温のアスファルトを塗ることで補強します。
アスファルト防水には以下の3つの工法があります。
防水工事の仕事の流れ

一般的に、防水工事は以下のような流れで行われます。
洗浄
防水工事を行う部分を洗浄し、下地をきれいにします。
下地部分には、砂やホコリ、コケなどが蓄積されていることが多いです。
この上から防水処理を施しても、すぐに剥がれてしまい、耐久性が下がってしまいます。
そのため、念入りに清掃する必要があります。
下地処理
古いコンクリートの表面は、でこぼこになっていたり、ひび割れが発生していることが多いです。
そのため、下地を剥がしたり、補修をして、傷んだ部分を撤去します。
下塗り
シーリング材などの密着性を高めるため、プライマーを下塗りします。
プライマーを塗らないと密着性が下がり、短期間で剥がれてしまう可能性があります。
シート貼り・脱気筒取り付け
防水シートを貼ります。
接合部は、専用のテープなどを用いて接合します。
また、屋上の場合は脱気筒の取り付けを行う場合もあります。
脱気筒とは、防水層と下地の間に発生する湿気を排出するための設備です。
脱気筒がないと、発生した水蒸気によって防水層の劣化が早く進んでしまう可能性があるため使用します。
防水塗布
防水層を形成するため、まんべんなく平らに塗装していきます。
塗装による防水工事の場合、2度塗りを行う場合も多いです。
トップコート
シートの接続部分から水が入ったり、塗料が剥がれたりするのを防ぐため、トップコートを塗って仕上げを行います。
トップコートは、摩擦や汚れなどから保護してくれる役割も持っています。
施工完了
トップコートを施したら施工完了です。
防水工事後は、定期的にメンテナンスを行い、問題ないか確認します。
特に、トップコートは5年に1度程度の塗り替えが推奨されています。
防水工事は建物を守るために必要な工事
防水工事は、雨水などの侵入を防ぎ、建物を守ってくれる役割があります。
また、シミや変色を防いでくれるため、美観維持にも役立ちます。
施工管理職を目指す方は、防水工事の目的と、施工の基本的な流れを理解しておきましょう。