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とび・土工・コンクリート工事とは!?工事種類と建設業許可を受けるための条件

とび・土工・コンクリート工事は、29種類ある専門工事の一種です。
この工事は他の専門工事に比べて、非常に広い範囲の工事を含んでおります。
本記事では、とび・土工・コンクリート工事の種類と、建設業許可を受けるための条件についてご紹介します。

とび・土工・コンクリート工事とは

とび・土工・コンクリート工事は、大きく以下の5つに分けられます。

  1. 足場の組み立てや機械器具・建設資材などの重量物のクレーンなどを使った運搬配置、鉄骨などの組み立てを行う工事
  2. くい打ち、杭抜きや場所打杭を行う工事
  3. 土砂などの掘削、盛り上げ、締固めなどを行う工事
  4. コンクリートにより工作物を築造する工事
  5. その他の基礎的ないしは準備的工事

5つに分けられた工事は、さらに細かく独立した工事が存在します。

足場の組み立てや機械器具・建設資材などの重量物のクレーンなどを使った運搬配置、鉄骨などの組み立てを行う工事
とび工事
工事に必要となる足場の架設を行う工事です。
足場設置を中心とした資材の搬入や搬出、足場の解体なども行います。

ひき工事
住宅や建物、構造物を移動する工事のことです。
土地の区画整理や、敷地有効利用などの際に行われます。

足場などの仮設工事・重量物のクレーンなどによる揚重運搬配置工事
重量物の搬出入や移動を行う工事です。

コンクリートブロック据付工事
プレキャストコンクリートの柱や梁などの部材の設置工事などが該当します。

鉄骨組み立て工事
加工された鉄骨を現場で組み立てる工事です。

杭打ち、杭抜きや場所打杭を行う工事
杭工事
一般的に、軟弱な地盤に建物の荷重を支えるための杭を打ち込む工事を指します。

杭打ち工事
製造された杭を支持層まで掘削し、埋設する工事のことです。

杭抜き工事
既存抗を引き抜く工事です。
杭頭にケーシングをかぶせた後に掘削し、地盤と既存杭を切り離します。

場所打ち杭工事
既存の杭を使うのではなく、現場の地盤を掘り、杭を造成する工事のことを指します。
穴を開けた後、鉄筋のかごを入れ、生コンクリートを流し込むことによって杭を作ります。

土砂などの掘削、盛り上げ、締固めなどを行う工事
土工事
土を掘り、別の場所に搬出する工事です。
土留め工事や排水作業など同時に行われることが多いです。

掘削工事
地盤に穴を掘る工事のことを指します。
土を掘り、コンクリートなどを流し込むスペースを作成します。

根切り工事
建物の基礎工事前に、地面を掘削する工事のことです。

発破工事
発破を使った工事です。
岩盤掘削などの際に行われます。

盛土工事
地面の低い場所に土砂などを入れて平坦にしたり、他よりも高くしたりする工事のことです。

コンクリートにより工作物を築造する工事
コンクリート工事
鉄筋コンクリート造の建物の柱や壁、梁を作る工事を指します。

コンクリート打設工事
生コンクリートを枠の中に流し込む工事のことを指します。
生コンクリートは柔らかい状態のため、90~120分以内に工事を終わらせます。

コンクリート圧送工事
生コン車によって現場に搬送された生コンクリートを、所定の型枠内に圧送する工事のことです。
主にコンクリートポンプが使用されます。

プレストレストコンクリート工事
工場で製作されたプレストレストコンクリートを現場まで搬送し、クレーンなどで組み立てる工事です。
あらかじめ製作されたコンクリートを使うため、工期を短縮できます。

その他の基礎的ないしは準備的工事
地すべり防止工事
地すべり運動を緩和させることを目的とした工事です。
原因となる水を取り除く工事などを行います。

地盤改良工事
建築物を建てる際に、地盤に人工的な改良を加える工事のことです。

ボーリンググラウト工事
グラウト材や地盤に注入し、地盤の浸水性を減少させる工事です。
また、地盤の強度を増加させる工事のことも差します。

土留め工事
法面や崖などの崩壊を防ぐため、コンクリートブロックなどで土を留める工事です。

仮締切り工事
ダムや河川などの治水工事において、水中の掘削部分を一時的に完全に締切る仮設建造物を置く工事のことです。

吹付工事
吹付の機械を用いて行う工法のことを指します。

法面保護工事
法面が崩れないように法枠などを設置する工事のことです。

道路付属物設置工事
道路標識やガードレールの設置など、道路の付属物を設置する工事です。

屋外広告物設置工事
看板などの屋外広告物を設置する工事のことです。

捨石工事
法面を保護する石を設置する工事です。

外構工事
敷地内の建物以外の工事全般を指します。
駐車場の舗装工事、排水工事などが含まれます。

はつり工事
コンクリートを削ったり、切ったりする工事のことです。

切断穿孔工事
コンクリート製の壁や床を切断したり、穴を開けたりする工事のことです。
フラットソー工事やワイヤーソー工事などが該当します。

アンカー工事
コンクリートに対して、さまざまな種類のアンカーを打設して固定する工事のことです。

あと施工アンカー工事
穿孔した母材の穴に固定されるアンカー「あと施工アンカー」を施工する工事です。

潜水工事
潜水して行う工事のことです。
海洋構造物を設置する際に行われます。

出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

とび・土工・コンクリート工事に似た間違えやすい工事

とび・土工・コンクリート工事現場

とび・土工・コンクリート工事には、以下のような他の工事と間違えやすい工事があるので注意しましょう。

コンクリートブロック積み(張り)工事

「とび・土工・コンクリート工事」のコンクリートブロック据付け工事と、「石工事」及び「タイル・れんが・ブロック工事」のコンクリートブロック積み(張り)工事は、以下のように区分されます。

コンクリートブロック据付け工事
根固めブロックや消波ブロックの据付けなどの土木工事で、規模の大きいコンクリートブロックを使った工事や、プレキャストコンクリートの柱、梁などの設置工事は「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。

コンクリートブロック積み(張り)工事
建物の内外装として擬石などを張り付けたり、法面処理や擁壁としてコンクリートブロックを積んだりする作業などは「石工事」の「コンクリートブロック積み(張り)工事」に該当します。
一方、コンクリートブロックによって建築物を建設する工事は「タイル・れんが・ブロック工事」の「コンクリートブロック積み(張り)工事」です。

鉄骨工事

「とび・土工・コンクリート工事」の鉄骨組立工事と、「鋼構造物工事」における鉄骨工事の違いは以下のように区分されます。

鉄骨組立工事
既に加工された鉄鋼を現場で組み立てることのみを請け負う工事

鉄骨工事
鉄骨の作成・加工・組み立てまでを一貫して請け負う工事

プレストレストコンクリート構造物工事

プレストレストコンクリート工事のうち、橋梁などの土木工作物を総合的に造る工事は、プレストレストコンクリート構造物工事となります。
これは「土木一式工事」に該当します。

地盤改良工事

薬液注入工事やウェルポイント工事など、地盤改良に関する工事全般のことを指します。

屋外広告工事

「とび・土工・コンクリート工事」における屋外広告物設置工事と、「鋼構造物工事」における「屋外広告工事」の区分は以下のようになります。

屋外広告工事
現場で屋外広告物の製作・加工・設置までを一貫して請け負う工事です。

屋外広告物設置工事
屋外広告工事に含まれない工事が、屋外広告物設置工事となります。

出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)

とび・土工・コンクリート工事で建設業許可を取得するには

女性の施工管理士

とび・土工・コンクリート工事で建設業許可を取得するためには、「管理責任者」「専任技術者」とみなされる人材が必要です。
それぞれ必要な条件は、以下の通りです。

管理責任者とみなされる条件

以下のいずれかの条件を満たせば、管理責任者になることが可能です。

  1. 「とび・土工工事業」を経営する会社で役員として5年以上の経験
  2. 「とび・土工工事業」以外の工事業を経営する会社で役員として6年以上の経験
  3. 「とび・土工工事業」を経営する個人事業主として5年以上の経験
  4. 「とび・土工工事業」以外の工事業を経営する個人事業主として6年以上の経験
  5. 「とび・土工工事業」を営む会社や個人事業主の元で6年以上の経営補佐経験

専任技術者とみなされる条件

一般建設業許可と特定建設業で必要な条件が異なります。

一般建設業許可
以下の3つのうちどれかを満たしていることが条件です。

1.資格保有者

  • 1級建設機械施工技士
  • 2級建設機械施工技士
  • 2級土木施工管理技士(土木)
  • 2級土木施工管理技士(薬液注入)
  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(躯体)
  • 技能検定 型枠施工
  • 技能検定 とび・土木・コンクリート圧送施工
  • 技能検定 ウェルポイント施工

2.土木工学や建築学の学科を卒業かつ一定期間の実務経験がある

3.とび・土木工事に関する10年以上の実務経験者がある

特定建設業
以下の2つのうちいずれかに該当している必要があります。

1.資格保有者

  • 1級建築施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士
  • 1級建設施工管理技士
  • 技術士試験 建設部門「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理部門「建設(鋼構造及びコンクリート)」
  • 技術士試験 農業「農業土木」 総合技術管理 農業「農業土木」
  • 技術士試験 水産「水産土木」 総合技術管理 水産「水産土木」
  • 技術士試験 森林「森林土木」 総合技術管理 森林「森林土木」

2.とび・土木の元請工事において指導監督的実務経験が2年以上ある

工事の種類と内容を整理しておきましょう

「とび・土工・コンクリート工事」には非常に多くの工事が該当します。
また、他の専門工事との区分が分かりにくい工事も多くあります。
施工管理職として、とび・土工・コンクリート工事の現場に入る前に整理しておくようにしましょう。

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