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RC造のコンクリートと単位水量。確認したいポイント

RC造の知識として、コンクリートと単位水量の基本知識は身につけておきましょう。
本記事では、RC造の単位水量や高強度コンクリートの単位水量、
ひび割れと単位水量の関係についてご紹介します。
また、細骨材率と単位水量・単位セメントの関係や生コンの受け入れ時の確認事項が気になる方も、是非ご覧ください。

コンクリートの単位水量

コンクリートの単位水量とは、コンクリート1立方メートルあたりの水の質量のことです。
単位は、キログラム毎立方センチメートルです。
簡単に言うと単位推量は、全ての辺の長さが1メートルの箱(コンクリート)の中の水量を表します。

  • JASS5が推奨するコンクリートの単位水量の数値は185以下
  • JASS5とは、日本建築学会出版のRC造の建築工事標準仕様書

また、コンクリートの単位水量の数値を決める際、打設時に生コンが固まる所定の品質の範囲内にします。
水が少ないほどコンクリートの強度は高くなるため、
JASS5の推奨数値よりもできる限り小さくするのがポイントです。

受け入れ時に確認すること

生コンの受け入れ時の検査では、それぞれの運搬車が検査をして指定通りかチェックします。
また工場の製造管理記録に表記されている単位水量の数値について、以下2点を確認しましょう。

  • 指定した単位水量の数値と同じか
  • JASS5の推奨数値の185以下になっているか

単位水量の確認を書類のみで行う理由は、
セメントの水和反応が進む生コンの水の質量を計測するのは困難だからです。

高強度コンクリートの単位水量

高強度コンクリートとは、設計基準強度Fcが36ニュートン毎平方ミリメートルを超えるコンクリートのことです。

JASS5では、計画供用期間の級が標準供用級に該当する高強度コンクリートの単位水量の数値として、175以下を推奨しています。
ただし、高性能AE減衰剤を加えても流れにくい場合の推奨数値は185以下です。

以下のように、計画供用期間の級には種類があり、級ごとにおよその計画供養期間が定められています。

  • 短期供用級:約30年
  • 標準供用級:約65年
  • 長期供用級:約100年
  • 超長供用級:約200年

計画供養期間とは、該当する級の生コンを約何年間使えるかと言う指標です。
また計画供用期間の級ごとに、生コンの強度や水量等も決まっています。

ひび割れと単位水量

コンクリートの乾燥収縮ひび割れを防止するためには、単位水量をできる限り小さくします。
なぜなら、乾燥収縮ひび割れは、水の乾燥によって発生するひび割れだからです。

そこで、乾燥収縮ひび割れが起こる仕組みをコンクリート断面の表面上付近・中央・表面下付近に分けてご紹介します。

  • 表面上付近:乾燥が早く、収縮して引っ張り力が働く
  • 中央:乾燥が遅く、両表面の動きを拘束
  • 表面下付近:表面上付近と同様

単位水量を小さくすることは、引っ張りへの抵抗が強い、強度の大きいコンクリートを作ることにも繋がるでしょう。

スランプと乾燥収縮ひび割れの関係

スランプとは、生コンの柔らかさを長さ(センチメートル)で表した数値です。
また、数値が大きいほど柔らかく、数値が小さいほど硬い生コンであることを意味します。

単位水量・スランプ・乾燥収縮ひび割れの関係は、以下のとおりです。

  • 単位水量が大きいほどスランプは大きくなり、乾燥収縮ひび割れが起こりやすくなる
  • 単位水量が小さいほどスランプは小さくなり、乾燥収縮ひび割れが起こりにくくなる

単位水量とスランプを小さくすると、乾燥収縮ひび割れの防止に繋がります。
さらにコンクリート強度も大きくなるため、引っ張りでのひび割れも減少するでしょう。

細骨材率と単位水量・単位セメント

単位水量・単位セメント

細骨材率とは、細骨材(砂)の絶対容積を粗骨材(砂利)の絶対容積で割った比を百分率にした数値です。
また、粗骨材に対して細骨材を増やすと骨材率が大きくなります。
そのため、所定のスランプを得るためには、以下手順などで対応しましょう。

  1. 粘性が高まるため、単位水量を増やす
  2. 水セメント比を変更しない場合は、単位セメント量も同時に増やして水セメント比を整える

粘性の高いままでは、生コンが流れにくく、施工がしにくいです。
粘度を低くするために単位水量を増やすと、強度から決まっている水セメント比が変わります。
そのため、水セメント比を整えるため、単位セメント量も増やすことになるでしょう。

RC造のコンクリートと単位水量について知ろう

コンクリートの単位水量とは、コンクリート1立方メートルあたりの水量のことです。
また、生コンの受け入れ時の検査でも、指定した単位水量と適合しているか書類で確認します。
そして、標準供用級の高強度コンクリートに関する単位水量の数値は175以下です。

コンクリートの乾燥収縮ひび割れの防止には、単位水量やスランプを小さくしましょう。
細骨材率を上げて所定のスランプを得るためには、
単位水量と単位セメント量の両方を同時に増やすことを覚えておきましょう。