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コンクリートの打ち込みで知っておきたいこと。高強度コンクリートの場合は何が変わる?

本記事では、RC造の基礎知識ともいえるコンクリートの練混ぜから打ち込み終了までの時間について
高強度コンクリートの場合も含めて解説します。
寒中コンクリートの打ち込み時・暑中コンクリートやマスコンクリートの荷下ろし時の温度について知りたい方は必見の内容です。

コンクリートの練混ぜ~打ち込み終了まで

以下は、コンクリートの練混ぜから打ち込み終了までにかかる基本的な時間となります。

  • 外気温が25度未満の場合:120分以内
  • 外気温が25度以上の場合:90分以内

生コンは暑いと早く固まるため、気温によって時間の設定が異なります。

高強度コンクリートの場合

高強度コンクリートの練混ぜから打ち込み終了までにかかる時間は、外気温に関係なく120分以内です。
以下の特徴を持つ高強度コンクリートは流れにくいため、高性能AE減水剤を使い流れやすくします。

  • 水セメント比が小さい
  • スランプが小さい

高性能AE減水剤を使うと生コンが固まりにくくなるため、高強度コンクリートの練混ぜから打ち込み終了までの時間には気温による条件設定がありません。

寒中コンクリートと暑中コンクリートの温度

ここでは、寒中コンクリートの打ち込み時の温度、暑中コンクリートの荷下ろし時の温度についてご紹介します。

寒中コンクリートの温度

凍る恐れのある期間に打ち込みを行う寒中コンクリートの打ち込み時の温度は、5度以上です。
また以下の条件を満たす場合は、下限値の5度にしても問題ないでしょう。

  • 水和熱によって十分な温度上昇が見込める
  • 凍害防止の対策を行っている
  • 管理者の承認を得ている

寒中コンクリートの適用期間は、打ち込みから10日間の平均気温が4度以下の期間です。
また、10日間の平均気温を基準にして打ち込み時の生コンの温度を決める方法だけでなく、
91日間の積算温度を基準とする方法もあります。

また、寒中コンクリートに練混ぜる前の水や骨材を加熱する場合、練混ぜ水と骨材の温度は40度以下です。
練混ぜ水と骨材を加熱しすぎると、生コン中のセメントが固まってしまいます。

暑中コンクリートの温度

暑中コンクリートの荷下ろし時の温度は、35度以下です。
生コンの温度が高いと、以下のような状態になります。

  • 水和反応が速くなる
  • 固まりやすくなる
  • 流しにくくなる
  • ならしにくくなる
  • コールドジョイントが発生しやすくなる
  • 高温から冷える際の体積変化が大きくなる
  • 乾燥ひび割れが入りやすくなる

日の平均気温が25度を超えるときに打ち込みを行う暑中コンクリートにおいては、
荷下ろし時の生コンの温度にも注意しましょう。

マスコンクリートの温度

マスコンクリート

マスコンクリートに用いる生コンの荷下ろし時の温度は、35度以下です。
マスコンクリートとは、大断面を持つコンクリートのことを指します。
また大断面での水和発熱によって、ひび割れが発生しやすいコンクリートです。
荷下ろし時の生コンの温度が高いと、大断面での水和発熱による温度上昇がプラスされるため、
膨張収縮がさらに大きくなり、ひび割れ発生の可能性が上昇します。

コンクリートの打ち込み

ここでは、コンクリートの打ち込みについてご紹介します。

コンクリートの打ち込み速度

スランプ18センチメートル程度のコンクリートの打ち込み速度は、1時間に約20から30立方メートルです。
コンクリートポンプ車1台あたりでは、20から30立方メートル毎時を目安にしましょう。
また、十分に締め固めができる打ち込み速度が基本です。

壁への打ち込み

壁への打ち込みでは、ホースを横方向に移動させつつ、上から下へ締め固めながら打ち込みます。
締め固めの目的は、余分な水や空気を追い出すことです。

ホースの位置を変えずに1カ所から一気に生コンを流す「横流し」は、
材料分離や沈みひび割れが発生しやすくなるので避けましょう。
特に柱を通過させて横流しを行った場合には、生コン内の砂利の流れが柱の鉄筋で阻害され、
生コンのモルタルだけが流れる材料分離が発生しやすいです。

漆への打ち込み

下に柱や壁がある漆へ打ち込む場合は、まず柱や壁のコンクリートを梁下まで打ち込み、
柱や壁の生コンが十分に沈んでから梁を打ち込みましょう。
柱・壁・梁を一気に打ち込むと、生コンが沈む際に空気を巻き込むため、
生コン内に空気が残りやすくなります。
また、柱・壁が沈むことにより梁との境界に空げきや割れが発生するでしょう。

片持ちスラブへの打ち込み

片持ちスラブや片持ち梁へのコンクリートの打ち込みでは、
支持する構造体と一体化するよう、打ち継ぎを設けず支持する構造体と一緒にコンクリートを打ち込みます。
その理由は、片持ちスラブなどの根本部分にかかる曲げモーメントは大きいからです。
一方、別々に打ち込んで支持する構造体と片持ちスラブが一体化していない場合は、
片持ちスラブが根本から折れ曲がってしまいます。

パラペットへの打ち込み

パラペットへの打ち込みでは、パラペットを支持する構造体である屋根スラブと一体化させるために屋根スラブと連続して打ち込みます。
防水面においても、パラペットと屋根スラブとの一体化はかかせません。

パラペットの立ち上がりが大きいなど、屋根スラブと連続してパラペットの立ち上がり部分を全て打ち込むのが難しい場合は、2段階に分けて打ち込みます。
まず、屋根スラブと連続してパラペットの途中の高さまで打ち込み、
次に残りの立ち上がり部分を打ち込みましょう。

コンクリートの打ち込みについて知っておこう

RC造に関わるコンクリートの打ち込みでは、1時間に20から30立方メートル程度の速度で打ち込みます。
また壁への打ち込みでは横流しを避け、柱や壁が十分に沈んでから梁を打ち込みましょう。
片持ちスラブやパラペットは支持する構造体と一体化させるように打ち込みます。

コンクリートの練混ぜから打ち込み終了までの時間や寒中コンクリートの打ち込み時・暑中コンクリートとマスコンクリートの荷下ろし時の温度には、決まりがあることも覚えておきましょう。