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電気工事施工管理職の知識:「部材と強度の計算」「その他の電気設備の計算」について

建築電気設備の部材と強度の計算は、電気設備の安全を守るために重要な作業です。
電気設備の設計や施工を行う際には、必ず電気設備の部材と強度の計算を行う必要があります。
また、その他にも電気設備を設置する際には、さまざまな計算が必要です。

本記事では、建築電気設備の実務計算前に知っておきたい「部材と強度の計算」「その他の電気設備の計算」についてご紹介します。

電気設備の部材と強度の計算

ここでは、それぞれの部材と強度の計算方法についてご紹介します。

耐震用アンカーボルド

屋上に設置するキュービクルの計算例を解説します。

1.建物条件

  • 建設場所:東京都(地震地域係数Z=1.0)
  • 建築構造:鉄筋コンクリート造の9階建て

2.機器内容と設置条件
機器は屋外用キュービクルで9階の直上階である屋上に設置します。
機器の自重Wは3,200kg、重心の高さhGは1.1mにします。

設計用標準震度と設計用水平震度
耐震クラスを耐震性能が最も高いSクラスとし、受変電設備の設置場所は屋上にします。
このため、設計用標準震度はKs=2.0、設計用水平震度KHはZ・Ks=1.0×2.0=2.0となります。

設計用鉛震度KV
KV=1 2 KH=1 2 ×2.0=1.0

3.取り付けアンカーボルトに作用する力の計算
アンカーボルトを6本としたとき、その太さの計算は以下のように求められます。

設計用水平地震力
FH=KH・W=2.0×3,200=6,400kg

設計用鉛直地地震力
FV=1 2 ・FH=3,200kg

1本のアンカーボルトの引き抜き力
6,4001.1-(3,200-3,200)0.61.843≒1,275〔kg〕

1本のアンカーボルトのせん断力
Q=FHn=64006≒1,067〔kg〕

アンカーボルトのサイズ選定
図より該当する値を求めます。
この場合M16となります。

アンカーボルトの埋め込み長さ
箱抜き式ヘッド付きボルト埋め込み図を示すことで、計算により耐震性を確認します。

プルボックス

プルボックスとは、電気配線工事において電線を保護し、分岐や接続を行うための箱です。
主に鉄製や樹脂製で作られていて、電線の引き込み口が複数設けられています。

金属管工事や合成樹脂管工事の電線の接続箇所では、内線規定によって定められているように電線管内で電線の接続点を設けないようにします。
また、接続部分を露出させないようにするため、プルボックス内で電線を接続します。
一般には、配電盤、分電盤、制御盤やジョイントボックス内で電線の接続が行われることが多いですが、幹線設備であればプルボックスが用いられることが多いとしています。
配線こう長が長い場合は、引き通し用プルボックスを用います。
また、保守点検用の蓋を取り付けるときや金属製のプルボックスを取り付けるときは、設置工事を行うように注意します。

プルボックスの大きさの計算方法

国土交通省の建設設備基準に従って、配管の本数や外径によって求めます。
ここでは、電線を収納する場合について解説します。

直線引き通しの場合
引き通し用プルボックスの場合、以下のように計算します。
幅a〔mm〕=(P+30)+(302)

直角に屈曲の場合
直角に面する場合は、以下のように計算します。
長さb〔mm〕=(P+30)+30+30+3Pm

プルボックスの寸法の計算方法

直角に屈曲する場合、配管の外観および本数を求める際には、電線やケーブルを無理なく直角に曲げられるように屈曲半径を確保します。
屈曲半径は内線規定によって電線、ケーブル仕上がり外径の6倍(単心は8倍)以上が必要です。

ケーブルラック

ケーブルラック

ケーブルラックとは、ケーブルを保護し、配線を整理するための金属製のラックです。
ケーブルラックは、主に鉄製やアルミニウム製で作られています。

1.電力用ケーブルの算定方法

電力用幹線は1段に配列するのが一般的です。
ケーブルラックの幅が2m以上になるとたわみも大きくなるため、メーカーに相談しながら設定します。

2.防災用ケーブルを併設する場合

防災用ケーブルを併設する場合は、以下のようにケーブルラックを設置します。

  • 耐火電線は延焼防止剤を塗布する
  • ケーブルラックの下部は不燃材で遮蔽する
  • 耐火区画貫通部のケーブルラックの支持は、貫通部の壁の中心から1m以内にする

3.幅の選定

建設用機械のケーブルラックの幅には、200、300、400、500、600、800、1,000があります。

4.吊り下げ強度

耐震性とケーブルラックの上に人が乗る可能性を含めて検討します。

避雷突針支持管

避雷突針支持管とは、避雷突針を支えるための管です。
地上20mは保護対象となりませんが、20mを超える部分は雷害から保護する必要があります。

1.避雷突針支持管の長さの計算

20mを超えた部分を保護するためには、R1 の半径R2 の変形で円を描き、屋上の水平部分が円の中に入るようにします。
直角三角形の1つの頂点が60度の場合、R2÷ 3=H2、R1 ÷3=H1として支持管の長さを求めます。
1本の支持管で両方を保護できるような長さに決定します。
実際の支持管の長さは、Hの他、外壁面に取り付ける部分の長さを加えます。

2.突針支持管の設置場所

建物の中央部への設置が望ましいとされています。
支持管の長さを短くでき、保守点検の際の転落事故も防止する意味でも有利としています。

3.避雷導線の引き下げ箇所

避雷導線は、水平投影面積が50㎡以上の場合、2箇所以上を引き下げ、外周は50m以内にします。
四角形以外の場合、外周は50mごとに測った距離にすることができます。

「部材と強度」電気設備の計算方法を知ろう

建築電気設備の部材と強度の計算は、電気設備の種類や使用状況によって異なります。
一般的には、電気設備の使用電流、電圧、環境条件などを考慮し、部材の強度を計算します。
また、電気設備の安全をさらに確保するために、部材の安全係数を乗じて部材の強度を計算します。

建築電気設備の部材と強度の計算は、電気設備の安全を守るために重要な作業です。
電気設備の設計や施工を行う際には、必ず電気設備の部材と強度の計算を行いましょう。