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設計・施工の実務に必要な詳細図:「電気の引き込み」「受変電設備」「発電機設備」

実際の工事現場では、電気設備を取り付ける際に、引き込み配線の処理方法や機器の取り付け方法について詳細な設計図が必要とされています。
不足すると、作業者がスムーズに作業できなくなるので注意が必要です。

本記事では設計・施工の実務に必要な詳細図として、「電気の引き込み」「受変電設備」「発電機設備」をご紹介します。

電気の引き込み

電気の引き込みの詳細図とは、電気設備を建物に引き込むための配線の詳細を図示した図面です。
柱から建物までの配線のルート、電気メーターや分電盤の位置、各部屋への配線の分岐点などが記載されています。

高圧配電架空引き込み

高圧架線を引き込む場合は、1.5m腕金具を使用します。
今後変圧器や開閉器などの設置が予想されている場合は、1.8m腕金具を使用します。

高圧配電地中引き込み

高圧電気設備を地中埋設して、建物に引き込むための配線の詳細を図示した図面です。
高圧電気設備の位置、地中埋設する配線のルート、電気メーターや分電盤の位置、各部屋への配線の分岐点などが記載されています。

高圧配電用高圧キャビネットの据え付け

地中引き込みの場合、高圧配電線から分岐して引き込む場合は、高圧キャビネットが据え付けられることが多いとしています。
高圧キャビネットには、自立型の他に建物の側面に取り付ける壁掛け型があります。

低圧配電引き込み図

低圧配電引き込み図とは、電気事業者から住宅や建物に電気を供給する配線の詳細を図示した図面です。
この図面には、電柱から建物までの配線のルート、電気メーターや分電盤の位置、各部屋への配線の分岐点などが記載されています。

受変電設備

受変電設備とは、高圧電力を低圧電力に変圧し、電気設備に供給するための設備です。
受変電設備には、変圧器、遮断器、開閉器、計器、制御装置などの機器が設置されています。

キュービクル変電設備の設備図

高圧受変電設備としては、おもにキュービクル変電設備が普及しています。
設備図には、低圧配電部分は省略され、受電部分のみが記載されていることもあります。

キュービクル各部寸法と重量

建築計画を行う上で、キュービクルの設置スペースや重量の既略値を計算する必要があります。
計画時には、資料をもとに検討します。
耐震計算にも重量値が必要なため、盤ごとに寸法や重量を決定します。
施工時には、メーカーを決定した後に、改めて数値の検討を行いましょう。

キュービクルの基礎部分

キュービクルを屋上に設置する場合、耐震性能、防水対策、振動騒音対策もあわせて検討します。
基礎図を作成する際には、以下のことに注意しましょう。

  • 「配線盤類の耐震設計マニュアル」(一般社団法人 日本配電制御システム工業会技術資料 JSIA-T1018)に準拠し、チャンネルベースの固定方法を規定すること
  • チェンネルベースが長さ10mを超える場合は、熱膨張を考慮してアンカーボルト孔に余裕をもたせることを特記すること
  • 自家発電用キュービクルの防油堤の有無は、消防機関と協議して決定すること
  • ポリ塩化ビニル制のキャップは、躯体への浸水を防止するため、原則設置すること

発電機設備

風力発電

発電機設備とは、機械的なエネルギーを電気エネルギーに変換する設備です。
タービン発電機、内燃機関発電機、風力発電機、太陽光発電機などがあります。

発電機の設備図

たとえば、ディーゼルエンジンなどの設備図の場合、機器の本体が外部から見えるような開放された形状であるため、オープン型発電装置といいます。
これに対してパッケージ型発電装置は、容量250kVA程度以下かつキュービクルタイプのことを指します。

防災用ディーゼルエンジンの冷却方式

防災用ディーゼルエンジンの冷却方式には、以下が挙げられます。

空冷式(ラジエーター式)

空冷式は、小型機関や水の便の悪い場所に用いられます。
他の空冷式よりもシステムが簡単なのが特徴です。
ただし、屋内に設置する場合は室内換気量が多いので、騒音に注意します。

水冷式

水冷式には「放流式」「水槽循環式」「タワーリングタワー式」があります。

放流式
冷却水系統が簡単かつ信頼性が高いのが特徴です。
また、設備費も安くなります。
ただし、多量の水が必要で、断水時には発電機を停止する必要があります。

水槽循環式
二重床スラブに設置した地下水槽などによって、冷却水を循環使用する方式です。
運転経費が安く、断水時も水温上昇限度まで運転が可能です。
ただし、比較的大きな水槽が必要なため、建設費用がかかります。

クーリングタワー式
冷却水の消費量が比較的少なく、長時間運転に適しています。
ただし、冷却水ポンプなどの動力が必要です。
水槽循環式と併用されることもあります。

電気設備の詳細図について知ろう

電気設備の詳細図とは、電気設備の各機器の位置、接続方法、電源の種類、電圧、電流、負荷、制御方法などを図面で表したものです。
電気設備の設計、施工、保守、点検を行う際に必要となる重要な図面となります。
また、電気設備の安全を守るためにも役立ちますので、詳細について理解しておくことをおすすめします。