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筋交いの役割とは!?入れ方や一緒に使用する道具を紹介

筋交いは建物の補強材であり、入れることで耐震性や耐風性の向上などが期待できます。
建築基準法などによって、木材の種類やワイヤーの太さなどが規定されているのが特徴です。

本記事では、筋交いの概要や役割、入れ方や使用する道具などをご紹介します。

筋交いとは

建物の柱と柱の間に斜めに接合する木材を筋交いと呼びます。
木造家屋では、水平方向の火打ち梁なども含まれます。
壁を筋交いで補強することで、木造建築物の耐久性・耐震性を高められます。

地震や台風による強風などで建築物が揺れると徐々に内部の構造が壊れ、最悪の場合倒壊する恐れがあります。
筋交いによって建築物の構造を補強しておくと、建築物が揺れても倒壊や変形を防ぐことが出来ます。
さらに土台や柱、梁、筋交いなど一体化することで、より高い耐久性を発揮できるとされています。

木造家屋で耐久性や耐震性を向上させようとするならば、もともと横からの力に強い耐力壁を用いるか
この筋交いを用いた構造にするかの2種類が挙げられます。
中には、より耐久性・耐震性に優れた建築物を建造するため、
耐力壁と筋交いを併用するケースもあるようです。

たすき掛けで耐久性向上

筋交いは対角線上に沿って、斜めに1本の木材を入れるのが基本です。
ここで、もう一方の対角線上にも筋交いを入れることで、さらなる耐久性向上が実現されます。
この×の形に筋交いを入れる方法を「筋交いのたすき掛け」と呼び、壁の耐久性・耐震性は2倍になります。

壁倍率とは

壁倍率とは、壁の耐久性・耐震性の強さを数値化したものです。
壁倍率が大きいほど、耐力の高い壁とみなされます。
設計の段階で地震や風圧に対して必要となる壁倍率を算出し、
建築の際には算出した壁倍率以上の壁を配置します。
壁倍率と壁の種類は、建築基準法施行令46条によって規定されており、以下はその一例です。

  • 厚さ1.5cm以上、幅9.0cmメートル以上の木材の筋交い→壁倍率1.0
  • 厚さ3.0cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率1.5
  • 厚さ4.5cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率2.0
  • 厚さ9.0cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率3.0

そして、筋交いをたすき掛けした場合、これらの壁倍率は2倍になります。
ただし、9.0cm角の筋交いは壁倍率が5.0を超えても、壁倍率5.0として計算します。

筋交いの入れ方

筋交いはその数が多くなるほど建築物の耐久性向上に役立ちます。
また、斜めの対角線に1本入れるよりも、2本の木材を用いてたすき掛けをするとより効果的になります。
一方で、バランスよく配置しなければその効果も半減してしまうため、適切な知識が必要です。
ここでは、筋交いの基本的な入れ方についてご紹介します。

入れる前の準備

筋交いを入れる前には、柱と横架材を金物でしっかりと繋いでおきます。
もし、繋いでおかないと筋交いを入れた際にゆるむ恐れがあります。
ゆるんでしまっては筋交いで補強をするメリットも薄まってしまいます。
また、梁をはじめとする横架材自体を補強したい場合は、羽子板ボルトや梁継手などを用い
両面から補強を行いましょう。

材料を準備する

反りがなく、乾燥している木材が、筋交いに使用する材料として適しています。
基本的には、米松やヒノキ、スギなどの木材が使用されています。
もし反りがあると、水平方向に力がかかった際に内部の構造が変形する恐れがあるためです。
また、筋交いに必要な長さであるか確認することも重要です。
柱、柱と柱をつなぐ梁、筋交いを3つの辺に見立てて、三平方の定理を用いることで、
筋交いに必要な長さを導き出します。
例えば、柱間1間(6尺)であれば筋交いは3m以上になるため、4m材を注文します。
この際、筋交いの端や中間部を切り取ってはいけません。
筋交いに切り欠けがあると、引張力や圧縮力を伝達しあうことが出来なくなります。
その結果、本来の耐久性や耐震性を発揮できなくなる恐れがあります。

筋交いを入れる

柱の間隔が最も一般的である1間の場所に筋交いを入れる場合、
端部を現場の角度に合わせて斜めにカットします。
作業者が2人いる場合は、一人が筋交い材を横から押し当て、もう一人が墨付けを行います。
その墨線に沿ってカットすれば、正確に作業できるでしょう。
取り付ける際には、上端を合わせたあとに掛矢で叩いてはめ込みます。
どちらか一方を叩き続けると外れやすくなるため、少し入れたあとは上下交互に叩いて入れます。
筋交いは力がかかった時に、力が逃げるような向きに入れましょう。

固定する

筋交いをはめ込んだら、次は金具で上下の端を固定します。
金具には筋交い金具や筋交いプレートなどを用います。
固定力が高いものが必要であれば、1.5倍、2倍の筋交い金具などを使用しましょう。

筋交いで使用する道具

筋交い

ここでは、筋交いを行う際に良く用いられる道具についてご紹介します。

さしがね

さしがねは直角の定規です。
長い方を長手(ながて)、短い方を短手(つまて)といいます。
丸目タイプと角目タイプの2種類があり、目盛の種類が違います。
丸目タイプは裏の目盛が表の3.14倍になっており、主に円周を求める際に使用します。
角目タイプは裏の目盛が√2になっており、対角線の長さが求めやすいのが特徴です。
筋交いを行う際には表目と直角部分を利用します。

筋交い金物

筋交い固定をする金物は複数種類があります。

プレート型
プレート型は柱の側面に固定する金物です。
土台に用いるホールダウン金物との干渉を防ぐため、リフォーム工事などで用いられることが多いです。

ボックス型
横架材に用いる金物で、筋交いと柱、横架材の3点をしっかり固定してくれます。

2面施工型
筋交いと柱を接合するタイプです。
ホールダウンや柱頭・柱脚金物との干渉を防げるのが特徴です。

掛矢

掛矢は大型の木槌です。
土木や建設現場ではくい打ち、解体現場では壁などを解体する際に用いられます。
長さ約90cm、直径13〜15㎝のものが一般的です。
重いほど作業の効率化が図れますが、体の負担も大きくなるため
適度な重さのものを用いることが大切です。

筋交い定規

筋交い定規は、筋交い専用の道具です。
さしがねがなくても、筋交い定規があれば筋交いを入れることが可能です。
筋交い定規の長さを調整することで、筋交いを入れる場所の長さと角度を計測できます。
長さが決まったらアームを固定して木材にのせて、カット線とボルト孔のための印を付けましょう。
印に沿って線をカットし、穴を開けて筋交いをはめ込んだら筋交いが完成します。

筋交いの目的や入れ方について知っておこう

筋交いは柱と柱の間に入れられる補強材で、耐震性や耐風性の向上などが期待できます。
多ければ多いほど効果が高いという訳ではありませんので、
強度を計算しつつバランス良く入れることが重要です。
新築だけでなくリフォームを行う際にも入れることが多いため、
目的や入れ方を知っておけば役立つのではないでしょうか。