通常、建物を建てる際には穴などが開かないようにするものですが、
わざと穴を開ける工事をする場合もあります。
それが、建物のコンクリートに穴を開ける「コア抜き工事」です。
なぜ、穴を開ける必要があるのでしょうか。
本記事では、コア抜き工事の概要やコア抜き工事の流れ、やり方などをご紹介します。
コア抜き工事とは
コア抜き工事とは、建物の基礎となるコンクリートに穴を開ける工事です。
この穴部分に配線や配管などを通します。
また耐震精度を確かめるために使用されることもあります。
コア抜き工事と似た工事に、スリーブ工法と呼ばれる工事が挙げられます。
コア抜きは出来上がった建物に穴を開けますが、
スリーブ工法は建築時にあらかじめ配線や配管のためのスリーブと呼ばれる貫通孔を開けます。
穴を開けるという作業自体は同じですが、
「建築時」に開けるか「建築後」に開けるかなどの違いがあります。
コア抜き工事の機械
コア抜き工事には、コアドリルという機械が必要です。
回転させて穴を開けるか、振動の圧力で穴を開けるかの2つの機能があります。
一般的なドリルだと小さい穴しか開けられないため、大きな穴を開けられるコアドリルが使用されます。
コア抜き工事の流れ
ここでは、一般的なコア抜き工事の流れについてご紹介します。
- 事前調査・レントゲン撮影
- 騒音・粉塵などの対策
- アンカー打ち
- コア抜き作業
- 後片付け
1.事前調査・レントゲン撮影
事前調査では、穴を安全に開けられる場所を確認します。
鉄筋や電線、光回線などの通信線を、切断しない場所に開ける必要があるためです。
図面などで確認するだけでなく、鉄筋の場所や状況を調べるためにレントゲン撮影を行います。
土台の中には鉄筋が細かい間隔で差しこまれているため、
これを誤って切ってしまうと、土台の安定性が落ちてしまいます。
そうなると工事のやり直しが必要になるので、事前調査はとても重要です。
レントゲン撮影を行うには、エックス線作業主任者という国家資格が必要とされます。
2.騒音・粉塵などの対策
コア抜き工事は、コンクリートを削って穴を開けるので、大きな音が出ます。
そのため、事前に周囲への連絡をしておく必要があります。
さらに、防音シートなどで周囲を覆い騒音防止を徹底します。
また、コンクリートを削る際には粉塵も舞いますので、その対策を行います。
作業時には安全の確保のため、作業員以外の人間を入れないようにします。
車両や通行人にも注意して作業しましょう。
3.アンカー打ち
コア抜きをする機械を固定するアンカーの打ち込みを行います。
アンカーを打つ場所がないケースでは、ハンディタイプのドリルなどを用いる場合もあります。
4.コア抜き作業
アンカーを打ち機械の設置を行った後は、コア抜き作業を行います。
5.後片付け
コア抜きによって取り除いたコンクリートの破片や、粉塵対策で使われた水の処理を行います。
コア抜きの工事内容
ここでは、コア抜きの工事内容についてご紹介します。
湿式穿孔
先端にダイヤモンドビットをつけたコアドリルを使用する方法です。
切り込みが軽く、高精度な穴あけが可能になります。
水を使用するため、粉塵の発生を抑えることにもつながります。
鉄筋でも簡単に切削できるため、短時間で穿孔することが可能です。
また、穿孔面に凹凸が少なく、補修が不要です。
さらに、延長ロッドを使用すれば、深い穿孔をすることもできます。
デメリットとして、専用の機械が高価なことが挙げられます。
他に、取り扱いにはある程度の技術が必要であり、処理に手間もかかるという点もあります。
乾式穿孔
乾式穿孔は、ハンマードリルにコンクリート専用のキリを取り付ける方法です。
水を使用する必要がないため、上階で使用しても、階下に水が漏れる心配をする必要がありません。
その際に必要なハンマードリルとキリは比較的手軽に購入できます。
デメリットは、大量の粉塵が舞うため、粉塵マスクと粉塵メガネが必須になることです。
また、水を使用しないため発熱が発生しやすく、長時間機械を使用するのが難しいという点もあります。
コア抜き工事の単価
コア抜き工事の単価は、状況によって高くなるケースもあります。
例えば、既存のコンクリート塀にフェンスを取り付ける場合があるとします。
土台となるコンクリートに穴を開けなくてはいけないため、費用が高くなってしまいます。
さらに、取り付け箇所によって、費用が変動する場合もあります。
建物以外に外構工事をする場合も、フェンスのデザインなどによって単価が異なるので注意が必要です。
フェンスのデザインによって、10,000〜20,000円×長さが価格になります。
コア抜き工事の必要性を知ろう
コア抜き工事は、配線や配管などを通すための穴を開ける工事です。
コア抜き工事には湿式穿孔と乾式穿孔の2つがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
また工事をする箇所などによって単価が異なるため、
あらかじめ見積もりをしっかり出しておくことが大切です。