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水中コンクリートの施工方法。水中不分離との違いとは?

施行する場所によっては、水中にコンクリートを打設する必要があります。
水中でのコンクリート打設は地上で行うものとは違い、硬化が難しいため特別な工法を使用しなくてはいけません。
主に、水中コンクリート以外に方法がない場合の施工方法です。

本記事では、水中コンクリートの概要や種類、施工方法、注意点などをご紹介します。

水中コンクリートとは

水中コンクリートとは、海水や淡水、安定した液中に打設するコンクリートのことです。
河川や海洋など広い空間と連続地中壁のような狭い空間での打設があります。
通常の地上で行う打設よりも材料が分離したり、強度が低下したりなどの可能性があるため、特別な施工方法が用いられます。

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水中コンクリートの主な用途

水中コンクリートは、主に以下の2つの用途で用いられます。

底盤コンクリート
底盤コンクリートとは、建物全体の荷重を支える基礎部分です。
海底面の止水を主な目的としています。
たとえば、海上に橋を建築する場合、橋脚などを底盤コンクリートで作ります。
施工場所で鋼管矢板などを使って排水し、水中コンクリートを打設します。

設置ケーソン内部コンクリート
ケーソンとは、橋脚や防波堤を支える基礎構造物です。
内部にコンクリートを打設したあとで海底に置きます。
ケーソンは専用のドックで建造され、設置場所に曳航されます。
そして水中コンクリートを打設し、水とコンクリートを置き換えることで設置完了です。
主に、1区画ごとにレイタンス処理を行いながら打設されます。

水中コンクリートの施工方法

水中コンクリートは、主に以下の2種類の方法があります。

トレミー工法

トレミー菅と呼ばれるパイプを水中に立て、コンクリートを流し込んで打設場所まで運ぶ方法です。
コンクリートは水に触れてしまうと品質が低下してしまうので、トレミー菅の先端は打設済みのコンクリートに常に埋まっている状態を維持する必要があります。

コンクリートポンプ工法

コンクリートポンプに鋼管を繋ぎ、打設場所まで直接圧送する方法です。
現在では、コンクリートポンプ工法が一般的に行われています。

水中コンクリートの種類

水中コンクリートは主に以下の3種類に分けることができ、それぞれ用途によって使い分けられます。

減水剤添加コンクリート

一般的なコンクリートに減水剤を添加したものです。
単位水量を少なくすることで粘性を高められます。
一般的な水中コンクリートは、単位セメント量が370kg/m³以上、水セメント比は50%以下に定められています。
そのため、減水剤を添加することで強度を高めるのです。

水中不分離性混和剤コンクリート

水中不分離性混和剤コンクリートは、水中でも分離しにくいコンクリートです。
水中コンクリート用に開発されたもので、増粘作用によって分離しないとされています。
さらに、乾燥した時の収縮量が一般的なコンクリートよりも20〜30%大きく、凝結時間が数時間ほど遅いという性質を持っています。
水中で使用するため、締固め作業を行わないことを前提としているのが特徴です。

特定用途用コンクリート

基礎として施工される場所や、地下連続壁などのための水中コンクリートです。
水セメント比は55%以下、水中セメント量は350kg/m³以上とされています。
橋脚などでは水中の土台などとして用いられています。

水中コンクリートを施工する際の注意点

水中コンクリート

水中コンクリートは地上で行う場合と施工方法が異なるため、以下の点に注意しましょう。

水とは接触させない

水中コンクリートを打設する際には水との接触を避けたり、水中に落下させたりしないように注意が必要です。
打設の際には打設面をできるだけ水平に保ちます。
所定の高さで連続して打設することで、水との接触機会を減らせます。
また打設中はコンクリートをかき混ぜたり、締固めたりなどは行いません。

水の流動を防ぐ

コンクリートがしっかり硬化するまで、水の流動を防ぐ必要があります。
止水設備などを設置して水の流れを防ぎましょう。
特に、水中不分離性混和剤を使用したコンクリートは硬化時間が長くかかるため、適切な流動対策が必要です。

工法により管の挿入の深さが違う

施行方法が異なると、コンクリートに差し込む管の深さが異なります。
トレミー工法では管を2m以上差し込みますが、コンクリートポンプ工法は30〜50㎝しか挿しこみません。
さらに打設するコンクリートは、細骨材率を40〜50%、スランプは13〜18cmに設定されることが多いです。
しかし、コンクリートの種類によって規格や配合は異なるため、必ず事前に確認しましょう。

地上と水中では施工方法や材料が異なる

水中コンクリートは、陸上とは使用する材料や施工方法が異なります。
主に橋脚や湾港設備の底盤などで使用されますが、水中コンクリート以外の方法がない場合に用いられることを知っておきましょう。
また、使用するコンクリートの種類によってコンクリートの品質も変わってくることも覚えておくことをおすすめします。