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インフラを作る材料である「鋼材」。性質と特徴を解説

建設業界で土木施工管理職として働くことを検討中の方は、インフラを作る材料の1つである鋼材の特徴について知っておくと将来的に役立つかもしれません。
本記事では、鋼材の性質と種類について、また鋼材の特徴や形状について解説します。

鋼材の性質と種類

鋼は、鉄に炭素を添加した一種の合金である「炭素鋼」のことです。
また、鋼に元素を加えた合金も存在します。
例えば、鋼にニッケルやクロムを添加した合金は「ステンレス鋼」です。

鋼の種類は膨大で、以下を始め日常生活の中で目にする鋼の種類だけでも多岐に渡ります。

  • 針金
  • 缶詰めの缶
  • カミソリの刃
  • カッターナイフの刃

加えて鋼の性質は、鋼に含まれる炭素の量によって大きく変わります。
例えば、炭素含有量が少ない針金は柔らかく、炭素の含有量が多いカッターナイフの刃は硬いです。
そのため、炭素含有量の違いによって、炭素鋼は以下3種類に分類されています。

  • 低炭素鋼:炭素の含有量が0.3パーセント以下
  • 中炭素鋼:炭素の含有量が0.3から0.5パーセント
  • 高炭素鋼:炭素の含有量が0.5パーセント以上

低炭素鋼の性質は、柔らかく引張強さは小さいですが、引っ張った際の伸び(展延性)が大きいです。
代表的な用途として、橋梁や鉄骨、鉄塔やH形鋼や建材などに用いられます。

中炭素鋼の性質は、硬さ・引張強さ・引っ張った際の伸びともに平均的です。
また代表的な用途として、ボルトや機械部品、軸などに使われています。

高炭素鋼の性質は、硬さや引張強さは大きいですが、引っ張った際の伸びが小さいです。
さらに代表的な用途は、レールや工具、軸や鍵などです。

鋼材の特徴

鋼材がインフラ作の構造材としても広く利用されているのは、以下の優れた特徴のためです。

  • 引張強さが大きい
  • 破断までに大きな伸びが発生する

また次のような鋼材の性質が、鋼材の優れた特徴を生み出しています。

  • 引張強さの力を加えた後、力を取り除くと、もとの形に戻ろうとする性質(弾性)
  • 加える引張強さの力を大きくすると、力を取り除いても元の形に戻らず変形したままになる性質(塑性)

鋼材は弾性と塑性の両方の性質を備えており、作用する力の大きさによって異なる反応を示します。
例えば、鋼材を用いた橋が破断に至るまでには、
破断の原因となる力が橋に加わってから一定期間まで弾性の性質により橋はもとの形に戻ろうとします。
続いて、破断の原因となる力が一定レベルを超えると橋は塑性の性質を表し、
変形したままの形となります。
やがて鋼材が破断の原因となる力に応じられなくなった場合に、橋が破断するでしょう。

つまり、鋼材を用いたインフラ構造物が破断に至るまでには、構造物に大きな変形が生じているため、
破断の可能性を見過ごす心配が少ないということです。

鋼材の形状

鋼材は、製鉄所で圧延されて様々な形に成形されます。
例えば、厚板と呼ばれる鋼板やフラットバーと呼ばれる帯板などです。

続いて、その他の一般的な鋼材の形状についてご紹介します。

  • H形鋼
  • 溝形鋼
  • I形鋼
  • 等辺山形鋼
  • 鋼管
  • 角形鋼管
  • リップ溝形鋼
  • 丸鋼
  • 帯鋼

また高さ・幅・板厚など、形状ごとのサイズ展開も膨大です。
インフラを作る材料として使う場合は、用途に合わせて形状やサイズ、規格等を選定します。

鋼材の性質や特徴を知っておこう

鋼材は、弾性と塑性の両方の性質を備えており、
引張強さが大きく破断までに大きな伸びが発生するインフラ作に適した材料です。
またH形鋼やI形鋼など、形状や形状ごとのサイズも多岐に渡ります。

鋼材の元となる鋼は、鉄に炭素を添加した合金「炭素鋼」のことです。
炭素の含有量の異なる低炭素鋼・中炭素鋼・高炭素鋼の3種類があり、炭素含有量の違いにより各炭素鋼が備える性質も違うことを知っておきましょう。