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BIMモデルのシミュレーションは重要!設計内容に整合した結果を得るためのポイント

BIMを使用したシミュレーションは、建物の設計や施工の効率化、品質向上に役立つ技術です。
BIMモデルを活用することで建物の構造や設備をシミュレーションし、問題を検出したり、最適な設計を検討したりすることができます。

本記事では、BIMモデルを使用した「避難シミュレーション」「落雷シミュレーション」「まちづくりシミュレーション」についてご紹介します。

BIMを使用したシミュレーション①:避難シミュレーション

避難シミュレーションは、建物内にいる人々が災害が発生した際、安全に避難できるかどうかを検証するためのものです。
BIMを使用することで建物の構造や設備、家具などの情報を3Dモデルで管理できるため、より精度の高い避難シミュレーションを行うことができます。

避難経路の再現

避難シミュレーションでは、避難経路の選択や混雑具合なども再現可能です。
一般的に建物には複数の避難経路があるため、建物内での位置によって避難経路の選び方が異なります。
また、人の流れや混雑などを考慮した、避難経路や避難時間を解析できます。
さらに、避難だけでなく市街地・商業施設・イベント会場などの人の動線の確認のために使われることもあります。

BIMを使用したシミュレーション②:落雷シミュレーション

落雷シミュレーションとは、建物の3Dモデルを用いて落雷の電流が建物内をどのように流れて、どのような被害が発生するかをシミュレーションする技術です。
落雷の被害を予測し、対策を講じるために使用されます。
具体的には、落雷の電流が建物のどの部分に流れやすいか、落雷による火災の発生を防ぐためにはどのような避雷設備を設置すればよいかなどをシミュレーションできます。

鉄骨部分をデータ化する

BIMでシミュレーションする際には、まず建物の鉄骨を3次元でモデル化します。
そして、落雷による雷電流がどのような経路をたどり、広がるかを解析します。
雷電流や雷磁界の大きな部分や小さな部分が分析できるため、サーバールームやIT機器類を置く部屋の位置を定めたり、雷対策が必要な部分が分かったりします。
BIMソフトの構造設計機能で作成したBIMモデルから、鉄骨部分の情報に基づき自動でデータを抜き出すことが可能です。
そのため、建物の設計図とは別にシミュレーションデータを新規で作成する手間もありません。

対策方法も開発

大手建設会社では、雷電磁界から電子機器類を守る「雷電磁界バリア」という技術を開発したそうです。
サーバーなどを置く部屋の壁や天井、床などに、軽量鉄骨を等間隔の格子状に配置することで、電気的に等電位になるように接続します。
このため、建物内部に伝わる雷電磁界の強度を1/5程度に抑えられます。

BIMを使用したシミュレーション③:まちづくりシミュレーション

まちづくり

まちづくりシミュレーションとは、都市の3Dモデルを用いて、都市の交通、環境、防災などの様々な要素をシミュレーションする技術です。
都市の計画や設計を行う際に、都市の様々な要素を相互に関係させながら検討するために使用できます。
具体的には、都市の交通量をシミュレーションし、交通渋滞を解消するための対策を検討したり、都市の環境をシミュレーションして環境に配慮した都市計画を立案したりすることが可能です。
BIMを用いることで都市の3Dモデルを正確に再現できるため、従来行われていた都市計画と比べ、より精度の高い計画を実現することができます。

年単位の4次元シミュレーション

BIMソフトでは、モデル上の建物に属性情報をつけることができます。
建物に解体時期や竣工時期などの属性をつけ、年月を変えるとモデル上で古い建物から新しいものに建て変わる様子を確認できます。
他のBIMソフトやCADなどのソフトで作った建物も読み込むことが可能です。

復興計画づくりにも用いられている

まちづくりシミュレーションは、復興計画づくりにも用いられました。
2011年3月に発生した東日本大震災では、巨大津波により街が壊滅的な被害を受けました。
被害を受けたある街では、復興計画を3次元モデル化しました。
地図に避難道路や住宅地、防波堤などのインフラ施設を描いたものだけでは、一般の人には分かりにくいものだったそうです。
3次元モデル化することで、復興後の町のイメージをより具体的に描けるようになったのです。

BIMはさまざまなシミュレーションに活用できる

BIMを用いたシミュレーションは、都市や建物の計画や設計を行う際に有効な技術です。
この技術は、今後ますます普及していくことが期待されます。