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BIMモデルを解析!データ再入力の手間を省くことがポイント

BIMモデルを用いることで、さまざまな解析が迅速に行えるようになりました。
本記事では、BIMモデルを使用した「熱流体解析」「津波解析」「ヒートアイランド解析」「照明解析」「エネルギー解析」についてご紹介します。

BIMを使用した解析①:熱流体解析

熱流体解析とは、流体中の温度分布や速度分布を計算する解析手法です。
BIMを使用することで、建築物の構造や設備に関するデータを3次元で統合的に管理することができます。
空気や水の流れ、それに伴う熱の伝達などを解析可能です。
このデータを熱流体解析に利用することで、建築物の熱環境の精度を高く評価することが可能です。

熱流体解析ソフトの活用方法

熱流体解析は、建築物の設計や施工において以下のように活用されます。

熱負荷の予測

熱流体解析を用いて、建築物の熱負荷を予測することができます。
これにより、適切な冷暖房設備を導入することが可能です。

通風解析

ビルの通風解析も可能です。
自然換気による省エネ型のビルの場合、下の階で外気を取り入れ、建物内部を通り上階に導かれます。
屋外に排出したい場合は、上昇気流を利用し、上部から排出しなくてはいけません。
こうした計算も、熱流体解析ソフトなら自在にできます。

温熱環境の評価

熱流体解析を用いて、建築物の温熱環境を評価することができます。
これによって、快適な室内環境を実現することが可能になります。

エネルギー消費量の削減

熱流体解析を用いて、建築物のエネルギー消費量を削減することができ、建設コストの削減や環境負荷の軽減につながります。
たとえば、多数のサーバーが収容されたデータセンターと呼ばれるビルの省エネ性能を高めることも求められます。
サーバー室内で冷却用の空気が問題無く流れているかの解析にも、熱流体解析ソフトが用いられます。

BIMを使用した解析②:津波解析

津波解析とは、BIMモデルを用いて津波の浸水範囲や被災状況を予測する解析手法です。
BIMモデルは建物やインフラなどの位置や形状、構造などの情報を3次元でデータベース化したものです。
このデータを津波解析に利用することで、津波が建物やインフラに与える影響をより精度高く評価することができます。

津波の荷重を解析

BIMによる津波解析では、建物や構造物に加わる津波の荷重を正確に計算できます。
津波がどのように建物に作用するかを計算する場合、津波の高さや速度、建物の形、周辺の建物の分布など、さまざまな条件を設定しなくてはいけません。
BIMソフトを用いることで、緻密な計算も可能になります。

建物内部の流れを解析

BIMソフトを用いれば、建物内部の水の流れも解析できます。
これまでの津波解析は、津波の波高と地盤の高さなどから浸水域の広がりや水位などを予測することがメインでした。

近年では、流体解析によってより建物と津波の挙動を求める技術が開発されています。
あるシミュレーションでは、建物に作用する津波荷重を解析する技術が開発されました。
たとえば、3階建ての校舎に波高1~5mの津波による津波の動きや建物に作用する力などを解析できます。
これにより、津波で窓ガラスが割れれば、建物内部を津波が通り抜け、1階の水圧が2階の床を押し上げることも判明しました。

BIMを使用した解析③:ヒートアイランド解析

ヒートアイランド

ヒートアイランド解析とは、都市部と周辺地域の温度差を解析する手法です。
ヒートアイランド現象とは、都市部の方が周辺地域よりも気温が高い現象です。
地表の人工化、人口密集、交通量の増加などにより、都市部に熱が蓄積されることで引き起こされると考えられています。
ヒートアイランド解析は、ヒートアイランド現象の原因を解明し、対策を講じるために用いられます。

環境解析ソフトを使った解析

ある日本発の環境解析ソフトは、意匠設計用BIMソフトと連動して、ヒートアイランド現象などの熱環境を解析できます。
建物内部や地面、樹木などのモデルに熱伝導率や反射率などを入力することで、太陽光線の向きや強さなどを解析し、各部分の温度分布を見える化します。
ソフトを用いることで、樹木の量や舗装、建物の材質などを変え、ヒートアイランド現象への影響を抑える設計が可能です。

建物の打ち水効果を計算

建物の「打ち水効果」を利用することで、ヒートアイランド緩和につながるとされています。
たとえば、東京都のとあるオフィスビルの外装は、「バイオスキン」と呼ばれる大気の冷却装置で覆われています。
陶器で作られた管の内側に雨水を通すことで、水分が蒸発する際の気化熱でビル周辺の空気を冷やせます。
ビル周辺の冷却効果は、熱流体解析ソフトを使用することで行われました。

BIMを使用した解析④:照明解析

照明解析とは、BIMモデルを用いて照明の配置や照度を検討する解析手法です。
データを照明解析に利用することで、照明が空間に与える影響をより精度高く評価することができます。

設計段階で室内の照度や輝度を計算できる

日影解析では、輝度や照度などの細かい数値までは計算できませんでした。
照明解析ソフトを用いることで、影の範囲だけでなく、フロアの照度や輝度などを数値データとして計算できます。
太陽光と室内照明による光を組み合わせ、照度や輝度などが分かるのです。

BIMを使用した解析⑤:エネルギー解析

エネルギー解析とは、BIMモデルを用いて、建物のエネルギー消費量を予測する解析手法です。
BIMモデルは、建物やインフラなどの位置や形状、構造などの情報を3次元でデータベース化したものです。
このデータをエネルギー解析に利用することで、建物のエネルギー消費量をより精度高く評価することができます。

年間の消費エネルギーを計算

BIMを使って解析することで、建物が1年間で消費するエネルギーを計算することができます。
建物が消費するエネルギーには、照明、冷暖房などさまざまなものがあり、厳密に計算しようとするとかなり詳細なデータが必要です。
しかし、おおまかな数値は敷地の緯度や気候、建物の向きや形、断熱性、開口部などで決まります。
そこで、建物の用途や形、向きが決まった段階でBIMモデルデータから、ざっくり消費エネルギーや光熱費を計算するソフトなどが提供されています。
年間に消費するガスや電気、石油料の合計や光熱費、CO2排出量などをおおまかに計算できるのです。

BIMモデルを使った解析方法を知ろう

さまざまな解析ソフトを用いることで、建物の設計・施工・運用の効率化や品質向上に役立ちます。
解析に必要なデータを効率的に収集・管理し、解析結果を視覚的に確認し、他の関係者と共有することができます。
BIMモデルを使った解析は、建物の安全性や快適性、エネルギー効率を向上させ、コスト削減を図ることができます。
ぜひ解析方法について知っておいてはいかがでしょうか。