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上下水道の役割や仕組みについて理解しよう!都市環境との関係

衛生的な水を安定して供給するためには、上水道が欠かせません。
さらに、汚水を居住区から速やかに排除する下水道も、人々の生活に欠かせないものです。

本記事では、上下水道の役割や仕組みについてご紹介します。

上下水道と都市環境の関係

水の安定供給は、集落の立地と密接に関わっています。
人は川・湖・湧き水など、きれいな水が得られる場所の近くを選んで集落を作り上げてきました。
これは、良質な水を安定して得るのと同時に、汚水を速やかに排除するための手段だったのです。

近代の上下水道の始まりは、産業革命後の欧州であるとされています。
都市に人口が急激に集中した結果、衛生的な水を都市へ供給する仕組みが必要だったのです。

日本では、開国以降急速に人口が増加した横浜において、イギリス人技術者であったヘンリー・パーマー氏の技術指導によって始まったとされています。
パーマー氏は1887年に道志川で取水した水を鉄管で送水し、沈殿、ろ過をしたあと、各戸に排水する近代水道の仕組みを作り上げました。

上水道の定義と構成

水道は「清浄、豊富、低廉な水の供給をもって公衆衛生や生活環境の改善に寄与」することを目的としています。
事業場の区分としての上水道は、給水人口5,000人以上の都市の一般的な水道のことを指します。
給水人口5,000人以下100人までの町村部の小規模水道は、簡易水道と呼ばれます。
また、社宅など特定の人向けに給水されているのが簡易水道、水道事業者に水を供給するのが水道用水供給事業と区分されています。

上水道の施設

上水道の施設は、水源地から取水する水源系、水を浄水する水質変換系、浄水を必要な場所まで移動する輸送系の3つに分けられます。

取水施設
取水の対象となる水源の70%以上は河川とされています。
日本では河川勾配が急で保水性が低いため、ダムなしでは安定的な水の供給ができません。
そのため、給水人口が100万人以上となる場合は、半分以上がダムを経た取水となります。
水を引き込むのは、貯水池の場合は取水塔、水深が深い河川や湖沼は取水施設を水中に設置します。
流れのある河川の場合は、取水堰のゲートで仕切り、水位を上げてから水の引き込みが行われます。

浄水施設
取水された原水は、水質に応じて浄水の方法が変わります。
一般的な方法は、濁りを沈殿により分離したあとで、沈殿物を除去します。
沈殿には、凝集剤を使い促進します。
濁りを除去したあとは、塩素で殺菌消毒が行われます。
マンガン、鉄、悪臭などが含まれる場合は、含有物に応じた特殊な浄化施設に送られます。

配水施設
配水施設は、配水池と排水管路に分けられます。
配水池は浄水施設から一定量で供給される水を、需要に応じて水量調節する役割があります。
また、水頭を確保し、排水管に水圧を加えるのも役割の一つです。
配水管路は配水区域に浄水が行き渡るようなネットワークを組み、水圧の保持や均等化の役目を果たします。

給水施設
給水方式は主に2つあります。
送水された配水管に直接つなぐ「直結給水方式」、水槽で水道水を受けてから給水する「タンク給水方式」に分けられます。
直結給水方式はさらに2つに分けられます。
水道管の圧力がそのままの「直圧式」と、さらに圧力を加える「増圧式」があります。
3階建ての建物程度までの排水の場合は直圧式、それ以上になると増圧式が用いられることが多いです。

近代下水道の特徴

下水道

近代下水道は、明治初期に外国人技師によって神戸や横浜で下水管が埋設されたのが始まりです。
日本人技術者が関与した下水道は、1877年(明治10年)頃です。
横浜や東京におきまして、レンガ製の下水管が敷埋設されました。
下水道法が整備されたのは1900年(明治33年)で、「土地を清潔に保つこと」を目的としています。

下水道の主な役割は、雨水や汚水を速やかに排除し、居住地域への浸水を防ぐことです。
対象となる生活用水はトイレ、炊事、風呂、洗濯など家庭から排出される下水と、企業やホテル、レストランなどから排出される下水に分けられます。

下水道の施設

下水を処理する仕組みも上水と大まかな工程は変わりません。
砂や固形物を物理的に除去する処理と微生物を使って生物反応を組み合わせて処理が行われます。
最後に消毒・滅菌をして川に流します。
また、下水処理以外にも下水から分離した大量の汚泥を処理する施設もあります。
汚泥処理施設は、汚泥から水分を除去したり、焼却したりすることで脱臭などを行い、汚泥の原料と安定化を図ります。

下水処理後の再利用

下水処理を経て生成されたものを資源として再利用する取り組みもあります。
下水処理場で処理されている水は、年間約140億㎥に及びます。
これを貴重な水資源として、水辺空間の創出、公園のせせらぎ復活のための用水、農業用水、融雪、消火、工業放水、トイレ用水などへと活用されています。
しかし、全体から見ればごく一部のため、今後さらなる再利用が期待されています。

上下水道の役割や仕組みを知りましょう

上下水道は、人々の衛生的で安定した暮らしには欠かせないものです。
上水、下水ともにさまざまな施設を経ており、特に下水は処理後のさらなる再利用が検討されています。
基本的な上水道の役割や仕組みについては、知っておきましょう。