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連携も可能?BIM機能の効果的な活用方法

BIMを活用すれば、斜線制限、天空率、日影規制などの制約条件に適した設計が容易にできるようになります。
では、具体的にBIMを使えばどのようなことができるのでしょうか。

本記事では、BIMの機能や効果的な活用方法についてご紹介します。

※前編はこちら
BIMの活用方法。どのような機能が備わっている!?

BIMの機能⑤:建設物の高さや広さの検討

BIMを利用すれば、建設物の高さや広さの検討が容易にできます。
建物の高さや広さは、敷地に定められている建蔽率や容積率だけでなく、周辺土地の採光性や通風性などを確保するための斜線制限や天空率、日影規制も検討しなくてはいけません。

斜線制限

斜線制限とは、土地の採光性や通風性を確保するため、建物の高さや形は道路や隣地などの境界線から、空間を斜め上方に切り取らなくてはいけません。

これは建築基準法で定められています。
道路や隣地で建物が囲まれている場合、斜線部分は複雑な三次元空間になります。
意匠設計用BIMソフトの場合、道路や隣地か斜線をクリアする空間を「鳥かご」という形状で表す機能があります。
この機能を使えば、容易に斜線制限をクリアした建物のBIMモデルを作成することが可能です。

天空率

建物の高さや外形を規制する指標です。
建物の周辺から空を見上げた時、どれだけ空が見える部分が残っているかを数値化したのです。
天空率を使うことで、斜線制限だけでは難しいスリムな建物が建てやすくなります。
意匠設計用BIMソフトには、天空率計算機能が搭載されたものや天空率計算ソフトをアドオンソフトとして使用可能なものがあります。

日影規制

建物周辺の日照を確保するため、建築基準法で定められたものです。
敷地の境界から、5m、10mのところに測定ラインを設置します。
この測定ラインを超えたところに基準以上の影が生じないように制限します。
意匠設計用BIMソフトでは、日影や逆日影の解析機能を搭載したソフトやアドオンソフトなどもあります。

BIMの機能⑥:日陰シミュレーション

日陰シミュレーションとは、太陽光を建物が遮ってできる影を計算する機能です。
建物の形状、向き、敷地の緯度や経度、高さ、年月日や時刻を入力することで可能になります。

建物が造る影を時刻ごとに示したものは「日影図」と呼ばれます。
周辺の敷地や建物にできる影や建物内部に差し込む太陽光の範囲を計算できます。
また、建築基準法の日影規制の検討も可能です。

ひさしやルーバーの利用

冬に温かく、夏に涼しい建物にするためには、冬場は太陽光をなるべく室内に入れ、夏場はひさしやルーバーなどを活用して太陽光を室内に入れないようにします。
日陰シミュレーション機能を使えば、最適なひさしやルーバーの設計が容易になるでしょう。

BIMと構造計算ソフトとの連携

従来の構造設計業務は、柱や梁などは単純なフレーム構造でモデル化されていました。
そして構造計算ソフトを使い、各荷重に対する応力度を確認しながら、部材断面の大きさを決定します。
それから、建物の構造図を作成し、建築確認申請を行うのが一般的な流れでした。

しかし、構造計算後に柱は梁の位置や断面の大きさに変更があると、構造計算と図面との整合性が取れなくなっていました。
この問題も、BIMと連動させることにより、解決できるようになったのです。

一貫構造計算プログラムとの連携

日本の建設業界は、独自の「一貫構造計算プログラム」が用いられています。
このプログラムは、建物の大きさや形、部材などを入力することで、各種荷重に応じた応力度を計算できます。

またその結果が、建築基準法などで定められた許容応力度に収まっているかの確認もできます。
計算過程を追跡できるので、建築確認検査や構造計算適合性判定などで使用されることもあります。
こうしたソフトとBIMソフトを連携させれば、設計効率を上げられます。

BIMと積算ソフトとの連携

BIM

積算は、設計図書に基づいた資材の数量を拾い、建築工事費を計算することです。
積算基準には、「小さな開口部は無視する」などの特殊なルールがあるため、BIMの数量集計機能を使って計算することはできませんでした。

そこで行われているのが、従来の積算ソフトとBIMソフトの連携です。
積算ソフトは、独自の積算基準に基づいて数量を計算できます。
ただし、CAD図面を再入力する手間がかかっていました。

そこで、BIMモデルを積算ソフトと連携できる機能が搭載されるようになりました。
BIMソフトから積算に必要な属性情報はそのまま連携できるようになり、作業が大幅に効率化されたのです。

BIMのさまざまな機能について知ろう

BIMには、建設物の高さや広さの検討や日陰シミュレーションなど、設計に便利なさまざまな機能が搭載されています。
また、構造計算ソフトや積算ソフトとの連携など他のソフトと連携させれば、生産性向上や業務効率化にもつながります。
BIMの便利な機能を知り、日々の業務に役立ててみてはいかがでしょうか。