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BIMの活用例。施主が知っておきたいポイント

BIMは、建物の設計と建設における効率性・品質・協力の向上を目指すために用いられています。
BIMの導入には、設計事務所側にも施主側にもさまざまなメリットがあります。

本記事では、「施主」から見たBIMの活用方法と活用例についてご紹介します。

施主から見たBIM

ここでは、施主視点でのBIM導入のメリットをご紹介します。

施主も設計作業に参加可能になる

BIMは、建物の設計を3次元モデルとして視覚化することができます。
これにより、施主は建物のデザインや外観を詳細に確認し、建物の見た目や機能に関する意思決定をサポートすることができます。

また、BIMを活用して施主の要望を可視化し、デザインの修正や変更をすることもできます。
例えば「ここに梁があると邪魔だな」「入りづらい感じがある」など、設計業務に主体的に参加できます。

従来は、図面を使って設計が進められるため、施主は希望どおりの設計になっているのか分からないこともありました。
BIMモデルによって「見える化」することで、より設計内容を理解しやすくなったのです。

コスト管理と予算の把握

施主はBIMを使用して建物の材料や設備などの情報を統合することで、コスト見積もりや予算の把握を行うことができます。
これにより、予算オーバーや無駄な出費のリスクを最小限に抑えることができます。
また、施主は光熱費や維持修繕費などの「ライフサイクルコスト」を考える方も多いです。

しかし、設計事務所や建設会社は、初期コストほど気を使わないこともあります。
BIMを使えば、設計案に対して光熱費やエネルギー消費量がどのくらいなのか、定量的な値を出せます。
ライフサイクルコストを見える化できるので、比較検討しながら設計を進められるでしょう。

施主の具体的なBIM活用例

2008年に完成した「横浜カメリアホスピタル」では、施主がBIMによる設計作業に積極的に参加した事例です。
建設会社は、施主との打ち合わせにBIMソフトがインストールされたパソコンを持参し、その場でBIMモデルを見ながら設計内容を詰めていきました。
この打ち合わせの場で「ドアの位置をずらしたい」などの施主の意見を聞き、その場でモデルを修正し、設計に反映しました。

監視カメラの位置なども確認

病院内には数十か所ほど監視カメラが取り付けられました。
従来は、現場にカメラを持ち込み、実際の映像を確認しながら位置や角度の調整を行いました。
この現場ではBIMモデルの中に「仮想カメラ」を設置したため、見え方や死角などが確認できたのです。

最適なパーテーションもその場で検討

病院には複数のベッドがあるため、最適なパーテーションを配置することが大きな課題でした。
建設会社は実物大で立体視が可能な「バーチャルリアリティー・システム」を使用し、BIMモデル内のパーテーションの高さを数cmずつ変えながら施主に確認してもらい、最適と感じられる高さを求めました。
こうしてBIMモデルによって設計を行った結果、完成した建物は施主にとってほぼイメージどおりの出来だったそうです。

BIMは施主にとっても大きなメリットがある

BIMは、施主が建設プロジェクトを効率的に進め、品質の高い建物を完成させるための重要な技術です。
BIMを活用することで、施主は、建設プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで確認したり、設計変更を容易に行うことができるようになります。
これにより、施主は建設プロジェクトをより効果的に管理し、コストを削減することができるでしょう。