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不動産会社のBIMの活用例。知っておきたいポイント

BIMは、建築物の3次元モデルを作成して、設計・施工・維持管理の各プロセスで活用する手法です。
不動産会社ではBIMを活用しますと、さまざまなメリットを得ることができます。

本記事では、「不動産会社」から見たBIMの活用方法と活用例をご紹介します。

不動産会社から見たBIM

不動産会社でも、さまざまな場面でBIMを活用できます。
ここでは一例をご紹介します。

維持管理費の削減

建物の建設を行う際には、建設時に必要な設計や施工コストに目が向いてしまうことが多いでしょう。
しかし、実際に竣工後の維持管理段階のコストは、その3~4倍にものぼるとされています。
収益性の面を考慮すると、初期コストよりもトータルコストを削る方が有効です。
BIMモデルに建物の構造や設備機器、外装材などの情報をインプットすることで修繕計画や予算の作成を自動化でき、適切なコストが事前に分かるようになるでしょう。
さらに大規模修繕工事では、配管やダクトに隠れた設備の位置や状態なども確認できるため、計画の立案が容易になります。

建物内の備品や人事の管理

建物内の備品や人事もBIMで管理できます。
BIMモデルを建物管理に使うことで、備品、入居テナント、使用エネルギー、人事まで、建物内でのすべてのことを管理できるようになります。

デューデリジェンスの精度アップにつながる

デューデリジェンスとは、対象企業や対象資産の調査を行うことです。
デューデリジェンスを行うことで、投資家や買収企業は対象企業や対象資産のリスクを評価し、投資やM&Aの意思決定を行うことができます。
不動産会社は、建物を途中で売却する際にこうした調査を行い、建物価値を算定する資料を作成します。

しかし、壁や天井裏に隠れた設備や機器などの状態は完全に把握できないことも多くあります。
維持管理をBIMによって行うことができれば、建物各部の状態をガラス張り状態で把握できます。
このため、高精度のデューデリジェンスレポートを作成することができるのです。
高精度のレポートが作成できれば、売却時の評価や価値を高めることができるでしょう。

不動産会社の具体的なBIM活用例

ある物流施設を専門とする不動産会社の日本法人では、大規模物流施設の建設は、建物の寿命に大きく関わる構造部分をBIMソフトで設計しました。
これは、物流施設が不動産投資の対象のため、高品質で長寿命の建物を作ることが大切だったためです。
ここでは、具体的な活用事例についてご紹介します。

免震装置や標準部材をパーツ化

高品質の物流施設を少ないコストで建設するため、免震構造の設計手法を独自に開発しました。
物流施設として効率的な形にBIMパーツ化し、設計で何度も使えるようにしたのです。
これにより、同じような構造の物流施設を今後建設する際に、繰り返し使えるようになりました。
設計や施工図作成の手間の削減だけでなく、見積もりや数量拾いの手間も削減できます。

ライフサイクルコストの削減

構造部分の設計・施工を標準化することで、維持管理を含めたコストダウンを実現できます。
また、それがライフサイクルコスト削減にもつながると考えられました。
さらに、数十トンクラスのトラックやフォークリフトが走る倉庫には、床などに大きな衝撃が加わります。
補修を最低限に抑えつつ、長期間にわたり運用するためには頑丈な構造が基本です。
それをBIMによって実現することで、将来的に倉庫の運用管理にもBIMモデルを活かして効率化できるようになるでしょう。

BIMは不動産会社でも活用されている

BIMは、不動産会社にとって大きなメリットをもたらす技術です。
今後、BIMは不動産業界でますます普及していくことが予想されます。