土木構造物に使用される建設材料は、構造物の用途や規模、予算などによって選択されます。
では、どのように選択されているのでしょうか。
本記事では、建設材料と土木構造物の歴史や特徴などをご紹介します。
建設材料の歴史
建設材料の歴史は、人類の歴史と共に歩んできました。
古代から、人類は自然界にあるさまざまな材料を活用して、住居や建造物を建造しました。
古代
古代においては、石材や木材が主な建設材料として使用されていました。
石材は、その強度や耐久性から古代エジプトのピラミッドやギリシャのパルテノン神殿などの建築物に使用されました。
木材は、その軽量さと加工のしやすさから古代日本の神社や仏閣などの建築物に使用されます。
近代
19世紀に入るとセメントが発明され、コンクリートが建設材料として普及しました。
また鉄鋼は、その強度から橋梁や鉄塔などの建築物に使用されています。
コンクリートは、その強度や耐久性からダムやトンネルなどの建築物に使用されました。
現代
現代においては、プラスチックやガラスなどの新素材が建設材料として使用されるようになりました。
プラスチックは、その軽量さと加工のしやすさから住宅や建物の内装材として使用されます。
ガラスは、その透明性から窓や屋根などの材料として使用されます。
建設材料の特徴
建設材料は、構造物全体が所定の役割や機能を発揮するように、必要な場所に必要な強度の性能や使用性が求められます。
土木構造物は規模が大きいため、建設材料の量が多いのが特徴です。
また、安定的に安価に入手できる必要があり、品質にも気を配らなくてはいけません。
構造物が計画・設計の意図通りになるような品質である必要があります。
このため、材料の性質を把握し、適正な品質管理や施工管理が求められます。
建設材料の種類
土木構造物に使用される建設材料は、大きく分けて以下の3種類に分けられます。
コンクリート
コンクリートは、セメント・砂・砂利、水を混ぜて作る材料です。
強度や耐久性に優れており、土木構造物の主要な材料として使用されます。
鋼材
鋼材は、鉄鉱石を高温で熱処理して作られる材料です。
強度や耐久性に優れており、鉄筋コンクリート構造物や鋼橋などの骨組材として使用されます。
鋼材の種類は、製造方法や形状によってさまざまです。
木材
木材は、樹木の幹や枝から切り出した材料です。
軽量で加工しやすいという特徴があり、住宅どの構造材として使用されています。
建設材料が用いられている土木構造物
土木構造物には、その種類ごとにさまざまな建設材料が使われています。
道路
道路は、一般的に以下で構成されています。
- 盛土部、切土部などで構成される土構造物
- 川や鉄道などを超える際の橋梁に使われるコンクリートや鋼
- 丘陵部分を貫通するためのトンネル
道路断面は、車道・自動車道・歩道などで区分されます。
道路面はクラッシャランや粒度調整砕石を固めた路盤の上にアスファルト混合物や敷石などで舗装します。
そして、路面の排水のため、排水装置が設置されます。
切土部を通過する場合、斜面を安定させるために石やコンクリートのブロック積みやセメント吹付けの法面保護などが行われます。
鉄道
鉄道路線は道路と同様に、土構造物・橋梁・トンネルなどで構成されています。
また、軌道には列車の運行に関わる信号線・架線・通信ケーブルなどの設備が設置されます。
まず、路盤上に砕石によるバラストを敷き詰め、道床を作ります。
そして、PCコンクリートの枕木を介し、レールの支持が行われます。
長いトンネルや高架線、地下鉄などの場合、コンクリート製の道床に直結軌道が使用されます。
軌道は、砕石・PC枕木・鋼レールなどで構成されています。
河川・ダム・海岸
河川の洪水や氾濫防止のため、各種コンクリートブロックや砕石などが使用されます。
また沿岸部では、津波や高潮防止の海岸堤防・水門・消波ブロックなどに、コンクリート・土・砕石などが使用されます。
湾港・空港
湾港には、岸壁・防波堤・船溜まり・倉庫などの施設があります。
防波堤には、コンクリートブロック積み、ケーソン堤などで構成されます。
係船岸壁では、コンクリートブロック積みからコンクリートケーソン、L型岸壁などが施工されます。
また空港の施設には、滑走路・ターミナルビル・管制塔などがあります。
滑走路や誘導路は、アスファルト混合物やコンクリートなどが使用されます。
建設材料の特徴を知っておきましょう
建設材料は、構造物の用途や規模、予算などによって、何が適切か判断されます。
例えば、耐久性や強度が求められる橋梁やダムなどの構造物には、強度や耐久性に優れたコンクリートや鋼材がよく用いられます。
一方、住宅や仮設構造物などの構造物には、軽量で加工しやすい木材がよく使用されます。
建設材料ごとの特徴をおさえておきましょう。