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河川機械設備の更新プログラム。現状を知ろう!

現在、河川機械設備は老朽化が進んでいることをご存知でしょうか。
更新には費用と期間を要するため、入念な計画を立てる必要があります。
本記事では、河川機械設備の現状や更新プログラム、自治体からの支援の現状などをご紹介します。

河川機械設備の現状

河川機械設備とは、河川ポンプやゲートなどを指します。
この河川機械設備は現在、老朽化が進んでおり、今後整備の更新や急増が想定されています。
河川機械設備の現状は以下の通りです。

ゲート

  • 設置後40年経過施設が約60%
  • 10年後に40年経過する施設が約80%
  • 20年後に40年経過する施設が約90%

河川ポンプ

  • 設置後40年経過施設が約35%
  • 10年後に40年経過する施設が約55%
  • 20年後に40年経過する施設が約35%

河川機械設備は、昭和50年代をピークに昭和期に整備されたものが多くなっています。
高度経済成長期を期に建設が加速したため、今後老朽化する施設が急激に増えるとされています。

出典:国土交通省「河川機械設備における現状と課題

河川機械設備の更新プログラム

河川の工事の様子

河川機械設備の更新については、「更新プログラム」が提案されています。

マスプロダクツ化された製品の導入

国土交通省は、老朽化が進む河川機械設備の更新の際には、排水ポンプのマスプロダクツ化を推進すべきとされています。
マスプロダクツとは大量生産システムによって造られた製品のことを指します。
マスクプロダクツ型の排水ポンプを導入することで、小口分散化によるコストダウンや技術者の確保を目標につなげるべきと発表しました。

遠隔操作・自動操作の導入

河川機械設備の更新の際には遠隔操作や自動操作の導入なども提案されています。
たとえば、比較的小規模な樋門や樋菅ではフラップゲートなどによる無動力化が推進されています。
さらに河川ゲート設備全体では、遠隔主操作や集中管理を本格的に導入すべきとしました。
将来的には操作の自動化も目指しています。
これには、操作員の高齢化や働き手不足なども考慮した取り組みの一つです。

出典:国土交通省「河川機械設備における現状と課題

気候変動への対応

ポンプなどの施設は、耐用年数経過時点の気候変動の影響を考えるべきだとされています。
たとえば、施設の新設にあたり、気候変動による外力の増大を考えて設計を行う必要があります。
ただし、堰や大規模な水門など耐用期間が長期間にわたる施設では、必要に応じて更なる気候変動に備えた設計を行わなくてはいけないとされています。

自治体からの支援

河川機械設備の更新については自治体支援も検討されています。
河川管理施設は、国の管理となっているものが約3割、自治体の管理が約7割と、圧倒的に自治体管理のものが多いのが現状です。
しかし、自治体には機械を専門としている職人は少ないため、老朽化施設に対するメンテナンス体制が課題となっています。
そのため、自治体の職員を対象に、機械設備に関する座学や実機を用いた操作講習会などが行われています。
さらに、排水機場の主原動機や減速機などを、従来の特注品から大量生産品であるマスプロダクツ化された製品に見直すことで、機器の点検項目を簡素化できます。
このため、専門知識を必要としないメンテナンスが可能になると考えられています。

出典:国土交通省「河川機械設備における現状と課題

河川機械設備の多くが更新の時期に来ている

河川機械設備の多くは昭和期に建設されたものであることから、更新の時期に来ているものが多くあります。
しかし、施設の更新にあたっては建設時よりも費用と期間を要するとされており、慎重な対応が必要です。
また今後は、マスプロダクツ化された製品の導入や遠隔操作・自動操作の導入、気候変動への対応も必要とされており、さまざまな更新方法や体制構築が求められています。

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