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建設業界の改革を目指して!建設リサイクル法や民間工事指針を解説

近年、建設業界の改革を目指し、さまざまな法律が制定・改訂されています。
建設に関わる法律の、それぞれ背景や意図を知っておくことは重要です。

本記事では、建設業界の規則・法律として「建設リサイクル法」「民間工事指針」「キャリアアップシステム」についてご紹介します。

建設リサイクル法が制定された背景

建設リサイクル法は、2000年5月に制定された法律です。
建設廃棄物の再資源化により再利用するため、一定規模以上の建築物の解体や新築工事を行う事業者には
建設廃棄物の分別やリサイクルなどが義務付けられました。

建設リサイクル法が制定された背景には、まず以下の問題が挙げられます。

  • 近年、増大している建設廃棄業の問題
  • リサイクル法による実例(コンクリートの再資源化など)
  • マニフェストによる産業廃棄物の管理

建設廃棄物は、全産業廃棄物の約2割、最終処分量の約2割と大きな割合を占めています。
今後、高度成長期の建物が更新期を迎えることから、
建設廃棄物の排出量がさらに増大することが予想されています。

出典:経済産業省「資源循環ハンドブック 2019 法制度と3R の動向

民間工事を対象とした事前協議

国土交通省は、民間工事の適正な品質を確保するための指針を策定しました。
それが、受発注者間の信頼関係に基づく取り組みの推進です。

事前協議の項目には以下が挙げられます。

  • 地中関係(支持地盤深度、地下水位、地下埋設物、土壌汚染)
  • 設計関係(設計図書との調整や設計間の整合)
  • 資材関係や周辺環境 (近隣対応、騒音振動、日照阻害等)
  • 天災(地震、台風等)
  • その他(法定手続き)

こうした事前協議は、2015年に発覚したマンション杭データ偽装の反省があるとされています。
通常、建設工事は現場ごとにその状況が異なるため、
工事開始時には想定していなかったリスクが発生する可能性もあります。
しかし、契約時点で想定しなかったリスクが発生してしまうと工期の調整や金額変更が生じてしまい、
工事請負契約の受発注者間の調整が難しくなってしまいます。
杭データ偽装事件は、想定外のトラブルに対し
工期厳守や工期圧縮に関する圧力が強かったことも一因と考えられています。
こうしたことが起こらないよう事前に協議を決めておけば、
トラブル発生時も慌てることなく調整ができるでしょう。

出典:国土交通省「民間建設工事の適正な品質を確保するための指針を策定しました

建設キャリアアップシステムによる評価

建設キャリアアップシステム

建設キャリアアップシステムは、技能者のレベルを明確にする仕組みのことです。
能力や経験に応じた処遇を受けるための環境を作ることを目的として制定されました。
国土交通省は、2023年には建設キャリアアップシステムを全ての工事で原則化するとしています。

建設キャリアアップシステムの仕組み

建設キャリアアップシステムは、技能者の資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などの記録を登録・蓄積する仕組みのことです。
配布されるICカードを現場に置かれたカードリーダーに読み取らせれば、
誰が、いつ、どの現場で、どんな仕事をしたかという記録がすぐに蓄積できます。
現場や勤務先が変わっても、継続して就業情報を蓄積することが可能です。

処遇改善への取り組み

ICカードは、技能者の能力に合わせて4段階に分かれています。

  • レベル4(最上位)…10年以上の就業経験、職長経験3年以上
  • レベル3…7年以上の就業経験、職長または班長としての経験1年以上
  • レベル2…3年以上の就業経験
  • レベル1…建設キャリアアップシステムに技能者登録を行い、かつレベル判定を受けていない者

技能者のレベルが明確になれば、能力に応じた請負代金が得られます。

出典:国土交通省「建設市場整備

建設業界改革のための法整備がされている

近年「建設リサイクル法」「民間工事指針」「キャリアアップシステム」など
さまざまな法整備が行われています。
こうした法整備がされることにより、より建設業界が働きやすくなることが予想されます。