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建設業界の規則・法律を知っておこう!官公需法・工事請負契約・一括下請けの禁止・監督処分

建設業界には、さまざまな規則や法律があります。
本記事では建設業界の規則・法律として、中小の建設業に関わる官公需法、工事請負契約、
一括下請け(丸投げ)の禁止、監督処分と入札参加資格停止についてご紹介します。

官公需法

官公需法は、中小建設業を保護するための法律です。
技術や創造的な活動を行っている中小の建設企業を育成し、競争力を高めるために制定されました。
「中小企業者の受注機会の増大を図ること」が手段として強調されており、
中小企業向けの契約目標が決められています。
そのため、地元の中小建設業者に受注させることだけを目的にした
公共工事の「分離分割発注」が行われるなど、官公需受注機会の増大措置などが実施されています。

出典:経済産業省「令和元年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針
出典:中小企業庁「平成27年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針

工事請負契約

工事請負契約とは、建物の完成を約束し完成した後にその仕事に対する報酬として
対価を支払うという契約のことです。
建設工事のトラブルの多くは、契約書がなかったり契約書の記載が不足したりすることで発生するとされています。

ただし当事者間の力関係によっては、契約条件が一方だけに有利に定められる可能性があります。
このため、中央建設業審議会や民間(七会)連合協会工事請負契約委員会では、
当事者間の具体的な権利・義務の内容を決定するため、標準となる工事請負契約を作成しています。
建設工事の紛争では、工事瑕疵の割合が減り、工事代金争いの割合が増えているとされます。

瑕疵担保責任から契約不適合責任に

2020年の民法改正に伴い、従来の「瑕疵」が「契約不適合」という用語に変更になりました。
もし契約不適合があった場合、発注者は従来の修補や損害賠償請求にプラスし、
代金減額請求と契約解除が可能です。
契約不適合責任の期間は契約不適合を知ってから5年、
または引き渡しから10年のいずれか早い方と定められています。
ただし、契約不適合を知ってから1年以内に請負人にその旨を知らせなくてはいけません。

出典:国土交通省「建設工事紛争取扱状況(平成30年度)

一括下請けの禁止

一括下請け(丸投げ)とは、請け負った工事をそのままそっくり下請けに出すことです。
公共工事においては中間搾取を招くとし、建設業法などで禁じられているのです。
民間工事では、これまで発注者が認められれば可能でしたが、
2006年の法改正によって多数のものが利用する施設においては禁止されました。

一括下請け(丸投げ)が禁止されている理由

  • 発注者から技術力や工事の経歴などを確認して発注されたのに、その信頼を裏切ることになる
  • 施工の責任があいまいになり、手抜き工事や労働条件の悪化につながる
  • 中間搾取を目的に、施工能力のない商業ブローカーや不良建設業者の輩出を招いてしまう

上請けという問題もある

公共工事においては、上請け(うわうけ)という問題もあります。
公共工事の入札においては、建設業者は規模や技術力に応じてランク付けされています。
そのランクに応じて、受注できる工事の金額が決まります。
下のランクの業者は上のランクの工事に参加できないだけでなく、
上のランクも下のランクの工事に参加できません。
ランク制により、建設業界に発注金額別の「棲み分け」を強制していることになります。

地域の公共工事では、地元優先の暗黙の了解があるとされています。
そのため、特定の技術が必要でもランクの低い地元業者しか参加できないようにすれば、
大手建設会社に丸投げしなくてはいけません。
これが上請けと呼ばれる問題です。

監督処分の対象

現場監督

建設業者が建設業法や入札契約適正化法に違反すると、監督処分の対象になります。
監督処分の対象になり、営業停止処分を受けると
入札、見積もり、契約交渉などを一定時間停止する必要があります。

監督処分は3種類に分けられます。

指示処分
指示処分は、法令違反や不適正な事実を是正するため、監督行政庁が命令します。

営業停止処分
一括下請禁止規定の違反や独占禁止法、刑法などの他の法令に違反した場合、
指示処分ではなく営業停止処分になります。
営業停止の期間は1年以内で、監督行政庁が決定します。
また指示処分に従わなかった場合も、営業停止処分の対象です。

許可取消処分
不正な手段を用いて建設業の許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりする場合、
監督行政庁によって建設業許可の取り消しを行います。
また、一括下請禁止規定違反や独占禁止法、刑法などの他法令に違反した場合、
情状が特に重いケースは指示処分や営業停止処分ではなく、許可取消処分となります。
また、公共工事などで不正な行為をしたり事故を起こしたりした会社は一定期間入札に参加できない「入札参加停止」などもあります。

出典:国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

建設業界の規則や法律を知ろう

建設業界では、適正な工事業者に発注したり、工事に関するトラブルを避けたりするため
さまざまな規則や法律が制定されています。
これらの法律を破ると、営業停止処分や許可取消処分などの重い処分が下されるケースもあります。
そのため、規則や法律について詳しく知り、違反しないようにすることが大切です。