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知っておきたい建設業の法律。住宅瑕疵担保履行法・都市計画法・建築物省エネ法・国土強靭化基本法

建設工事にはさまざまな法律が関係しているため、
建設業に携わる人は基本的な知識は身に付けておきたいものです。
本記事では、建設業界の規則・法律として「住宅瑕疵担保履行法」「都市計画法」「建築物省エネ法」「国土強靭化基本法」についてご紹介します。

住宅瑕疵担保履行法とは

住宅瑕疵担保履行法は、2019年10月から施行された法律です。
住宅の品質確保の促進などに関する法律に基づき、
新築住宅の売主などは10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。
しかし売主が倒産してしまうと、十分な瑕疵担保責任を負うことができません。
そこで、購入者などの利益の保護を図るために制定されたのが
「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保などに関する法律」です。

この法律の主な内容は、以下となります。

  • 住宅専門の保険に加入もしくは保証金を供託
  • 事業者の倒産などによって瑕疵の補修などが行われない場合は、住宅購入者に対して保険金を支払う
  • 保険の対象となるのは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分
  • 既存住宅の売買やリフォーム工事についての瑕疵保険もスタート

出典:国土交通省「住宅瑕疵担保履行法について

都市計画法の目的

都市計画法とは、都市として整備すべき区域を都市計画区域として定め、
市街化を促進する区域と市街化を抑制する区域などを線引きする法律です。
無秩序な開発を防止し、効率の良いインフラ整備を行うことを目的として制定されました。
都市計画法では10万k㎡を都市計画区域とし、市街化区域と市街化調整区域、非線引き区域に分けられます。

  • 市街化区域:市街化を促進する区域。約1.4万k㎡
  • 市街化調整区域:市街化を抑制する区域。約3.4万k㎡

都市計画は公共工事に直結している

すでに市街地が掲載されている区域、約10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域には、
用途区域が定められます。
地域ごとに住居、商店、工場には建築物の用途や容積率、高さなど
さまざまな建て方のルールが定められます。
また、目的に応じた環境の確保も必要です。
さらに都市施設として、道路や公園、下水道などの整備が重点的に行われるのが特徴です。

コンパクトシティの形成

地方都市では人口減少と高齢化などにより、低密度化が進んでいます。
そのため、高齢者は車を運転できないことから買い物や病院にも行けないということがあります。
また、低密度かによりゴミ収集などの行政コストが上昇するといった課題もあります。
そこで、都市や地域をよりコンパクトにすることで、
住民が徒歩や公共交通により商業施設や病院などにアクセスできるようになれば、
行政コストを抑えることが可能です。
そのため、国はコンパクトシティを広めるため、立地適正化計画を定めています。

出典:国土交通省「市街地再開発事業

建築物省エネ法とは

建築物省エネ法は、建築物の省エネ性能向上を図るために制定されました。
日本の最終エネルギー消費のうち、業務や家庭などの民生部門でもエネルギー消費量が増加しています。
さらに、CO2排出量で全体の1/3を占める住宅・建築物分野における対策も重要視されています。
これは、住宅世帯数と機器使用、建築物の床面積の増加と営業時間の延長が主な要因だからです。
そこで制定されたのが、建築物の省エネ性能を向上させるための
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」です。

2019年の改正内容

改正前は、2000㎡以上の非住宅は新築時に省エネ基準に合わせることが義務化され、
300㎡以上の建築物は新築・増改築時省エネ措置の届出を行う必要がありました。
2019年に行われた改正により、省エネ基準への適合義務が300㎡以上の非住宅に拡充されました。
さらに、300㎡以上の住宅における届出手続きが合理化され、指示・命令が強化されたのです。
また、300㎡未満の建築物は「省エネ性能向上の努力義務」が「省エネ基準適合の努力義務」へ強化され、
建築士が建築主に説明する義務が追加されました。

災害を想定した国土強靭化基本法

災害

国土強靭化基本法は、2013年に施工され、2014年には閣議決定されました。
日本では度重なる災害により、さまざまな被害に遭っています。
そこで、大規模自然災害に対して最悪の事態を想定し、
国土政策や産業政策などの対応を行うために制定されたのが国土強靭化基本法です。

国土強靭化の基本目標は以下の通りです。

  1. 人命の保護が最大限に図られること
  2. 国家および社会の重要な機能や致命的な障害を受けずに維持できること
  3. 国民の財産および公共施設に関わる被害の最小化
  4. 迅速な復旧・復興

国土強靭化基本法では、国土強靭化本部が基本計画、都道府県と市町村が必要な地域計画を作成します。
特に、ハザードマップ作成や避難訓練などの対策に力を入れるとしています。

出典:内閣官房国土強靭化推進室「国土強靭化を進めよう
出典:国土交通省「改正建築物省エネ法の各措置の内容とポイント

建設業のさまざまな法律について知ろう

「住宅瑕疵担保履行法」「都市計画法」「建築物省エネ法」「国土強靭化基本法」は、
いずれも近年制定もしくは改正された法律です。
いずれも人々が快適で安心に暮らしていくために定められた法律ですので、
基本的な部分を覚えておきましょう。