日本の建設機械メーカーは、さまざまなグローバル展開を考えています。
本記事では、建設機械業界の全体像として、グローバル展開と戦略についてご紹介します。
日本の建設機械メーカー
日本の建設機械メーカーは、リーマンショック後に北米向けの輸出が急速に回復しました。
そして、その後も順調に増加しています。
日本建設機械工業会によると、油圧ショベルなどの9機種の出荷金額は2007年が100とすると、
2020年度は166に達しています。
また、欧州や中国を除いたアジアへの輸出は減少しているものの、2018年度は高い水準を維持しています。
ただし、新興国への輸出は苦戦しています。
これは、新興国のメーカーの台頭だけでなく、
キャタピラーなどの大手が廉価版を投入するなどの戦略を打ってきたからだと考えられています。
グローバル展開の考え方
建設機械メーカーのグローバル展開は、「バートレットとゴシャールの4類型」というフレームワークを用いることで考えられます。
- グローバル戦略
- インターナショナル戦略
- トランスナショナル戦略
- マルチドメスティック戦略
グローバル戦略
グローバル戦略は、すべての市場に標準化したものを販売する戦略です。
バリューチェーンの顧客から遠い部分が、競争優位を生む業界などで用いられることが多いです。
たとえば、半導体やパソコンなどです。
インターナショナル戦略
強力な競合がいない市場で、国内のみならず現地にも価値のあるものを販売する戦略です。
一定の範囲でローカライズを許容されます。
たとえば、映画やゲームなどが挙げられます。
トランスナショナル戦略
本社と海外の子会社間または海外子会社間で開発、生産、供給の連携を取りつつ、
現地のニーズに合ったものを販売します。
たとえば、自動車や日用品などが挙げられます。
マルチドメスティック戦略
マルチドメスティック戦略は、現地のニーズに細かく対応したものを販売する戦略です。
バリューチェーンの顧客に近い部分が競争優位を生む業界で利用されることが多いです。
たとえば、食品やプリンターなどが挙げられます。
建設機械メーカーは、「マルチドメスティック戦略」を採用していましたが、
2000年代に入ると多くの部品を共通化し、コスト削減に取り組むようになりました。
この流れは今後も続くことが予想されることから、「トランスナショナル戦略」に移行すると考えられます。
現地のニーズに対応しつつ、プロセスの一部を標準化して製品を効率よく作ることが求められます。
建設機械メーカーのグローバル展開を知ろう
日本の建設メーカーは、さまざまなグローバル展開を行っています。
先進国やアジア新興国では現地顧客を囲い込めていますが、
アジアを除いた新興国や中国などでは競争が激しいのが特徴です。
そのため、新しい時代に合わせた戦略について考えていきましょう。