建設業界において、たびたび問題として取り上げられているのが偽装事件です。
こうした偽装事件はなぜ起こってしまうのでしょうか。
本記事では、建設業界における偽装事件の事例や未然に防ぐための対策をご紹介します。
偽装事件の例
横浜のマンションを支える基礎杭が支持層に届いていないことで、施工データの改ざんが発覚しました。
杭打ちデータに別の工事データが転用されており、セメント注入量の偽装なども行われていたのです。
また、建設業法の違反もありました。
一次下請けの会社が、施工計画書の作成や工程調整を二次下請け会社にそのまま任せていたのです。
加えて、一次下請け・二次下請けともに義務付けられている主任技術者を複数の現場に兼任させていました。
さらに、元請会社も違反を知りながら下請けに任せきりにしていました。
その他の偽装事件事例
- 2007年:軒天や間仕切りなどの防耐火部材の不正な認定取得
- 2009年:防火サッシの不正な認定取得
- 2015年:免震ゴムのデータ偽装
- 2016年:羽田空港の地盤改良工事において、薬液注入量の偽装
- 2019年:大手ハウスメーカーにおいて300人以上が実務経験の要件を満たしておらず、不正に施工管理技士の資格を取得していた
こうした偽装事件が多発することにより、まだ発覚していない不正や手抜きがあるのでないかと、建設業界の信頼が低下することになりました。
偽装事件を未然に防ぐための対策
偽装事件のほとんどは、内部告発や施工後のトラブルが起きない限りは発覚しません。
また、繰り返し指摘されているのが、下請けや担当者の弱い立場です。
「できないとは言えない」という大きなプレッシャーが黙認や大きな事件につながる可能性があります。
偽装事件を防ぐために、国土交通省は2016年7月に民間工事指針を規定しました。
これは、民間建設工事の適切な品質を確保するため、以下の12項目が定めています。
- 支持地盤の深度軟弱地盤の圧密沈下
- 地下水位
- 地下埋設物埋蔵文化財
- 土壌汚染産業廃棄物
- 設計図書
- 設計間の整合
- 資材納入
- 近隣対応
- 日照阻害、風害、電波障害
- 騒音・振動
- 地震、台風、洪水等
- 法定手続き
出典:国土交通省「別表 民間建設工事の適正な品質を確保するための協議項目リスト」
建設業界の偽装事件と対策について知ろう
建設業界ではたびたび偽装事件が発生しており、業界全体の信頼を低下させる原因となっています。
実際に偽装事件を行っているのは一部の企業とはいえ、関係者全員が真摯に工事に向き合うことが大切です。