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ゼネコンの課題はどこにある!?土木・建築の特徴と併せて解説

日本の基幹産業である建設業界の中核を担うのがゼネコンです。
しかし、近年ゼネコン業界はさまざまな課題に直面しています。

本記事では、ゼネコンの課題を土木・建築の特徴と併せて解説します。

ゼネコンの課題

ここでは、ゼネコンの課題についてご紹介します。

労働者不足

ゼネコン業界は、人手不足や高齢化が深刻な課題となっています。
一般社団法人日本建設業連合会の調査によると、建設業就業者数は2003年時には約600万人ですが、2022年時には約490万人となっています。
また、厚生労働省の調査によると2023年10月の有効求人倍率は1.30で、2018年から減少しています。
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値です。
有効求人数を有効求職者数で割って求められます。

土木・建築は、体力や技能が求められる労働集約型の産業です。
また、工期が長く長時間労働が常態化していることもあり、若者の就職先として敬遠されやすく、人材確保が難しい状況となっています。
また、建設現場の労働環境の改善や働き方改革の推進などにより、高齢者の離職も進んでいます。
労働者不足は、工期の遅延や品質の低下、コスト上昇などの問題を引き起こします。
また、ゼネコンの競争力低下にもつながります。

出典:一般社団法人日本建設業連合「4. 建設労働

既存事業の課題

ゼネコンの既存事業である土木・建築事業には、以下のような課題があるとされています。

建設需要の減少
少子高齢化や人口減少により、住宅需要やインフラ需要が減少しているといわれています。

競争の激化
ゼネコン業界は寡占化が進んでいますが、それでも競争は激しいとされています。

価格下落圧力
公共工事では、低価格で入札する業者に受注が決まる傾向があり、これらの課題によりゼネコンの収益性が低下しているといわれています。

新規事業の課題

ゼネコンは、既存事業の課題を克服するために新規事業の拡大に取り組んでいます。
しかし、新規事業には以下のような課題があります。

技術力やノウハウの不足
ゼネコンは土木・建築の技術やノウハウを有していますが、新規事業にはそれらの技術やノウハウが必ずしも必要とは限りません。
そのため、新規事業を行う際に技術力やノウハウ不足が起こる可能性もあります。

競争の激化
新規事業の市場では、既存の企業やベンチャー企業との競争が激しいため、ゼネコンの新規事業の成功は容易ではないとされています。

ゼネコン各社はこれらの課題を解決するためにデジタル化や海外展開、非建設事業の拡大など、さまざまな取り組みを行っています。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年10月分)について
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年10月分)

土木・建築の特徴

土木と建築

土木・建築は、人々の生活に欠かせないインフラや建造物を創り出す産業です。
土木は道路、鉄道、橋梁、ダム、河川、港湾、空港などのインフラを整備する工事です。
建築は住宅、ビル、マンション、工場、病院、学校などの建造物を建てる工事です。

土木・建築の特徴は、以下が挙げられます。

社会インフラを支える産業である

土木・建築は人々の生活に欠かせない道路、鉄道、橋梁、ダム、河川などのインフラを整備する産業です。
これらのインフラは、人々の移動や物流、生活を支える重要な役割を果たしています。

多様な工事を行う産業である

土木・建築は、道路や橋梁などの大型インフラから住宅やビルなどの小規模な建造物まで、多様な工事を行います。
そのため、幅広い技術や知識が求められます。

特に、以下のような点で複雑であるといえます。

形状の複雑性
土木・建築の構造物は道路や橋梁、ビルなど、さまざまな形状をしています。
これらの形状は、機能や用途に合わせて設計されます。

規模の複雑性
土木・建築の構造物は道路や橋梁、ダムなど、さまざまな規模があります。
大型の構造物では、設計や施工の難易度が高くなります。

機能の複雑性
土木・建築の構造物は道路や橋梁、ビルなど、さまざまな機能を持っています。
これらの機能は構造物の安全性や耐久性、経済性などを考慮して設計されます。

環境条件の複雑性
土木・建築の構造物は、さまざまな環境条件下で使用されます。
これらの環境条件は、構造物の強度や耐久性に影響を与えます。

現場との密接な関係

土木・建築は、設計と施工が密接に連携する産業です。
設計段階で施工を考慮し、施工段階で設計を修正するなど、両者は不可分であるといえます。

その理由には、以下が挙げられます。

土木・建築の構造物は、現場の状況に合わせて設計・施工を行う必要があるため
土木・建築の構造物は道路や橋梁、ビルなど、さまざまな環境下で建設されます。
そのため、現場の状況に合わせて設計・施工を行う必要があります。
たとえば、道路の建設では地形や地質、交通量などの条件を考慮して設計を行います。
また、施工時には地形や地質の状態に合わせ、工法を変更することもあります。

土木・建築の構造物は、施工後に変更が難しいため
土木・建築の構造物は大型で重量のあるものが多く、施工後に変更が難しいという特徴があります。
そのため、設計段階で施工を考慮し、施工段階で設計を修正するなど、両者は不可分であるといえます。
現場との密接な関係は土木・建築の特徴の一つであり、設計や施工の難易度を高めています。
また、現場の状況を正確に把握し、適切な設計・施工を行うことが重要となります。

土木・建築は日本の基幹産業

土木・建築は日本の基幹産業であり、人々の生活を支える重要な役割を担っています。
今後も少子高齢化や人口減少、環境問題などの課題に対応しながら発展していくことが期待されています。