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建設現場の振動問題への向き合い方。苦情の実態

工事をするうえで気をつけなくてはならない問題の一つが、振動です。
感覚・心理的な部分も多く、複雑な問題とされています。

本記事では、建設作業の振動問題の実態、問題への向き合い方などをご紹介します。

振動に関する苦情の実態

環境省の調査によると、令和元年度に全国の地方公共団体に寄せられた振動に関する苦情の件数は約3,179件とされています。
この数値は前年度と比較して220件(6.5%)減少しています。

振動の発生源

発生源別の苦情件数を見ると、以下のように分類されます。

  • 建設作業:2,266件(全体の71.3%)
  • 工場/事業場:481件(同15.1%)
  • 道路交通:227件(同7.1%)
  • 鉄道:29件(同0.9%)

出典:環境省「令和元年度(平成31年度)振動規制法等施行状況調査の結果について

振動問題への向き合い方

振動問題への対策として制定されたのが「振動規制法」です。
振動規制法とは、工場および事業場における事業活動ならびに建設工事に伴い発生する振動について必要な規制を行い、道路交通振動に係る要請の措置を定めることで、国民の健康の保護に資することを目的としています。

具体的には、機械プレスや圧縮機など、振動を発する機械を設置する工事や事業場が規制の対象です。
都道府県知事が振動に関する地域を指定するとともに、環境大臣が定めた基準範囲で規制基準が定められています。

道路交通振動の規制

道路交通振動についても、規制されています。
市町村長は振動の測定を行った場合、指定地域内で総理府令で定める限度を超えており、周辺の生活環境が著しく損なわれている場合は、道路管理者に措置を要請できます。
また、都道府県公安委員会に対し、道路交通法の規定による措置の要請も可能です。

低騒音型の指定制度とNETIS

国土交通省は、振動や騒音が軽減された建設機械を「低騒音型」「超低騒音型」「低振動型」建設機械として指定し、建設工事での使用が推奨されています。
さらに、国土交通省が新技術に関わる情報の共有及び提供を目的として整備した新技術情報システム(NETIS)に登録されている技術の利用も推進されています。
この技術には、エンジンルーム内の運転音軽減やオートアイドルストップなどが挙げられます。

出典:環境省「振動規制法の概要
出典:国土交通省「建設施工・建設機械

建設現場の振動問題について知ろう

建設現場の振動問題は、近隣住民の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
建設事業者や行政は、建設現場の振動問題への対策を積極的に講じ、近隣住民との共生を図ることが重要です。