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グラウト材を使用した工事。施工管理職として覚えておきたいこと

グラウト材はモルタルの一種ですが、どんな工事に使用するかご存知でしょうか。
モルタルにもさまざまな種類や特性があるため、施工管理職を目指すのであれば覚えておきましょう。
本記事では、グラウト材の概要やメリット・デメリットなどをご紹介します。

グラウト材とは

グラウト材とは、無収縮モルタルのことを指します。
コンクリートの空隙目地やひび割れなどの隙間を塞ぐために用いられる、資材の一種です。
流動性があるため、細かい隙間を塞ぐのに適しているとされます。
さらに盤改良や鉄骨・鉄筋の充填剤など、幅広い場所で用いられます。
耐水性が高いため、防水目的で使われることもあります。

グラウト材の種類

グラウト材は使用する素材によって種類が分かれます。
大まかな種類は、以下の通りです。

薬液系
水ガラス系、特殊シリカ系、その他(粘土と薬剤の組み合わせ)などに分けられます。
さらに、それぞれ溶液型や懸濁型など細かい種類に分けることができます。

非薬液系
懸濁型があり、セメント系、スラグ系、粘土系、合成樹脂系に分類されます。

建造物の構造や素材によって適したグラウト材が異なるため、使用前に確認する必要があります。

グラウト材のメリット・デメリット

グラウト

ここでは、グラウト材を使用するメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

グラウト材は収縮がないため、強度が高いのが特徴です。
流動性に優れており、空隙ができないため構造物との付着性が高く、耐震強度を高めるのにも役立ちます。
通常のコンクリートの場合、1m㎡あたり約270㎏の圧力に耐えることができますが、グラウト材の場合、1m㎡あたり約400㎏の圧力に耐えられます。
さらに耐水性や防水性に優れているので、劣化しにくいといわれています。
また、施工面が均一に仕上がります。

デメリット

グラウト材は、通常のモルタルと比較してコストが高いのがデメリットといえます。
そのため、柱の付け根部分や沓座など重要な部分にのみ用いられることが多いです。
また、グラウト材は正確な注入が難しいため、知識や技術がない人が行うと失敗しやすいでしょう。

グラウト材が生きる場面

グラウト材は主に建築現場にて、スキマへの注入や結合部分への接着剤として使用されています。ここではより具体的にどういった場面でグラウト材が使用されているのか見ていきましょう。

鉄骨とコンクリートを接着させる

鉄骨の柱をコンクリートと結合させる場面でグラウト材は役立ちます。グラウト材は収縮しないという特徴を持っています。そのため、通常接着剤として使用されるコンクリートよりも強い圧力にも耐えられます。これにより建造物の耐久性向上に貢献するでしょう。
また、グラウト材は粘度が強く、細かな隙間にも入り込んで接着します。基礎部分のコンクリートは表面がデコボコと凹凸があるため、鉄骨と接着させる際にグラウト材を用いると、より安定した仕上がりに完成させることが可能です。

鉄柱とコンクリートを接着させる

鉄筋とコンクリートの隙間にグラウト材を注入すれば、これら2つを強固に結合させ、建造物の耐震性を向上させます。また、新しい建造物を建築する際だけでなく、劣化が始まった既存の建物にもこの方法は有効です。
一般的なモルタルでは水の含有量が多くなってしまい、時間がたつと収縮してしまいます。水の含有量が少ないグラウト材であれば、狭い隙間にも入り込んで、強固に接着させることが出来ます。このように、既に完成した建物の追加補強にもグラウト材は役立ちます。

防水加工が必要な時

屋根や外壁が経年劣化によってひび割れを起こすと、雨漏りの原因になってしまいます。雨漏りを放置するとコンクリートの劣化を加速させ、シロアリを呼び寄せてしまいます。さらに、雨水によって湿気が増すと、カビが発生する恐れがあり、建物内部で生活する人たちにも健康被害を及ぼします。
グラウト材は防水性にも優れています。そのため、ひび割れに対してグラウト材を注入すれば、細かな隙間を埋めながら雨水が入り込まないようになります。

経年劣化した建物を修正する時

新築の建物を建造する際だけでなく、年数が経過し劣化が進んだ建物を補修する際にもグラウト材は利用されます。グラウト材はコンクリートや他のモルタルに比べても優れた接着力と流動性、膨張性を持っています。
そのため、経年劣化によってひび割れが発生した建物でも、グラウト材を用いて補修すれば、長期にわたって強度を高めることが可能です。また、追加の耐震工事や地盤沈下によって、建造物が傾いてしまった場合にもグラウト材が用いられます。

家で簡易的な修繕施工を行う時

建築現場でなくとも、家庭でDIYを実施する際にグラウト材は非常に便利です。例えば、コンクリートで舗装された庭の補修や、レンガ・コンクリート塀のひび割れなどの、細かい隙間を接着させる場面ではグラウト材が役立ちます。
このように、業者を呼ぶまでもないような、ちょっとした家の補修を行う場合もあるでしょう。グラウト材であれば高い接着力と流動性を活かして、細かなひび割れにも対応しています。
また、グラウト材は業務用の大容量だけでなく、家庭でも使えるような少量からも販売されています。そのため、使いきれずに放置してしまうということもありません。

水平な場所の基礎工事を行う時

グラウト材は屋上のような水平な場所の仕上げに使用すると、表面をキレイに仕上げられます。
高層建造物の場合、屋上にはシート防水やウレタン防水など防水加工が施されます。グラウト材を用いて施工すれば、表面をキレイに仕上げられるだけでなく、防水加工も同時に施すことが可能です。
また、グラウト材自体が粘度が低くサラサラとした質感なので、特別な作業を行わなくとも、短時間で表面をキレイに仕上げられます。このように、グラウト材を表面仕上げに使用することで、表面を水平にしながら、防水加工も同時に施せます。

耐水性や防水性が高いモルタル材

グラウト材は、無収縮モルタルと呼ばれる耐水性や防水性に優れたモルタルです。
構造物との付着性が高まるので、構造物の耐震強度を高めるのに適しているとされます。
グラウト材にはさまざまな種類がありますので、用途や構造物の種類などによって使うものを変える必要があります。
そのため、使用前には必ず特性について確認しましょう。