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RC造のスランプとフロー。フレッシュコンクリートの性質と併せて解説

RC造に使用されるコンクリートは打設されるまでは、
固まっていない「フレッシュコンクリート」の状態で工場で製造され、現場まで運ばれます。
フレッシュコンクリートの柔らかさを示す「スランプ」は、
コンクリートの品質や施工のやりやすさを左右するとても重要な指標です。

本記事では、スランプとスランプフローなど、フレッシュコンクリートに関わる用語などを解説します。

スランプとスランプフロー

スランプとは「下がった」という意味で、主にフレッシュコンクリートの柔らかさを表す指標です。
スランプ値が大きくなるほど、柔らかくて施工しやすいフレッシュコンクリートといえます。
ただし、「柔らかい=品質が良いコンクリート」というわけではないため、
スランプ値を現場や構造体にとってベストな状態を保つことが求められます。

スランプを計測するには「スランプ試験」を行うのが一般的です。
同試験ではまず、上の内径が10cm、下の内径が20cm、高さが30cmの鋼製で
内側が空洞になっているコーンを用意します。
そのコーンにコンクリートを詰めて引き抜いた後、
最初の高さからコンクリートが下がった値が「スランプ値」です。
一般的に硬さと柔らかさのバランスが良いスランプ値は、15~18cmとされています。

また、近年需要が高まっている高流動コンクリートや高強度コンクリートにおいては、
フレッシュコンクリートにおける「流動性」も重要な指標となります。
流動性を計測する場合もスランプ試験を実施しますが、
この際コーンを引き抜いた後にコンクリートが広がる「直径」で計測します。

スランプと空気量の関係

コンクリートに含まれる空気の量とスランプには相関関係があります。
フレッシュコンクリート内の空気が1%増加すると、スランプは約2.5cm増加するとされています。
スランプは水で調整することも可能で、単位水量の1.2%増減に応じてスランプは1㎝増減します。
それで、フレッシュコンクリートにおける空気の1%増加は、単位水量3%分に値することが分かります。

フレッシュコンクリートの性質

フレッシュコンクリート

フレッシュコンクリートが持つ代表的な4つの性質についてご紹介します。

コンシステンシー

変形もしくは抵抗性の度合いを表します。
フレッシュコンクリートだけでなく、フレッシュモルタルやフレッシュペーストといった「物質・材料そのもの」の性質を表します。

ワーカビリティ―

運搬、打込み、仕上げといったコンクリートを扱う作業の容易さを表すフレッシュコンクリートなどの性質です。
ワーカビリティーに影響を及ぼす要因が「コンシステンシー」となります。

プラスティシティー

フレッシュコンクリートは型に詰めたり、取り去るとゆっくりと形を変えます。
この際、容易に型に詰めることが可能かつ取り去るときに崩れるほか、
材料が分離しないフレッシュコンクリートの性質です。

フィニッシャビリティ―

粗骨材の最大寸法、細骨材率、細骨材などの性質で、
コンシステンシーなどによる「仕上げ」の容易さを示すフレッシュコンクリートの性質です。

スランプとスランプフローがコンクリートの品質を決める

スランプとスランプフローに関わる事項について解説しました。
いずれも通常のコンクリートをはじめ、近年、需要が高まっている高流動コンクリートや
高強度コンクリートのフレッシュコンクリートの状態についての指標なので、ぜひ覚えておきましょう。