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建築躯体に関わる設備施工管理。基礎工事とスリーブ工事について解説

設備施工管理は、建築躯体工事に関わる工事です。
躯体工事に関係する設備工事は、躯体工事完了後に修正や変更が不可能なため、
施工性、維持管理性、将来の設備更新性に関わります。

本記事では、設備施工管理に関係する「建築躯体」の基礎工事、スリーブ工事などをご紹介します。

基礎工事の役割

建築躯体の基礎工事は、地震時に移動や転倒、落下などで損傷しないため、
および地震後にもその機能が確保されるように行います。
設備機器の形状、構造、機能、設置場所に違いなどにより、いくつかの方法が使われます。
また、基礎工事には、以下のような設備や構造上の欲求を満足させる機能があるのが特徴です。

  • 床面の湿気やほこりなどから機器を守ったり、保守点検時に適切な高さを確保したりなど、維持管理的な要求
  • 配管接続のためのスペースや、排水のために基礎の上に排水溝を設けるなど、設備的な要求
  • さまざまな機器形状、アンカーボルトの有効長さの確保、耐震のための重量の確保など、形状や強度に応じた据付け上の要求
  • 重量機器の荷重を分散させるための、位置や形状を変える構造上の要求

基礎工事の「コンクリート基礎」と「アンカー取付け」

ここでは、基礎工事の「コンクリート基礎」と「アンカー取付け」についてご紹介します。

コンクリート基礎の形状

コンクリート基礎の形状は、設備機器の修理や重量、設置場所の床仕上げ、防水有無、水平震度などにより
「べた基礎」「はり型基礎(独立基礎)」などに分けられます。
高置水槽、冷却塔、大口径配管は、はり型基礎、送風機などの計量機器や小口径配管はべた基礎にするケースがあります。

コンクリート基礎の標準高さ

機器裾付けは、機器の種類や使用目的に合わせて水平に据付けを行います。
たとえば、以下の高さに設置されます。

コンクリート基礎の標準高さ(㎜)

  • ポンプ類:300または150
  • 水槽類:600
  • ボイラ類:製造者の標準高さまたは200
  • 冷却塔:500
  • 空気熱源ヒートポンプユニット、パッケージ形空気調和機の屋外ユニット:150(べた)、500(はり型)
  • ヘッダ類:300

アンカー取付け

機器据付けのためのアンカーボルトには、以下の種類があります。

  • 埋め込みアンカー
  • 箱抜きアンカー
  • メカニカルアンカー
  • 樹脂アンカー

施工条件や荷重条件などによって、適切な種類が選ばれます。
また、アンカーボルトの径や埋め込み長さ、本数は、引き抜き力、せん断力から決定されます。

スリーブ工事の役割

スリーブ工事は、梁や壁、床などの補強を行う工事です。
スリーブの材質には、耐水性、耐久性に優れた素材が選ばれます。
鋼管製、鉄板製、硬質紙製、合成樹脂製などがあります。
構造種別、デッキ種別、防水層、床、梁、耐震壁など使用する場所に応じ、
適した材質が用いられるのが特徴です。

スリーブ口径は、配管材料、配管外形、フランジ径などの厚さを考えて、口径を決定します。
一般的には、配管外径よりも50~140㎜程大きい径のものが用いられます。
保温されているものは、保温厚さを含みます。
また、配管に勾配がある場合は、余裕を考えて必要な大きさを算出する必要があるので注意が必要です。

スリーブ工事における貫通方法

スリーブ工事

ここでは、スリーブ工事における貫通方法についてご紹介します。

はり貫通

構造躯体の貫通には、鉄筋コンクリートに対する貫通と、鉄骨部分に対する貫通に分けられます。
RC造の設備用貫通部にあるスリーブ入れは設備工事、構造補強は建築工事となります。
貫通部周囲の鉄筋を増やす工事を行うのです。

S造の場合、鉄骨部分に対する貫通部の穴あけや補強は、建築工事に分類されます。
梁貫通孔は、梁のせん断強度をさせてしまうので、せん断力の大きい部分を避けます。
必要に応じて補強を行いましょう。

壁貫通

壁を貫通させる場合、その壁が耐震壁か一般壁かによって、壁貫通の寸法や補強方法が異なります。
壁が防火区画の場合、貫通する配管やダクトには、区画貫通処理が必要です。

外壁貫通
外壁貫通では、貫通する配管と躯体は、シーリング材などを用いて止水します。
さらに、必要に応じて庇などを設ける必要があります。

内壁貫通
内壁貫通では、貫通孔から騒音や空気の流入を防止するため、
配管の周りにロックウールやモルタルなどを充填します。
遮音性が必要な遮音壁には、遮音シートを巻くなどの対策を行います。

床貫通

屋上では設備機器を設置し、配管類が屋上の防水層を貫通し、建物内部の機器と接続されます。
さらに、各階の床面には、PS・DS内の配管やダクトが上下に貫通している必要があります。

基礎工事とスリーブ工事について知ろう

建築躯体の基礎工事は、地震時に移動や転倒、落下などで損傷しないため、
および地震後にもその機能が確保されるように行う工事のことです。
また、スリーブ工事は、梁や壁、床などの補強を行う工事です。
どちらも大切な工事ですので、覚えておきましょう。