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電話を中心とした情報通信設備の特徴。図面の設計ポイント

電話などの情報通信設備の設計図や配管図は複雑であるため、概要や特徴についての理解が必要です。
また、情報通信設備だけでなく、自動火災報知機などの設備に関する知識も覚えておきたいところです。

本記事では、建築電気設備の設計における「情報通信設備」についてご紹介します。

電話設備の設計図

電話設備の設計図には、以下が記されています。

1.電話局線の引き込み
・架空引き込み
建物の道路側に面しているので、一般に2階の窓の上端くらいの高さになります。

・地中引き込み
道路下から敷地内の地中に埋設して引き込む方法があります。

2.引き込み以降
幹線系統図の通りに行います。
たとえば、単独方式は、MDF(主配線盤)から各端子盤に個別に配線します。

3.電話回線数と電話交換機
電話は、電気通信事業者からの引き込み回線をどのくらいにするかの計算が必要です。
ただし、引き込み回線数はビルの規模と用途によって異なります。
また、ビルの業務形態によっても必要回線数が異なるため、注意しましょう。

・内線回線数
事務所ビルの内線回線数は、10㎡あたり1.5~3.0になるとされています。
最近はインターネット、コンピューターのデータ端末などの利用により、内線数に占める割合も増えています。

・小規模ビルの交換機
小規模ビルの場合、交換機は簡易型のボタン電話交換機または分散中継台方式とします。
専任の交換手を置かない方式にし、電源は交流100Vの専用回路にします。
また、蓄電池は本装置に内蔵します。
交換機の専用室設置は必要はありませんが、保守しやすい機能を維持できる場所に設ける必要があります。
電話交換機の仕様を書く場合は、局線数、内線数、付加機能などを列記します。

電話の配管図

電話の配管図には、配管の太さや端子盤、電話配管系統図、電話配管図などが記載されます。

端子盤

10P、20P、30P、40P、60P、100P、200Pなどが代表的です。
端子盤は電話だけでなく、他の弱電設備と共用します。

電話配管系統図

引き込み経路、感染ルートを明示します。
図には注意書きも記入します。

電話配管図

電話用配管は大きく分けて、以下の3通りあるとされています。

  • 床のコンクリートに埋設する方法
  • OAフロアを用いる方法
  • 下階の天井裏に配管する方法

床のコンクリートに埋設する方法は、小さな部屋や物販店などで用いられます。

弱電設備図

設備図

弱電設備には以下があります。

インターホン設備
住宅、工場、病院(ナースコール設備)、ビル管理などで使用されます。
機器を取り付ける箇所に該当する記号をプロットして、その間を配線で結びます。
配線には、0.9㎜のケーブルや1.2㎜の電線などを用います。
使用本数は機種によって異なるので注意が必要です。

テレビ共同受信設備
ケーブルテレビ、双方向通信の普及にも配慮して設計します。
屋上にテレビアンテナを設置し、テレビ受像機の設置予定場所付近には、直列ユニット端子を配置します。
この両者を配線で結びます。

防犯設備
セキュリティの必要な施設は、金融機関だけでなく一般住宅も含まれます。
各種センサーを防犯上必要とされる箇所に配置します。
監視室、管理室、防災センターなどには、刑法制御盤を設置します。

放送設備
学校、事務所、劇場、駐車場など多くの施設で使用されます。
消防法により、300人以上を収容する建物には非常放送設備が必要です。
ただし、業務用放送設備として計画する場合は、1.2㎜以上の太さのケーブルまたは電線を用います。
非常放送設備の場合、配線は3線式として系統は階別にし、耐熱ケーブルを使います。

電気時計設備
競技場や劇場、学校、病院などで用いられます。
配線は1.2㎜以上の太さの電線を使用し、20個までを1回線とします。
2本の電線で親時計から子時計までをつなぎます。

表示器設備
管理職、経営者やナースステーションなどで出退・在室を表示する際に使われます。
出退表示設備やナースコール設備などの配線は、メーカーごとに方式が異なります。
このため、カタログなどを用いて配線設計を行います。
0.9㎜以上の太さのケーブルを使用します。

配線図作成上の注意点
弱電設備は電源を必要とするものがあるため、コンセントの位置を考慮する必要があります。
また、コンセント接続と専用の分岐回路への直接接続のどちらがよいのかは、用途や用量から判断します。
機器の取り付け高さは、室内展開図か平面図に記入します。

弱電設備系統図

系統図は、機器について特記すべき事項を記載する場合もあります。
一般的には特記仕様書に書かれますが、系統図や平面図の余白に記入する場合もあります。
機器使用をさらに詳しく記載する場合には、機器図などを用います。
設計時点でメーカーが決まっていない場合は、「○○社○○同等品」などと記入します。

弱電機器図の作り方
発注者と機器の相談を行う場合、図面などの作成を行わず型番やカタログのみで済ませようとしますと、後々トラブルになる場合があります。
設計仕様を明確にするため、メーカーの最新カタログから機器を選び、型番、機器の詳細、システム仕様などもあわせて図面を作成することが推奨されています。

自動火災報知設備の設計図

自動火災報知設備の設計図は、消防法により事務所ビルで延べ面積1,000㎡以上のものには、自動火災報知設備の設置が義務付けられています。
その設計は、消防設備士の免状を所持している方が行う必要があります。
設計技術上の基準は、条坊法施行規則に基づいて行われます。

設計図の作り方

系統図や機器の仕様は、図記号を用い、かつ所定の項目を明示します。
平面図を作成する際には、以下の点に注意します。

  • 感知器は部屋の用途に応じたものにする
  • 感知区域は天井高、露出した梁に注意する
  • 感知器は空調の吹き出し口より1.5m以上離す
  • 階段室、エレベーターシャフトは単独で警戒区域を表示する
  • 火災報知設備の受信機は、常時人のいる場所に設置する

情報通信設備の特徴をおさえておきましょう

情報通信設備や火災報知設備の図面の設計には、それぞれポイントがあります。
特に、自動火災報知設備図を設計する方は消防設備士の免状が必要ですので、注意しましょう。