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水質浄化・生物多様性・外来植物の問題。土木施工管理職として考えるべきポイント

近年、技術の進化と共に、水質汚染が深刻になっています。
水質の浄化や水辺の環境を考える際には、生物多様性や外来植物の問題にも目を向けなければなりません。

本記事では、自然環境の保全に関連した水質浄化、生物多様性への取り組み、外来植物への対策などについてご紹介します。

水質浄化に向けた取り組み

湿地には多くの野生動物が生息しています。
生物多様性に富んでおり、水質浄化する働きや遊水地としての機能などから人々の身近な場所で生活を支えてきました。
また、近年では湿地は気候緩和の効果があると指摘され始めました。
しかし、日本の高度経済成長期による急激な都市化で道路用地や産業用地のために湿地が埋め立てられ、その多くが姿を消しました。
東京湾では約90%、大阪湾では完全に干潟がなくなってしまいました。

ラムサール条約の締結

湿地の急速な消失に対し、1971年にラムサール条約が締結されました。
国際的な湿地生態系の保全を目的とし、締結国に対して湿地保全のための有効な対応策の策定が求められています。
日本では、2001年に最終処理場として埋め立てが計画されていた藤前干潟(愛知県)の計画が中止されました。
さらに同年、ラムサール条約登録湿地の基礎資料とするべく、重要湿地500を公表します。
湿地の回復により、水生植物の生育環境としての水質浄化の改善がされました。

生物多様性の考え方

生物多様性は、地球上のすべての命を指しています。
また、遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性のレベルに分けられます。
近年では、人間活動により多くの種がかつてない速さで絶滅しているといわれています。
種の絶滅の阻止は、生態系の安定と遺伝子の多様性を保つ上で重要です。
この生物多様性は1つの国のみで行うものだけでなく、世界全体で取り組まなくてはいけません。
そのための条約が、1992年に締結された「生物多様性条約」です。

生物多様性条約とは

生物多様性条約では多様性の保全のため、開発途上国の取り組みを支援する先進国の資金援助の仕組みや提供する技術協力の仕組みなどが定められています。
開発途上国は経済的・技術的な理由から生物多様性の保全やその持続が不十分であることが多いため、支援がの必要があります。
また、情報交換や調査研究を協力して行うことなども含まれます。

外来植物への対策

生物多様性の保全には、外来植物への対策も必要です。
繁茂する外来植物は、在来植物の衰退を助長し、種の多様性を低下させてしまいます。
また、生態系の単純化が進めば、河川本来の景観が失われる可能性もあるでしょう。
たとえば、多摩川、利根川水系、千曲川水系などで北米原産のハリエンジュの繁茂が報告されています。
ハリエンジュは背丈が約25mにもなることから、河川景観に大きく影響してしまいます。
この他にも、外来種の繁茂が見られています。

法律の制定

2005年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が施行されます。
2013年には、国土交通省は全国の河川で特に大きな問題となっている外来植物10種を指定し、駆除などの対応策をまとめた手引きを発行します。
根こそぎ抜いたり、重機で表土ごと除去したりといった具体的な方法が記載されています。
また、藪化・樹林化の原因となる外来植物への対策は緊急の課題とされています。
具体的な方法を示しつつ、定期的な見直しが求められています。

生物多様性・外来植物の問題を知ろう

種の保全のためには、生物多様性や外来植物に関する問題や対応策を知っておく必要があります。
日本では法律が制定されていますので、まずは法律について理解を深めていきましょう。