情報通信設備に関する計算は、情報通信設備の設計、構築、運用において重要です。
計算を行うことで情報通信設備のパフォーマンスを向上させ、コスト削減につなげることができます。
本記事では、情報通信設備の計算方法についてご紹介します。
電話回線・放送に関わる計算
電話引込回線数を計算するには、「局線・内線標準回線数」を参考にします。
たとえば、延べ面積3,000㎡のビルの引込回線数を求める場合は以下の計算式です。
3,000(㎡)×0.4(回線)/10(㎡)=120(回線)
電話用配線・ケーブル用配管の設計
電話以外の通信用も含んだ電話用ケーブルの幹線部分の布設は、ケーブルラックによることが多いです。
電話用配線やケーブルに適合した配管の計算は、電線管の種類に応じて配線、ケーブル本数、条数などが異なります。
そのため、「電話用配線・ケーブル用配管の算定表」を見て判断します。
電線の太さによる断面積は、電線管の有効断面積の約20~25%以下が適しています。
また、CD管よりもPF管の方が望ましいとされています。
さらに、PE管の断面積の方が少し大きいです。
放送設備のアンプの容量算定
アンプ容量の算定の際には、まずスピーカーの種類とインピーダンスを導き出します。
ビル内のスピーカーにはコーン型、屋外駐車場などのスピーカーにはホーン型などが多く用いられます。
「スピーカーのインピーダンス概算表」から、スピーカーのライン電圧と定格入力の関係を見て、インピーダンスの概算を示します。
そして、「100Vラインスピーカーの結線図例」から、スピーカーの結線図例を導き出します。
放送設備のスピーカーは並列に接続します。
アンプの容量
アンプの定格出力は、接続されるスピーカーの合計容量となります。
アンプの定格容量(W)≧Σスピーカーの出力(W)
たとえば、3Wのスピーカーが4個接続されている場合、3×4=12(W)になります。
また、アンプとスピーカーのインピーダンスの整合は以下の計算式で導き出します。
アンプの出力インピーダンス(Ω)≦スピーカーの合成インピーダンス(Ω)
スピーカーから離れた点の音圧の算定
スピーカーから離れた点の音圧の算定は以下のように行います。
たとえば、出力91dB/Wmのスピーカーに3Wを加えた時の1m、10mの音圧は、音圧上昇分の10log3=10×0.477≒4.8dBから91+4.8=95.8dBです。
10m地点では、95.8‐20log10/1=95.8‐20×1=75.8dBです。
テレビ共同システムに関わる計算
たとえば、4階建ての建物の各階に共同通信システムが欲しい場合、ブースター(増幅器)の出力レベル(dB)は、以下のようにして求めます。
計算の条件
同軸ケーブルの幹線は、S-7C-FBとし、分岐はS-5C-FBにします。
最遠端の端末ユニットの電界強度は、「テレビ端子の要求性能」を満足させる値に設定します。
出力レベルは57dB以上にし、強電界地区ではUHF75dB以上にします。
アンテナの出力レベルは、テレビ局からの電波の到来状況によって異なります。
NHKに問い合わせる、もしくはテレビ設備工事会社に調査を委託しましょう。
アンテナの出力レベルは、75dBμVとします。
計算例
ケーブルの損失を考えた時、低損失型同軸ケーブルS-7C-FBの配線で全長に用いた場合、最遠端までの長さは6+15+3+3+3=約30mとされます。
合計減衰量は、「テレビ共同受信用ケーブルの減衰量」によって求めますが、ここでは、UHFの減衰量として計算します。
また、BSやCSでも同様の計算をします。
さらに、使用機器による挿入損失や結合損失、4分配器の分配損失は、「分配器・直列ユニットの損失」で求められます。
挿入損失は、送り接続の箇所に比例し、総合損失は最遠端の直列ユニットの結合損失にします。
入力利得
例として、アンテナの出力レベルを75dB、20素子のUHFアンテナの利得を10dB、混合機の損失を1.5dBにし、混合器からブースターまでのケーブル損失を3dBにすると、入力利得は以下のように求められます。
75+10‐1.5‐3=80.5dB
ブースターの出力レベル
最遠端アウトレットで75dBを確保したい場合、必要な利得は75 + 29.3=104.3dBとされます。
そのため、ブースターは、104.3‐80.4≒24から、25dBの出力レベルのものを選びます。
情報通信設備に関する計算を覚えよう
情報通信設備に関わる計算を行う際には、用途や規模を明確にした上で、最新の技術動向の把握や将来の拡張性を考慮する必要があります。
情報通信設備に関わる計算は、専門的な知識が必要になるため、ポイントを押さえておきましょう。