土木施工管理技士は国土交通大臣機関が認定する国家資格です。
この資格があれば、営業所ごとの専任技術者や主任技術者、現場ごとの監理技術者になることが可能となります。
本記事では、土木施工管理技士の1級と2級の違い、試験内容などについてご紹介していきます。
土木施工管理技士1級・2級の違い
土木施工管理技士とは、道路・橋・河川の堤防・護岸などの工事の際に責任者に指示を出す仕事です。
1級と2級の違いは対応できる工事現場の規模です。
1級の資格があれば、2級よりも大規模な工事の施工管理を行うことができます。
2級
「一般建設業」の専任技術者になれます。
また工事現場で必要とされる主任技術者になれます。
1級
「特定建設業」「一般建設業」どちらの専任技術者になることもできます。
また、現場ごとに配置される監理技術者になることも可能です。
監理技術者は、特定建設業者が元請として4,000万円以上の下請を出す場合に必要な資格です。
受験資格の違い
土木施工管理技士の資格は検定試験に合格することで取得できます。
土木施工管理技士の試験は、1級と2級で受験資格が異なります。
試験を受けるには、以下の実務経験が必要です。
2級
|
必要な実務経験年数
|
学歴
|
指定学科卒業後
|
指定学科以外卒業後
|
大学
専門学校「高度専門士」
|
1年以上
|
1年6ヶ月以上
|
短期大学
高等専門学校
専門学校「専門士」
|
2年以上
|
3年以上
|
高等学校
中等教育学校
専門学校
※「高度専門士」「専門士」を除く
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3年以上
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4年6ヶ月以上(※)
|
その他
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8年以上
|
※出典:一般財団法人 全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定試験」
1級
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必要な実務経験年数
|
学科
|
指定学科
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指定学科以外
|
大学
専門学校「高度専門士」
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3年以上
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4年6ヶ月以上
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短期大学
高等専門学校
専門学校「専門士」
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4年以上
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7年6ヶ月以上
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高等学校
中等教育学校
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10年以上
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11年6ヶ月以上
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その他
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15年以上
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2 級土木施工管理技術検定合格者
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合格後、5 年以上
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※出典:一般財団法人 全国建設研修センター「1級土木施工管理技術検定試験」
実務経験とは、土木工事の施工に直接的に関わるすべての職務経験を指します。
直接的に関わらない、設計のみや事務作業などは実務経験としてカウントされないので注意しましょう。
※出典:日本建設情報センター「土木施工管理技士」
※令和3年度より、施工管理技術検定の受験資格が変更されます。
土木施工管理技士1級・2級の試験内容
試験は学科試験と実地試験で行われます。
それぞれ以下のような問題が出題されます。
2級
2級の学科試験は、「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」に分かれています。
この中から1つの種別を選んで受験します。
また実地試験を受けるには実務経験が必要ですが、学科試験のみなら17歳以上であればだれでも受験可能です。
土木
学科試験
実地試験
鋼構造物塗装
学科試験
実地試験
薬液注入
学科試験
実地試験
1級
学科試験
実地試験
※令和3年度より、施工管理技術検定の試験内容が変更されます。
土木施工管理技士試験の合格率
1級・2級それぞれの平均合格率は以下のようになっています。
|
1級
|
2級
|
%
|
学科(%)
|
実地(%)
|
学科(%)
|
実地(%)
|
平成27年度
|
54.6
|
37.3
|
66.5
|
35.7
|
平成28年度
|
55
|
36.7
|
48.3
|
29.9
|
平成29年度
|
66.2
|
30
|
(前期)
58.4
(後期)
71.6
|
34.3
|
平成30年度
|
56.5
|
34.5
|
(前期)
50.3
(後期)
63.4
|
35
|
令和元年度
|
54.7
|
45.3
|
(前期)
61.9
(後期)
67.1
|
39.7
|
※出典:日本建設情報センター「土木施工管理技士」
上記のように学科試験の合格率よりも、実地試験の合格率が低いことが分かります。
そのため試験合格のためには、特に実地試験対策をしっかり取ることが大切と考えられます。
土木施工管理技士を取得して希少な人材となろう
土木施工管理技士の資格を取得すれば、主任技術者や専任技術者などに選任されるようになります。
そのため多くの現場で必要とされる人材になれる可能性が高いです。
また、土木関連の会社やゼネコン、工務店、リフォーム業者などへの転職の際にもアピール材料となるでしょう。
建設業界でキャリアアップや収入アップを考えているなら、土木施工管理技士の資格取得を考えてみてはいかがでしょうか。