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特記仕様書は標準仕様書と何が違う?書き方のポイントと併せて紹介

建設工事は、特記仕様書に記載された内容を元に行われます。
工事の責任者である施工管理者は、この特記仕様書を作成しなければなりません。
また、特記仕様書とよく似ているものとして、標準仕様書という書類があります。
施工管理職を目指している方は、2つの仕様書の違いにについて理解しておく必要があるでしょう。

本記事では、特記仕様書と標準仕様書の違いや、書き方のポイントを解説していきます。

標準仕様書とは

標準仕様書とは、公共建築工事を行う際に、品質や性能などを確保する目的で使用される書類のことです。
正式名称は、「公共建築工事標準仕様書」といいます。

標準仕様書に記載されている内容は、主に、工法や使用する機材などについての標準的な仕様です。
市役所や学校などの建物を建設する際は、この標準仕様書に準拠して施工されます。
また、標準仕様書は統一基準として位置づけられており、工事ごとに作成されるわけではありません。
国土交通省が技術基準を定めた上で作成され、3年に一度改定されます。

出典:国土交通省「公共建築工事標準仕様書について

特記仕様書とは

施工管理職

特記仕様書も、標準仕様書と同様に、品質や性能などを確保する目的で、工法や使用する機材などについて記載される書類です。
しかし、工事ごとに作成されるという点が標準仕様書と異なります。
そのため、工事ごとの内容を、細かく具体的に記載することができます。

また、図面だけでは分かりづらいような箇所には、詳しい説明を入れたり、イラストなどを使用したりすることも可能です。
「工事の仕様書」といった場合は、標準仕様書と特記仕様書の両方を指します。

特記仕様書に記載したい項目

特記仕様書は、工事を担当する施工管理者が作成し、次のような項目を記載するのが一般的です。

工事の目的・範囲・工程

まずは、その工事を行う目的を記載しておきましょう。
例えば、「新築」や「建て替え」のように記載します。
大きな地震や台風などの災害が原因で工事を行うことになった場合には、その災害の名称も記載しておきましょう。

範囲は、工事全体の中で、どの部分に関する記載なのか示すための項目です。
大規模な工事では、この項目に記載がないと、どの部分について記載なのか分からず、作業者が困ってしまうことがあります。

工程は、どのようにして工事を進めていくのかを明確にするための項目です。
天候などで工事の継続が難しくなったときに備えて、工事を中止するときの条件や、継続する場合の条件なども、工程の項目に記載します。

使用材料

建設工事では、鉄骨や木材などをはじめとして、非常に多くの材料が必要です。
どのような材料が必要なのか、数量はいくつなのか記載しておきましょう。
また、同じ名称の材料でも、仕様やグレードなどが異なるものもあるため、詳しく記載しておくのが望ましいです。

注意点

工事を進めるうえで、注意すべき点、重要度の高い情報を記載します。
例えば、工事によっては、役所などと事前協議が行われていることもあるでしょう。
その場合には、事前協議の日時や参加者、決まった内容なども、記載しておく必要があります。

特記仕様書の書き方

特記仕様書

特記仕様書を作成する際には、次のような点を意識しながら書くようにしましょう。

標準仕様書にも記載する

特記仕様書に記載した内容に関して、標準仕様書の方にも、それが分かる形で記載しておきましょう。
例えば、標準仕様書の該当箇所に印を付けるなどの対応をします。
そうすることで、見落としによるミスを防げます。

表記を統一する

建設工事で使用する数字は、複数の表記が可能なものも多いです。
例えば、角度を表記する際には「度」で表記する方法と、正弦を用いて分数で表記する方法があります。
記載箇所によって表記が統一されていないと、確認がしにくいです。
どちらか1つの表記方法に統一しましょう。

また、建設工事で長さを表すときには、「ミリメートル/㎜」を使用するのが一般的です。
可能な限り、「ミリメートル/㎜」で統一しましょう。

画像や図を活用する

記載する内容によっては、文章のみではイメージしにくいこともあります。
その場合は、画像や図などを適宜挿入するようにしましょう。
グラフなどを使用することで、変化の傾向や度合いなども視覚的に分かるため、理解しやすくなります。

テンプレートも活用する

ゼロから特記仕様書を作成しようとすると、時間がかかってしまいます。
初めて特記仕様書を作成する人は、形式が分からない人もいるでしょう。
その場合は、テンプレートを使用すれば解決できます。
テンプレートはいくつか種類があり、各自治体でも配布しているので、ダウンロードしておくといいでしょう。

工事を行うのに必要な情報をまとめた書類

特記仕様書は、工事ごとに作成し、その工事に関する詳しい情報や注意事項などを記載している書類です。
統一基準を示している標準仕様書を併せて使用します。
記載する内容は、主に工事の目的や範囲、工程、使用材料、注意事項などです。
工事の関係者全員が見るものであるため、図や表を使うなどの工夫をして、分かりやすく記載することを心掛けましょう。

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